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自分の決断に後悔はない!ワインテイスト飲料「ジョエア」誕生への想い

ワインのプロたちは、どんな想いでワインと向き合っているのか?スタッフの仕事に対する想いやこだわりを伝える「わたしとワイン」

商品部:笠原 亮

近年、サスティナブルやエシカルという言葉が広がり、地球や人に優しい「オーガニック」というキーワードが注目を集めています。

地球の未来に対して果たすべきこととして、企業の社会的な責任を問いかけられる中、「オーガニック」をテーマとしたワインテイスト飲料ジョエアを開発しました。

ジョエアは、どうやって生まれたのか?

創業して30年以上が経つ歴史の中で、商品開発という新しい分野に挑戦したブランドマネージャーの笠原亮に話を聞きました。

ワインのある生活の豊かさや楽しさを伝える

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-まずは笠原さんのお仕事についてお伺いします。現在、ブランドマネージャーを務めていますがどのようなお仕事なのでしょうか?

ブランドマネージャーは生産者と消費者をつなぐ懸け橋のような仕事だと思っています。

両端には、それぞれ生産者と消費者がいますが、日々のコミュニケーションは世界各国の生産者とのやり取りと、お客様への窓口となる各事業部とのコミュニケーションがメインとなります。

コミュニケーションを取っていく中で、視点の違いによる意見の相違が生まれることもあります。見ている時間軸も違うため意見の相違はありますが、様々な視点からお客様と生産者にとって中長期的に最良の選択を導くように調整しています。

また、エノテカはワイン生産者にとって「何かを伝えられる場所」でもあります。

そのために生産者とコミュニケーションを取り、何を伝えればお客様の買い物体験に喜びを持っていただけるのか?お客様には「ワインのある生活の豊かさや楽しさ」を伝えたい思いを持っています。

今は生産者とお客様がダイレクトに結び付けられる時代でもあるので、その中間に私たちがいて繋ぐ役割を担っています。

ワイン以外でも感動体験を提供したい

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-ワインテイスト飲料『ジョエア』について、開発のきっかけを教えてください。

エノテカとして、過去にレオパーズ・リープのスパークリングのブレンド比率を調整し、商品開発に関わったことはありますが、ワインテイスト飲料の商品開発は初めてでした。

まずは開発する目的として「ワインのある生活での豊かさや楽しさ」ということを掲げ、これからの時代は多様性が必要であるとの考えから、ワインだけではなく、もう少し視野を広げた形でお客様へ体験の提供ができないか?と新商品導入の検討を開始しました。

毎年、世界最大級のワイン・スピリッツの展示会「Prowein(プロヴァイン)」に行って、世界の動向をチェックし、この業界の世界的なトレンドの把握に努めているんですが、2018年より健康志向の流れからノンアルコール、低アルコールが注目されるようになっていて、特に北欧やカナダはすごく伸びていたこともあり、商品開発プロジェクトがスタートしました。

-『ジョエア』はピエール・シャヴァン社との共同開発ですが、なぜ、ピエール・シャヴァン社を選んだのでしょうか?

どの生産者を選ぶかはかなり悩みました。

Prowein(プロヴァイン)に行ったところで何のツテもありませんし、多くのブースが軒を連ねる中、どこをパートナーとして選べばいいのか正直分かりませんでした。主観的な味覚で勝負して決めていいのか悩みましたが、最終的に決断したのは「信頼できる生産者」というところでした。

一緒にやっていくと決断をしたとき、味わいは一番じゃなかったかもしれませんが、多くの生産者の中から最も信頼できる生産者だったのでピエール・シャヴァンを選びました。

信頼という名の絆

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-なぜ「信頼できる生産者」を軸に選んだのでしょうか?

今までブランドマネージャーとしてお仕事をさせていただく中で、ワインのビジネスは「時間をかけて育てていくビジネス」ということを感じていました。

素晴らしいワインをつくるには時間がかかります。ブドウの苗を植えてから数十年の月日をかけてブドウの樹が成長し樹齢を高め、凝縮した果実をつけるように、10年、20年、30年という時間軸なんです。

短期的に利益を上げて、それで高付加価値をつけて売り切るというスタイルではブランドは作れませんし、パートナーとして中長期的に価値を上げていくには信頼できる生産者でなければいけないと思いました。

「パートナーとしてより良いものを一緒に造っていけるかどうか?」ということが、今、このタイミングで美味しいかよりも重要と判断して、この軸で選びました。

-ピエール・シャヴァン社のどういうところに信頼を感じたのでしょうか?

これは技術力と熱意ですね。

一般的にノンアルコールワインは、ワインからアルコールを抜く「脱アルコール法」を用いられますが、2018年に出会った頃、彼らは「脱アルコール法」で造っていました。

脱アルコール法で造るとどうしてもアルコールが0.1%くらい残ってしまうので、できるだけアルコールを抑えたいと伝えたんです。

その後、彼らはアサヒビール社のノンアルコールビールテイスト飲料をフランスの研究機構で研究し、いろいろと試行錯誤していく中で、脱アルコール法ではなく、そもそもアルコール発酵をさせないでワインの風味をつける「非発酵法」にてワインテイスト飲料を開発し新たな商品として提案いただきました。

その時点ではまだアルコール度数は目標値を超えられませんでしたが、課題を大幅に改善していました。また、前年に飲んだ時より明らかに美味しくなっていたんです。

そして「あなた方とやるために1年かけて開発したので、もう一度考えてほしい」と言われ、その技術力と熱意から信頼できると確信しました。

みんなに愛され長く親しまれるように

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-『ジョエア』はどのような味わいなのでしょうか?また、「味」を決める上で、意識したことはありますか?

フランス産の有機シャルドネから本格的なスパークリングワイン風味に仕立てられていて、香りはジャスミンなどの白い花、マンゴー、メロン。あとはアーモンドやトーストの香りが特徴です。

通常は、生産者の商品の中から良いものを選択し輸入しますが、妥協したくなかったので、味わいやパッケージについてのエノテカの意見をお伝えしました。議論をする中で「ゼロから商品を開発しよう」という事になりました。
(生産者はこだわりをもってつくった商品の味わいやパッケージを調整することを嫌うので、通常はあまり行いません。)

味わいを決めていく上で、「こういう味わいが良いのでは?」と議論をして、何度もサンプル品をABCDと送ってくれて、「多分CとDあたりかな」とか、「その次はCとDをもう少し細分化できないか?」など、エノテカのテイスティング力で味わいは造り上げていきました。

果実のフルーティーなニュアンスが、ビギナーの方は美味しく感じていただけると思います。

また、ワインラヴァーの方が飲んでも満足していただけるように、シャンパーニュのような澱の香り付けだったり、オーク樽を使って樽のニュアンスを出したり、他にも酸を高めて糖を抑えるということもやっていて、できるだけシャンパーニュに近い味わいを楽しめるように開発しました。

さらに保存料も使用していません。

-ラベルのデザインにも関わっていますが、デザインを決める上でこだわっているところはありますか?

商品コンセプトが「オーガニック」なので、ラベルのデザインからオーガニックを感じてほしいと考えて、このデザインになりました。

ただし、デザインが決定するにあたって、二社でギャップがあったので、デザイナー同士の間に入って、お互いが納得できるものになるよう折り合いをつけていきました。

また、多くの関係者の意見も聞きました。

これは会長とも意見が異なり、廣瀬会長は「アート的なものというのは、合議制をとると丸くなってしまってエッジがきかないのでお前が決めろ」とおっしゃられていましたが、「みんなが納得している」ということが重要と考えていたので、会長とは結構な言い合いになったんです(笑)

やはり多くの人が納得している方が自分事化しブランド伝達の推進力が生まれますし、生産者も納得して商品を自分の子供のように扱ってくれるので、最終的に「私はこう思います」と啖呵を切って進めて、このデザインになりました。

発展を遂げるための懸け橋になる

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-今後、『ジョエア』が目指していくところを教えてください。

ジョエアの名前は、フランス語で「喜び」を意味する”JOIE”、「楽しい」や「喜ばしい」を意味する”JOYEUX”に由来しています。そういう想いがあるので、人生や生活の中の喜びとなるような商品を目指していきます。

新たなカテゴリでの技術革新も含めて変化の激しいカテゴリなので、常に変化していく世の中を見ながら、お客様の声に聞いて生産者からも情報を得つつ、両者の懸け橋となってより良い製品にしていきたいです。

また、造って終わりではなく、今、この瞬間をスタートとして『ジョエア』というブランドを長期的な視点で育てていきたいと思います。

-最後に、笠原さんから何か言い残したことはありませんか?

ブランドマネージャーとして、この様にスポットライトを当てて頂いていますが、新たな取り組みにて、多くの方々の協力なしには実現できなかったプロジェクトでした。

・プロジェクトをゼロから一緒につくり上げて頂いたピエール・シャヴァン社の皆様
・デザインをゼロから一緒につくり上げて頂いた卸事業部の皆様
・エノテカらしい味わいをつくる為、アドバイスをくださった卸事業部、ショップ事業部、通販事業部の皆様
・価格交渉時に財務関連のアドバイスをくださった財務・経理部の皆様
・新カテゴリ輸入にて膨大なやり取りをし、商品を手配いただいた物流管理部、商品部の皆様
・新カテゴリにてゼロから品質基準を設定しサポートして頂いた経営企画・総務、品質管理の皆様

改めて、御礼申し上げます。ありがとうございました。