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インタビューは一方通行じゃあないよ

僕の仕事は編集者だ。だから、仕事で色々な人にインタビューをする。インタビューさせていただくのは起業家の方であることが多く、毎回毎回準備してもしたりないと思っている。それでもなんとか時間を見つけて、過去に出ている記事はもちろん、余裕があればTwitterを遡ったりする。そうしてやっと同じ目線で話すスタートラインに立てる。

なんでもかんでも準備が9割なので、準備の大切さは強調しすぎることはない。これは前職で社内メンバーにインタビューをしていた時も同じだ。採用広報として社内メンバーにインタビューする際は、起業家の方に比べると当然情報量が全然足りないので、インタビューする前に一緒にランチにいったりしてどんなことをネタとして組み込めそうかすり合わせをしていた。

ただ、今の仕事でインタビューをしていて、前職の時と明らかにスタンスが変わったなと思う。インタビュイーと対話ができるかを強く意識するようになったのだ。

前職の時は、どちらかというとひたすら相手に質問を投げかけて答えを引き出すことが多かった。わからないことや深掘りしたいことがあれば、突っ込んだ質問をしていたが、基本的には質疑応答の応酬だった。これが悪いわけではない。だが、問いを投げるだけでは、答えは相手が現時点で言語化できていることからの中しか出てこない。

もう一段上の面白いインタビューをするためには、相手との対話が不可欠だ。仮説を立てたり、自分の意見を伝えたり、相手の意見を要約して問い直してみたり。インタビューというよりディスカッションに近いかもしれない。自分の意見をぶつけるのは始め怖いかもしれないが、相手を尊重した上での意見の交わし合いは、相手がイメージはしているけれど言語化しきれていない言葉を引き出すのに非常に役だつ。もし間違っていても、「そうではなくて、こうなんだよ」とどちらにせよ良い回答が得られる確率が高い。

インタビューさせていただく相手は、その道のプロ。自分がしていることは自分が一番よく知っている。起業家ならなおさらだろう。だから相手の得意分野で知識を上回ろうとしても、それは不可能に近い。その代わり、編集者にはインタビュイーの専門外の知識をたくさん蓄えている。自分の持つ情報をいかに相手の専門領域と繋げられるかが、編集者の腕の見せ所だと思う。表面上は全く異なって見えても、構造レベルでみると類似している事象は多い。

社員インタビューならいざ知らず、起業家やメディアに何度も出ている方は同じことを何度も話している。自分なりの意見を持って臨むと、自分とのインタビューでしか引き出せない言葉が出てくる。そのほうがインタビューされる側としても楽しいだろう。せっかく時間を割いてもらっているのだから、一方通行に聞くだけでは相手にとっても失礼だ。

インタビューの熟練者の方々は、準備をしっかりしたあとはインタビューの時間は思い切り楽しむと言われる。話し手、聞き手と役割が分かれているとしても、行っていることは人と人の会話。その場を思い切り楽しんで、いいインタビューの時間だと思ってもらうことは何よりも大事なのだろう。

そうはいっても慣れないうちは、自分の想定と違う方向にインタビューが進むとテンパって、ついつい楽しむ余裕を失ってしまいがちだ。いきなりインタビューの時間をまるっと楽しむのは難しいかもしれない。でも、ただ聞くのではなく、相手と話すことを意識すると、インタビューの時間が少しは変わるかもしれない。

最後にインタビューのいろはを学ぶ上で非常に勉強になった本を載せておくので、よければぜひに。


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