「岸田首相、総裁選に不出馬」に思う。

岸田首相が総裁選に不出馬というニュースが駆け巡った。

岸田文雄首相、自民党総裁選に不出馬 14日の記者会見要旨 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

大きなところでは確かに裏金問題もあったこと、またポピュリズム的な政治とも距離を置いているところも見受けられたので、批判の矛先が向けられがちであったことは否定できない。記憶の限りでは能登半島地震直後の記者会見の際は震災が起きている中、震災対応の話をするかと思いきや、メインの議題が「派閥と裏金」で、国民の信頼を取り戻すという意図で、肩透かしを食らった。またその件の裏金問題にしても本質的なところに触れられていなかったので隔靴掻痒の感のみが残ったというのは事実である。

そのような国内問題もくすぶってはいるが、今回の不出馬の背景にあるのはやはり米国大統領選ではないだろうか。

現在のトランプ氏 vs カマラ・ハリス氏(現バイデン民主党)の大きな流れでいうと、岸田内閣はバイデン氏あるいはカマラ・ハリス氏の政策の強い影響下にあったと思う。ただ、米国内の世論はトランプ氏、共和党への支持が根強く、11月の大統領選ではトランプ政権が再び発足する可能性も大きい。

今のタイミングでの岸田首相の9月総裁選不出馬は上記の米国政治、バイデン氏も厳しいが、その後任のカマラ・ハリス氏の政策を踏襲しては戦い切れないと判断したのではないか、ということが筆者の見立てである。

では、仮にトランプ氏が大統領に就任するとして、日本側で最もふさわしい総裁を考えると、自民党ではトランプ政権と積極的な外交を展開していた安倍首相の流れをくむ人物でなくてはならない。

個人的には高市早苗氏を推したいところではある。政策的には物足りない点はあるが、昨年の総務省行政文書問題での野党による追及への対応を見ていると、総裁を担えるオーラはある。また、裏金問題とも一線を画しているようにも(少なくとも私には)見える他、伝統的な男性中心の日本型組織に風穴を空けてくれることも期待したい。

この流れでいうと上川陽子外相も、ご本人が希望するかどうかという意味において可能性は低いが、総裁候補にふさわしい一人かもしれない。詳細はWikipediaに譲りたいと思うが、数少ない地政学的な、大局的な視野を持った政治家の一人である。

現下の日本に必要なのはポピュリズム的で派手な政策よりも、地道で「効く」政策である。一つ一つの効果を積み上げ、フィードバックを検証するというサイクルを繰り返すことが必要である。

異次元の少子化対策、新しい資本主義といった政策のコンセプトが具体性を帯びない不発の花火に終わったとともに、具体的な結果の見えづらい外遊を重ねても支持率向上に直結しないことは私の目から見ても明らかだった。

岸田政権下で打ち出された政策は、岸田首相ご自身というより周囲にあまり良いスタッフがいないとも思える。これについては日本にも本格的な米国的な、政策提言型シンクタンクの創設を希望するが、これはまた別途改めて書きたい。

以上。




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