朝刊の記事から。「再エネ・原発拡大どこまでに思う」。

再エネや原発に関する記事が掲載されている。今回はこの記事を題材に頭の体操をしたいと思う。

この記事の背景には経済産業省のエネルギー基本計画での電源構成の
見直しの議論を始めることにあるという。

先日の再生エネTFロゴ問題が国会でも取り沙汰され、野党が追及を強めている。この問題は一見すると、プレゼン資料にロゴがオブジェクトとして残っているという操作上のミスでは終わらず、政府の再エネTFに外国企業の影響があった疑いがあるとのことで目下、調査が進んでいるらしい。

冒頭の記事では全般的に再エネ・原子力とのバランス、新技術の導入の困難さに関して述べられている。少し気になったのは以下の文言である。

「天然資源に乏しい日本でこのまま脱炭素が進まない状態を放置すれば、エネルギー安全保障の観点でも問題が生じると指摘される。」

この命題は果たして論理的に正しいのか。この文章の論理学で言うところの対偶を考えてみる。

「エネルギー安全保障の問題が生じない(国家安全上の問題が無い)のは、脱炭素が進むとき。」

である。この命題は”偽”である。

ロシア・ウクライナ戦争を始めとする紛争で地政学リスクはこれまでにない程高まり、世界は蜂の巣をつついたようなエネルギーの取り合いが進んでいる。実際、「欧州大戦」と呼ばれていた先の大戦に日本が巻き込まれた経緯を分析すると、昭和天皇が後に回顧されているように、まさに「油」を巡る争いであった。安全保障を巡る激しい諜報戦を彷彿とさせる当時の文書も公開されている。

中東の紛争を見ても産油国イランがイスラエルに報復攻撃を行った事が大きく取り上げられるに至った今は、もはや脱炭素を議論している場合ではないとも思える。

話が前後するが、改めて、先ほどの再エネTF問題で胆が冷えるのは、日本国のエネルギー政策立案の現場、あるいはエネルギー安全保障、さらに自然エネルギーを推進する財団の中に外国企業の影がちらついている、すなわち安全保障上の脅威が生じている可能性があるという点であろう。

これからエネルギー基本計画を改定するとのことだが、残念ながらここ数年のエネルギー政策立案の現場に、例えば国民のパブリックコメントで寄せられている前向きで建設的な意見は無視され、反映されていない。さすがに外国企業が影響しているとまでは言わないが、そのような疑念を持たれてもやむを得ないほどに、実際に、日本のエネルギー政策は歪められている。

また下記に引用する「官民合わせての150兆円の投資」も、その進捗を寡聞にして聞かない。

日本国民の財産で使途のよく分からない環境投資に邁進するなど、著名な野球選手の口座から財産を窃盗して何食わぬ顔をして賭博をしていていた通訳氏の事件にも通じる。

脱炭素は破綻を迎えつつある。

これまでにも、もちろん政策が失敗した事例など幾らでもあるだろう。しかし、失敗した政策に固執し、意固地に進めようとすることで出てくる矛盾に今度は社会の側が耐えられなくなってくる。

少し批判的な事を書いてしまったが、本来、例えばエネルギー・環境などの分野の政策立案者(Policymaker)とは非常に興味の惹かれる職種だと思う。エネルギー基本計画の見直しが、日本の国益にかなう実のある議論となることを期待したい。

以上。

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