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編集者としてライターさんとのやりとりで気をつけていること。あるいは、今後気をつけたいことについて。

先日Twitterを眺めていると、こんな記事が目に入った。

「良いフィードバックとは何か」について、デザインツール「inVision」のクリエイターの動画を引用しつつ紹介されている。この記事を読んで、編集者として取材記事を依頼するライターさんとのやりとりで気をつけていることを、振り返りを兼ねてまとめてみた。

依頼するとき

ライターさんとのコミュニケーションのスタートは依頼するところからはじまる。あなたがライターさんに記事を書いてほしいと依頼する時、どんな風に頼んでいるだろうか。誰に対してもコピペで通用するような文で送っているとしたら、いますぐやめよう。

ライターさんへの依頼文はラブレターと同じ。誰でもないあなたに頼んでいるんですよ、と伝えるべきだ。ライターさんは一人の人間。記事を書いてくれる機械ではない。であれば、相手が受ける受けれないを別として最大限の配慮を払うべきだ。

仮にやりとりが初めてだったとしても、いや初めてあるならなおさら、ラブレター感は強くした方がよい。では、どうすればいいのか。答えは簡単だ。そのライターさんが書いている記事を調べて読めばいい。どこかの媒体で記事を書いていなかったらnoteなどのブログでもいい。全部は難しいかもしれないが、10記事も読めばその人が得意とするジャンルやどんな文体で執筆しているのか、何に興味があるのかなんとなく掴めてくるだろう。

すでに何回かやりとりがあるライターさんであるなら、月一で話す時間をとって興味のあるジャンルを聞いたり、編集者側で改善してほしいポイントなどをヒアリングできるとなおよい。

もちろん、最大限の配慮を払ったからといって必ずしも毎回受けてくれるとは限らない。しかし、配慮するにこしたことはない。そうした小さな積み重ねが、長期的な信頼関係を結ぶのだ。

インタビュー当日までの準備

一緒に書くライターさんが決まったら、まず企画の趣旨をすり合わせよう。当日いきなりよろしくおねがいしますでは、ライターさんも困るし、当然アウトプットにも差が出てくる。依頼する媒体で執筆するのが初めての場合は、媒体も趣旨も説明しよう。同じ取材先だとしても、媒体が取り上げたいポイントによって、質問は異なる。また、方向性が類似している記事があれば、事前にライターさんに共有し雰囲気を掴んでおいていただくのも良い記事を作る上では効果的だと思う。

質問事項は事前に共有しよう。必ず事前に不明点などがないかは聞いておく。場合によってはライターさんに質問を作っていただく場合もある。そのときは質問事項のチェックをして、「方向性にズレがないか」や「インタビュイーが答えやすい質問の構成になっているか」、「他の記事で既に語られれていることではないか」などを確認しよう。取材に限った話ではないが、なんでも準備が9.5割。準備を入念にすればするほどインタビューの時間が楽しくなる。記事もよくなる。

インタビュー当日

ライターさんに質問をメインで聞いていただくことを任せる場合と、編集者がメインで聞く場合があるが、ライターさんにメイン聞いていただく場合について書く。

自分一人で取材に行くと痛感するが、事前に頑張ってて準備していても、予想外に話の方向がいくことはある。そのとき頭の中では「相手の話を理解する自分」と「次は何を聞いたらいいのか考える自分」と「若干焦っている自分」が混在していて、頭から湯気が出ている状態に陥る。そうすると「そうですね。。。」としか返事が返せなくなったり、次の質問に詰まったりして、ちょっと気まずい空気が流れる。

編集者はそうしたライターさんの状況を見つつ、適宜質問をはさみライターさんが軌道修正をするのを助けよう。客観的にライターさんとインタビュイーを聞いていると、情報量の偏りに結構気づく。例えば複数人インタビュイーがいるのに、一人の人がメインに答えていたり、重箱の角をつつくような質問に入りかけていたり、など。

話の方向性や取れ高を考えつつ、補助線を引く意識で編集者はライターさんが落ち着いてインタビューできるようにしよう。

あとは全力でインタビューを楽しむ!!!!!

インタビュー後

インタビューが終わったら、何を軸にして書いたらよいか、できることならその場ですりあわせよう。遅くともその日のうちにチャットなどですり合わせられるとよい。外部メディアの場合はそのメディアを運用している方も同席している場合があるので、「どの辺は必ず記事に入れたいと思いましたか?」と聞くようにしている。これは、インタビューの内容をざっくりと振り返る上でも重要ですし、インタビュー中どこで自分の心が動いたかやインタビュイーがどこで熱を込めて喋っていたかは時間とともに薄れていくから。

場合によってはライターさんとの日程が合わず、録音した音源をお渡しして書いていただく場合がある。そのときは取材振り返りメモやどこを意識して書いていただきたいのかを必ず伝えよう。「とりあえず書いてください!」だと書くのが大変になる。

また、僕は執筆に入る前に記事の構成をもらうようにしている。一番の意図としては、構成段階で修正を入れる方が、全部書き上げてから修正するよりお互いにとって負荷が少ないから。構成がおかしいと、いくらかっこいい表現を使っていてても全体を見通したときによくわからないことになっていることが多い。(これはインタビュー記事に限らない話だけど)

ライターさんが執筆だけに集中できるよう、可能であれば書き起こしまでやってあげたり、こちらでスケジュールを切ってディレクションしてあげられると良い。ライターさんが感じるコミュニケーションコストの削減は今後も模索しつつ改善したいと思っている。

編集時

ライターさんから初稿が上がってきたら、赤入れなどをコメントしていく。ここで意識したいのは、なぜ、そのコメントや提案をしているのか理由を言語化することが。なんとなく感じる違和感を言語化してライターさんに伝えられるかは編集者の大事な仕事。言語化されているほうが、ライターさんとしても納得感があるし、修正しやすい。

指摘だけではなく、褒めることも大事。これはかなり大事。自分も赤入れされていて感じるけど、赤入れやコメント多いとやっぱり凹む。自分の人格が否定されているわけではないとわかってても凹む。編集しているとどうしても直したい部分にばかり目がいってしまうが、絶対に良いところもあるので、赤入れが終わった後は、褒めポイントも見つけるようにしよう。

ちなみに僕は、過去に編集者の方から「ここの部分Twitterで引用したいですね」や「この商品を書いたくなりました」などのコメントをいただいてテンション爆上がりしたので、褒めるの大事。

公開後

公開後はお礼とともにライターさんに公開の旨を伝えるのはもちろんだが、SNSで拡散時も(もしライターさんがTwitterなどをやっていれば)メンションしてコメント付きで拡散しよう。リツイートなども頑張ろう。

取材先からお礼のコメントが来たら、ライターさんに共有するのも忘れずに。

終わりに

ここで書いたことが全てではないと思うので、「僕は、私は、こんなことに気をつけている」ということがあればコメントでもDMでもいただけますと幸いです。また、僕自身やりきれていない部分もまだあるので、自戒も込めてここで書いたことをしっかりと実践していきたいと思います。


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