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知っているとお得?!投資家なら知っておくべき”時価総額”と”事業価値”の違い

突然ですが、「会社の価値」を別の言葉で言い換えると何を思い浮かべますか?

企業価値?時価総額?事業価値?どれも会社の価値をあらわす言葉としては正しいですが、それぞれの言葉の定義は厳密に少しずつ異なります。

ちょっとマニアックですが、5分でわかるので、「会社の価値の評価をより適切に行う」ために、是非知っておいてください。
(皆さんが株の投資をしているのであれば、もしかしたらお得な株を見つけられるかもしれません)

時価総額は「会社を買うのに必要なお金」
事業価値は「会社を買うのに必要な“実質的な”お金」

例えば、定価10万円の財布を買うとします。その財布を買うのに必要なお金は当然10万円ですが、もしその財布に3万円の現金が入っていれば、その財布を買うのに必要な実質的なお金は7万円(10万円-3万円)です。

これを会社の評価に当てはめると「時価総額」は10万円、「事業価値」は7万円になります。

つまり、時価総額100億円の会社を買う場合(100%の株式を保有する場合)、100億円必要ですが、その会社が20億円の現預金を持っていれば、実質的に必要なお金は80億円であり、事業価値=80億円(100億円-20億円)になります。

また、もしその会社が10億円の借入があった場合、10億円は返さないといけないお金なので、事業価値は90億円(80億円+10億円)になります。

この関係性を教科書的に書くとこうなります。

時価総額+有利子負債-非事業性資産=事業価値

非事業性資産は現預金や有価証券等で事業運営に直接必要のないものです。
(※正確には、事業に必要な最低限の現預金は事業性資産、余剰分を非事業性資産としますが、営業CFが黒の場合、ネットキャッシュは非事業性資産といえなくもないので、この記事では、わかりやすくするために、現預金は非事業性資産として扱っています。)

有利子負債は銀行からの借入などです。

したがって、わかりやすく言うと以下の関係式が成り立ちます。

「時価総額=ネットキャッシュ+事業価値」
※ネットキャッシュ=現預金-借金

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僕の理解はこんな感じです。これだけ覚えています。

「事業価値」は、会社の事業の本質的な評価額
「時価総額」は、「事業価値」に現預金を足したもの

ちなみに、企業価値は、事業価値に非事業性資産を加えたものなので、以下の図で示せます。

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「事業価値」が過小評価されていそうな会社がある?!

さて、ここからが本題です。

「時価総額=ネットキャッシュ+事業価値」という公式を念頭に、上場会社の決算書と時価総額を見ていると、時価総額と事業価値が近似している会社もあれば、時価総額に比べて事業価値がずいぶん小さい会社もあります。

ネットキャッシュが少ない=時価総額と事業価値の差は小さい
ネットキャッシュが大きい=時価総額と事業価値の差は大きい

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投資家が株式を購入する際に見る会社の価値はほぼ間違いなく「時価総額」です。時価総額は「発行済み株式総数×株価」であり、発行済み株式総数は日々変わるものではないので、時価総額は適時かつ自動的にわかるので、投資判断に参考にしやすいです。

一方、現預金の額等が四半期ごとにしかわからないため、事業価値は適時にはわからず、投資判断の参考にしにくいです。

もちろん、株式投資プロのような個人投資家や機関投資家の中には、しっかりと現預金を含めたBSを分析されている方々もいらっしゃると思いますが、感覚的にプロの方々も含めて、「PL」と「時価総額」で株を買っている方が多いと思います。

ですが、ネットキャッシュを見ずに、時価総額だけを見ていると、結果的に事業価値(事業の本質的な価値)を過大評価/過小評価しかねません。

裏を返すと、世間では定価10万円の財布としての認識されているが、実質5万円で買えるお得な財布がありそうということです。

財布Aと財布Bが”同じ定価10万円の財布”として認識されている?
財布A:定価10万円、中身ゼロ(実質10万円)
財布B:定価10万円、中身5万円(実質5万円)

個人的にはその一例?とも思えるクックパッドに関する記事を貼っておきます。もしよかったらご一読ください!

(本記事はあくまで個人的な見解です。特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではありません。また、情報の正確性、信頼性、完全性を保証するものではありません。)

もっとも、会社の時価総額と事業価値を比較し、”いびつ”な会社は少ないので、普段の情報としては時価総額だけ見ればいいと思います。

ただ、きちんと会社を分析する際(例えば、株を買う際など)は、時価総額だけでなく、事業の本質的な価値がいくらで評価されているのか?も是非参考にしてみてください。

この記事は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございます。
このnoteでは今後不定期で企業分析等の記事を書いていきたいと思っておりますので、もしよろしければフォローいただけると嬉しいです。

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海外のスタートアップで働く公認会計士。主に市場の評価と実際の価値にギャップがあると思われる会社の決算書類やその他の開示資料を分析し、「会社の評価」に関しての個人的な考えをまとめていきます。
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