なぜ百貨店がオワコンなのか、現場からお伝えする話
注:この記事を書いたのが2018年、今2020年、例の伝染病により百貨店のオワコン化は当初の予定を大幅に上回るスピードで進んでおります。
タイトルの通りです。
「百貨店ってオワコンだよね」
この言葉を巷で聞いて早20年以上。
いやはや、
確かにその通り。
今なお、その勢いは止まるところを知らず、
相変わらず全力でオワコンと言われ続け、商業誌や業界紙、
その他コラムニストに至るまで、「いかに百貨店がオワコンか」
が語られている記事等を見ない日はありません。
私も、何を隠そう、
そんなオワコンと言われている「現場」に、悠長にも20年もいた人間です。
オワコン環境にいる人を「オワコンワーカー」と勝手に命名したとすると、
私は、そんじょそこらのぽっと出のオワコン ワーカーじゃないですよ。
筋金入りの
キング・オブ ・オワコンワーカーです。
しかし、
意外とね、百貨店、
潰れないよね。
速報値でも「売上好調!!」とか聞こえてくるし。
いや、潰れないと言うのはちょっと言い過ぎかも知れないです。
もちろん潰れてる店もたくさんあります。
実際、ググれば「百貨店〇〇店閉店」って言う記事たくさん出てきますし。
そりゃね、特に地方は無理ですよ。
人いないし、買い物さえしない年寄り多いし、実際。
今、地方が見直されてる、とか、
人々が改めて集う場所、とか、
地域創生を生業にしてるコンサルさんとか良く言いますけどね、
地元の人達にしてみたら
「良いからとにかく人呼んできてよ。」
って話ですよ。
そんな生優しい話じゃないですよね、
地方の問題って。
ちょっと話ズレました。
とにかく、大丸とか高島屋とか、三越伊勢丹もね、
そりゃここ20年いろいろありました。
合併とか不採算店舗の閉鎖とか、
いろいろありましたよ。
でも、残ってるじゃないですか?
意外と百貨店ってまだ駅のそばとかにドーンと建ってますよね。
相変わらず屋号もあるし、看板あるし、
年商ウン百億とか、ウン千億とか、
売ってる店あるじゃないですか?
凄くないですか?
オワコンって言われて25年くらい経つのに、
まだ建ってるんですよ。
営業してます。
ウン百億って売上上がってるんですよ。
日本の名だたる有名メーカーが潰れたり、海外資本に吸収されたり、
ドラスティックに変革を余儀なくされてる中で、
意外に保たれてるんですよね。
その事実だけをまずは「オワコンがー」「斜陽がー」だけ言ってれば良い人達に、
ことごとく洗脳されている自分の親戚のおじちゃんとかにも、
まずは話させていただいています。
細かい話の前に、
「おいおい!千億以上売ってんねんで!」と。
この例えば千億レベルの売上規模ってね、
正直、所謂SC、ショッピングセンターとかモールとか、具体的にはルミネとかアトレとかルクアとか、地方政令指定都市の主要駅の駅ビルとか、
大きな街にある店でも、
どうひっくり返っても取れない数字なんですよ。
有名百貨店の旗艦店ってズバ抜けてるんです。
「最近はルミネの方が元気」
とか、世の中でいろいろ言われてますけど、
実際、商い額、絶対売上金額だけで言えば、
百貨店の旗艦店には遠く及ばないんですよ。
面積・坪効率で言えばダントツで高いです。
とにかく、売上絶対額と付随する数値規模は百貨店すげえええ、
なんですよ。
つまり、それだけ見ればね、
世に言う「オワコン」というより、むしろ意外と「オワッてない」んですよ、百貨店って。
店によっては相変わらず強大な売上と、それを支える顧客ニーズがあるので、百貨店全てがオワコン、と言うのは実は暴論に近い、
とも言えるのかも知れない、という話です。
だから、結論
現場からお伝えします。
百貨店はオワコンじゃありません。
…とは終わりませんよ。
ここまでこれだけ「ペラッペラの薄い話」したのにも訳があるんです。
ここからが本題です。
この売上規模だけが「命」になってるからこその、「オワコン」理由の話です。
それこそがこのnoteのテーマですし、
次回以降、細かく「その内情」MD、ターゲット・顧客、利益率、人材の質、投資余力etc...
の話をしていこうと思います。
一つだけ「ここがダメなんじゃない?」
と小売を全く知らない親戚のおじちゃんレベルに、放っておいたら確実に言われそうなトピックを先に挙げておきます。
↓↓↓ はい、それがこちら ↓↓↓
【現状の売上が維持できてる最大要因】=インバウンドのおかげなんだろ?
です。
はい。
百貨店はインバウンドに頼り過ぎててダメなんじゃないの?
やっぱほら、オワコンなんじゃないの~?
と言う論調ありますよね。
そう、
皆さまご存知、確かにインバウンドの規模大きいです。
つまり、
外人さまがメッチャ買ってくれてるんです。
ラグジュアリー、ハイブランドの雑貨や化粧品をとんでもない量、毎日毎日買ってくれるんです。
それで保ってます。潤ってます。
正直言いますね。
インバウンド無ければ、
そりゃヤバイです。
実際、全体売上比率で言えば15%とか20%いきますからね。
外人さん。
特に東京23区や京都、大阪梅田や難波の店なんか、
ホント外人さまさまです。
(インバウンドの恩恵ほぼゼロの百貨店もたっくさんありますが、
そう言うお店のほとんどが「オワコン」です、て言うかもう瀕死です。)
例えば1000億の売上の店があれば、
150億〜200億は外人さんのお買い上げなんですよ。
これいきなり無くなったらそりゃヤバイですよね。
でも、
外人さん、インバウンドさん、
百貨店で買い物したいんですよ。
特に、大阪、東京、
大都市の日本旅行のゴールデンルートに入った都市では、
メッチャ化粧品とかブランドバッグとか買いたいんですよ。
これ、
百貨店じゃないとダメなんです。
ほかの駅ビルとかSCじゃダメなんです。
何故なら、
彼らとにかく、百貨店にしか無い、
ラグジュアリーブランドの商品がお目当だからです。
つまり、シャネルさまとかヴィトンさまとか、
カルティエさまとか、
そのクラスの商品が欲しいんです。
で、
そのクラスの正規ルートの商品は百貨店にしか無いんです。
ラゾーナ川崎にも西宮ガーデンズにも無いんです。
今のところ。
だから、今日明日すぐにその需要はゼロにはならないし、
なりようが無いです。
しばらく続きますよ、この傾向。
オリンピックとかあまり関係無いと思います。
このまま日本が「めちゃ安い旅行先」である限り続くんでしょうね。
てことは、ほら、やっぱりインバウンド無ければ百貨店厳しいじゃん!
そう仰られるかも知れません。
そうですね、
「無ければ」厳しいでしょうけど、「ある」んだからそれは良しとしないといけないんじゃないか、と、
実際に有るものを「もし無かったら」で仮置きしたら、ぶっ潰れる業界や消える会社いっぱいありますよね。
インバウンド需要は確実にそこにあって、
その需要がしっかりと取り込めている。
何も問題無いと思います。(2018年は)
でも、私が言いたいのはそこじゃないです。
正味の話、インバウンドがこのまま伸びれば、
ある程度は数字的には大丈夫なんです。
今後も地方店ガンガン締めて、
そこにボケーっとぶら下がってる60過ぎた年寄り達のリストラをガンガン進めて、
首都圏とか大都市の、外国人旅行客がたくさん集まる場所にある、
所謂旗艦店だけでしっかり稼げる体制整えれば大丈夫なんです。
でもね・・・やっぱりダメなんです。
やっぱりオワコンなんです。百貨店て。
今のままだと・・・。
売れてるじゃん?
不採算店潰すじゃん?
外国人買いまくるじゃん?
何でダメなんだ?
と思う方いらっしゃると思います。
特に百貨店で買い物なさる方は思うかも知れません。
やっぱりお金あったら伊勢丹新宿や梅田阪急で爆買いするの、
夢ですもん。
私だってしたいですよ。
楽しいですよね、
グッチだろうが、エルメスだろうが、買いたい放題なら、
やっぱりハイブランドを値段も見ないで買いたい、と思うんです。
お金を持つと分かるみたいです。
梅田阪急のハイブランドの販売員とか、「買いそうにない客」見るとあからさまにゴミを見るような目でこっちを見て来ますもんね!
秒で3000万円位買って、そのふざけた態度についてコンコンと問い詰めたいですよね!
ですので、当たり前に百貨店で買い物をなさる方は、
「夢まで詰まった私の大好きな百貨店、何がオワコンなのさ?」と仰られるのかも知れませんね。
はてさて…。どうなのでしょうか。
次回、
「だがしかし、百貨店はオワコンであることからやはり抜け出せない理由」をお伝えいたしますね。
~読んでいただきましてありがとうございました~
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