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心から呼びかけてつながる、それがご真言。

ふと思い立って、すごーくご無沙汰している方に
連絡をとってみました。

気になってはいるけど、ご無沙汰しすぎて気がひけて
そのままになってるという状態だったのですが。

連絡してみると、なんということもなく
久闊を叙することになったのですが、
考えているだけでなく実際行動することが大事ね
としみじみ思ったりしておりましたよ。

思えば古い知人や友人とはそれぞれ
それなりに長い時間を共に生きてきた人たち。
これからも共に歩みたいと思うなら、
改めてつながり直すのも大切ですね。


先日、お経には目的別のものもあるよ、というお話を書きました。

すると「真言は目的別に分類されるのでしょうか?」と
ご質問をいただきました。


これもよく聞かれますね。
ネットで少しググると、願望成就のためのご真言、
みたいなサイトやYouTubeの動画などがいっぱい出てきます。


恋愛成就は愛染明王のご真言、
厄除けは不動明王のご真言、
合格祈願は文殊菩薩、
亡くなった人を成仏させるのはお地蔵さま、
極楽浄土に往生したければ阿弥陀さま、
光明真言は最強の真言!とかですね(笑)


ヒンドゥー教のガーヤトリーマントラや
シャンティマントラなども同様に人気。

気持ちはわかります。
しかし、僧侶の立場から言うとこれは
順番が逆かな。

以前真言念誦について書いたことがありますけども。

真言はだいたい、「おん+お名前+そわか」
という構造になってるのが多いよ、と書きました。

つまり、真言念誦は仏さまのお名前を連呼しているということ。


ちょっと古風な小説に、恋に悩む若者が一人煩悶しながら
恋しい人の名を呼ぶ、なんてシーンがあったりしましたけど
要はその感じです。


その仏さまを渇仰し讃嘆し恋慕するあまりに
お名前を呼ぶわけです。

お名前系でない場合は、その仏さまの素晴らしさや功徳を
讃えている内容が多いです。


例えばお地蔵さまのご真言
「おん かかか びさんまえい そわか」は
「帰命し奉る かかか(笑い声あるいは地蔵種字)稀有なるものよ
 成就あれ」
という意味。お地蔵さまを讃嘆している内容です。

つまり、ご本尊がメインでご真言はご本尊への呼びかけ。
無量の功徳を持つ仏さまに呼びかけて利益を与えていただく
形になるので、ご本尊を信じて呼びかけることが
ご利益を受け取るための前提条件です。


仏さまは常にご利益を雨降らせて下さっているのですが
しっかり受け取れるかどうかは私たちの側の状態に左右されます。

その仏さまとアクセスできているかどうか、
そのアクセスの帯域が広いかどうか、
そのアクセス先の信頼性が高いかどうか。


プロトコルが違えばアクセスは不能ですし
通信量や通信速度が低ければ受け取る量が少なく
そもそも接続先を信頼できなければアクセスしないでしょう。


なので、願望成就を目的にただ真言をお唱えしても
ご本尊とのリンクがなければ受け取れるものは
ごく少ないものにとどまるでしょう。


ご本尊を信じて、真言をお唱えしたり
お経をお唱えしたりといった実践を積み重ねることは
プロトコルを共通のものにし
ブックマークして信頼済サイトに登録して
通信帯域を広くして通信量と通信速度を上げる
といったことをしていると思うといいです。


さらに密教の場合は、仏と自身は同じものでできていて
この身そのままで仏になることができる即身成仏を説きます。

なので、ご本尊の姿を観想し、口に真言を唱え、手に印を結んで
ご本尊の状態を自分に表すことを目指します。
この状態を「三密瑜伽」といいます。

この状態になれればご本尊のお力やご利益も
さらに働きやすい状態になれます。

つまり密教的にはご真言は
「ご本尊の状態を想起し再現する」ために口でお唱えするもの。

一つのご真言を唱えるたびにどこまで想定できるのか
それを追求するエキサイティングな感じが
密教的仏道修行かなあ、と思ったりしますよ。


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