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ジャニーズから考える、ファンに愛され続ける方法
# 堂本光一 40歳
先日、こんなハッシュタグがタイムラインを賑わせた。
堂本光一の誕生日は1/1なのになぜ。その答えは、NHKの「おはよう日本」で、堂本光一が主演舞台「SHOCK」が今年1700回を迎えるニュースを放映したからだった。
僕はジャニーズファンではなく、年末に毎年ジャニーズカウントダウンを恒例行事として見るくらいのにわかなのだが、なんとなく堂本光一のことが気になってWikipediaで彼のことを調べてみた。
Wikipediaを読んで特に気になったのが、彼の仕事に対するストイックさだ。
「仕事が趣味」「仕事以外の時間はおまけ程度」とすら言うこともあり、物事の考え方や性格など今の堂本光一は全部仕事から得たもので組み立てられていると考えているため、「堂本光一から仕事をとったら何も残らない」「堂本光一ではなくなる」と断言する
ジャニーズの仕事に対する姿勢や礼儀は今時の若者の見た目からは想像できないくらいしっかりしていると、以前聞いたことがあったが、その中でも堂本光一は群を抜いているらしい。
その姿に感銘を受け、つい彼の書籍を買ってしまった。そして、感想とともに下記のようなツイートした。
「ちょっと、誰かがつっこんでくれたらいいな」
そんな軽い気持ちで呟いたのが、なんと180人を超える堂本光一ファンの方にリツイートされてしまった。
さらに驚いたことに、ファンの方からこんなコメントをいただいた。
こういう人がいてくれることが1番、光一さんは嬉しいと思う。
NHKの影響は大きいね。
取り上げて貰う番組も大事。
そのときしか見ない人よりも毎日見てる人が多い番組のほうがファン以外の方たちの反響は大きいはずだから。
堂本光一にとっての幸せとは何かを徹底的考えているファンの姿勢。彼のことをもっと多くの人に知ってほしいと思うコメント。
僕も乃木坂の中で推しメンをあげるとしたら誰がいいか、くらいは答えられるが、ここまで深く対象について考えたことはなかった。
思い返せば、前職の時も同じような経験をした。
自社のプロダクトが香取慎吾の出ているスマステに取り上げられた際、急増したアクセスに一時期サーバーがダウンしてしまったことがあった。そのお詫びを呟いたところ、香取くんのファンから「慎吾のせいでサーバーが落ちてしまって申し訳ありません」といった趣旨のリプライがいくつか来たのだ。
ジャニーズファンの無償の愛のようなこの心理はどこから来ているのか。その構造を知りたいと思い、ネットで記事を漁っていると、「ジャニーズファンの思考」という論文を見つけた。一橋大学社会人類学研究室が発刊している『くにたち人類学研究』に収録されているものだ。
論文によると、ジャニーズのファンは自分の推しメンが存在し、それを「担当」と呼んでいる。仲間内では同じ「担当」を持つことを控え1対1の関係性を築く。そして、その関係性は恋愛よりも母子愛に近いものだと、本論文の中で語られている。母子愛の関係が築かれている背景として、筆者は2つの理由をあげている。
1つ目は、「ジャニーズJr」という組織制度。全てのファンがそうではないと思うが、Jrからグループに選抜され、成長していく過程にファンは我が子が育ち巣立っていくかのような感覚を覚えるのだという。
2つ目は、中性的で少年のような見た目。堂本光一は40歳ではあるが、世の中の40歳の方と比べると見た目だけで言えば、まだ少年の要素が残っている。髭が無い、髪の毛が長いなどの要素もあると思うが。ジャニーズのアイドルは、少なくともアイドルとして振舞っている時に「男性性」を強調することはほぼ無い。常に少年のような見た目を保ち続けることが、ファンの母性を刺激するらしい。
ファンが「担当」に対して抱く母子愛にも似た感情は作られたものと言える。だが、その母子愛が40歳になっても「アイドル」として表舞台に立たせ続ける。ただ顔が良くてダンスができるだけでは、母子愛のような関係性は築けない。
女性アイドルの場合、父娘愛のような関係を築くのはなかなか難しい。常に若いアイドルが大量に発掘されては消費される。ジャニーズにも卒業の制度はあるが、AKBやモーニング娘。のようなアイドルの方が圧倒的に卒業していく人数は多い。母集団の数の違いがあるといえども、女性アイドルの方がアイドルとしての期限が短い。それは、ファン側が女性アイドルに押し付けているイメージと理想のせいなんだろう。
さらに、「担当」から降りて、新しい若いメンバーに「担当」を変えることもあるらしく、元「担当」は神格化される。その様子を、母子愛の関係だったアイドルを本当の偶像に戻すことで、雲の上の存在へと昇華すると表現しており、非常に面白いと思った。
ジャニーズはもともとスペックの高いコンテンツを揃えているとはいえ、ファンを回遊させる仕組みは、ビジネスとして非常にうまいと感じた。ピカチュウやキティのように歳を取らないキャラクタービジネスよりも、人をコンテンツにしたビジネスは難しい。飽きるとまでは行かなくとも、新しい「担当」を見つけてもらうことで、ずっとファンでいてくれる顧客体験を生み出している。
愛され続けるブランドを作る秘訣は、顧客と一緒に成長していくことなのだろう。ブランドの希少価値を高め、一方的に神格化されるのではなく、ブランドを作る主導権すら顧客に委ね、一緒に作り上げていく。インターネットが発達して、自分の得意分野で誰でも情報発信ができるようになった今、その傾向は強いのではないだろうか。
その点、成長を見届けるプロセスを何十年も前からやり続けているジャニーズは流石、日本一のアイドルグループだと感じさせられる。
ジャニーズのビジネスモデルからはまだまだ学ぶことがたくさんありそうだ。
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