母の桃太郎が斬新すぎた

うちの家族は、みんなちょっとおかしい。

父がバンドマンだったり、兄がFPS狂だったりするのだが、とりわけ母がおかしい

母の「おかしさ」というのは、意図的な言動によるものではない。
母は、その優しく穏やかな性格に基づいて、いたって真剣に物事をやっているつもりなのだろうが、いつもどこかおかしい。

さて、話は昨晩のことだ。

新型コロナウイルスの云々等の理由から、私はここ数ヶ月、実家で生活している。
上京するまで使っていた私の部屋は、すっかり父の書斎になってしまった。だから、私は母の寝室に間借りして寝ている。

昨晩は蒸し暑く、さらに不規則な生活が祟って、私は中々寝付けずにいた。

そこで私(満21歳)は、
「うわぁーーーーん!!!!!!!!眠れないよぉおおおおお!!!!!!!!!」
と隣で微睡む母に泣きついた。

すると母は、「それじゃあ桃太郎の話をしてあげましょうね」…とも言わず、「むかーしむかし」といきなり話し始めた。

心中かなりツッコミたかったのだが、母の優しさに水を差すのもよろしくないと思い、ぐっと堪えた。

そんなことを考えている間にも、「おばあさんは川へ洗濯に〜」と、母の話は進んでいく。


「おばあさんが、川で洗濯をしていると、どんぶらこ〜どんぶらこ〜と、大量の桃が流れてきました」

大量の桃!?
桃太郎ってそういう話だっけ?


「その中に一際大きな桃がありました。
おばあさんはその桃を拾うために、タライのなかの洗濯物を全て川に捨ててしまいました。」

洗濯物捨てる必要ある?
(この行動のせいで、おじいさんの着物はそのとき着ていた一着しか無くなっていまったことが後に明かされる。)

と、話がどんどん変な方向にそれていく。


しかも、はちゃめちゃに長い。
多分桃を持って帰るまでに5分はかかった。文章にする上で端折ったけど、おばあさんの心理描写とか、おじいさんとの他愛ない会話とか、めちゃめちゃあった。

そして、その後も「ズレた桃太郎」は母のペースで進んでいく。

雉→猿→犬の順番で出会う上に、雉と猿のパートは異常に短く、犬のパートはめちゃめちゃ長い(犬だけ「お腰につけたきびだんご〜♪」の歌つき)、などのツッコミどころを経て、30分近く母の桃太郎は続いた。


…と、私はあまりの長さに耐えきれず、桃太郎一行が鬼ヶ島に発ったあたりで寝てしまったようで記憶が無い。

すると朝になって、母からこんなLINEが届いた。


私が寝てる間に何があったんだよ。

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