ボジョレー・ヌーヴォーをきっかけにワインの世界へ!ワインが苦手だった私だからこそ楽しさを伝えたい
ワインのプロたちは、どんな想いでワインと向き合ってお客様と接しているのか?スタッフの想いやこだわりを伝える「わたしとワイン」
佐野プレミアム・アウトレット店:中村 あゆみ
今年もボジョレー・ヌーヴォー解禁の日が迫ってきました。
ボジョレー・ヌーヴォーとは、フランス・ボジョレー地区で、その年に収穫されたブドウだけを使用し造られる「新酒」のこと。9月に収穫されたブドウが同年の11月に出荷されるというなんともフレッシュなワインで、フルーティーな飲み心地が人気を博しています。
佐野プレミアム・アウトレット店で勤務する中村は、そんなボジョレー・ヌーヴォーに出会って、それまで苦手だったはずのワインが大好きになり、この世界へ飛び込むことを決意しました。
今回はワインが苦手だったからこそ伝えたい、ワインへの想いを伺いました。
転職を決意したワインとの出会い
-まずはワインを好きになったきっかけを教えてください。
前職では、ホテルでフロントスタッフをしていました。今でこそワインに携わる仕事をしていますが、当時はワインといえば渋くて重くて苦いものと思っていて、正直あまり良いメージを持っていなかったんです。
そんなある日、勤めていたホテルで「ボジョレー・ヌーヴォー解禁パーティー」という催しが開催されて、たまたまお手伝いをすることになったんです。宴会場の仕事を手伝うことはほとんどなく珍しいことだったのでよく覚えています。
パーティーが無事終わり帰ろうとしたとき、担当者から手伝いのお礼にと、ボジョレー・ヌーヴォーをボトルでいただいたんです。それがワインとの出会いでした。
自宅に帰って、ワインは苦手だしどうしようと迷っていましたが、せっかくいただいたので飲んでみたんです。その瞬間、ワインへの概念がガラリと変わりました。それまでワインに対してイメージしていた飲みづらさや苦味は全くなく、むしろイチゴのような親しみやすい香りがして、素直に「美味しい!」と思ったんです。今でもあの時の衝撃は忘れられません。
-それがきっかけでワインを飲み始めたんですね。
自分で色々な銘柄を試すようになり、ワインの世界の奥深さに魅了され、気付けばすっかりワインにハマっていきました。知識をどんどん吸収できるのがとても楽しかったんです。
そしていつしかワインに関する仕事をしたいと思うようになりました。しかし、私が住んでいる地域ではなかなかワインを専門に扱う職業を見つけられず、半ばあきらめていたんです。そんなとき、佐野プレミアム・アウトレットにエノテカがオープンするというのを聞き「これはまさに運命だ!」と思い、応募しました。
ボジョレー・ヌーヴォーを飲んでからたった7か月の出来事でしたが、この世界に飛び込むことに迷いは一切ありませんでした。
上司からもらったアドバイスを胸に
-入社して思い出に残っていることはありますか。
念願叶っての入社でしたが、初めは接客の難しさに苦労しました。前職でもフロントでお客様と接する機会は多かったのですが、第一印象が特に重要視されるフロント業とは異なり、ワインショップでの接客はお客様の好みを把握し、適切な情報をお伝えしながら信頼関係を築いていかなければいけません。
今思えばワインを勉強したての私は、ワインの良いところを伝いたいがあまり、知識が先行する接客になってしまい、肝心のお客様とのコミュニケーションが不足していたのだと思います。
その様子を見た店長から「まずはお客様がなぜ今日このお店に来てくださったのか、考えることから始めてみては?」というアドバイスをいただいたんです。
-そのアドバイスを受けて、どんな変化があったのでしょうか。
例えば「おすすめの赤ワインを教えてほしい」というお客様がいたとしたら、すぐにワインをおすすめするのではなく、なぜこのお客様は赤ワインを欲しているのかを知るために、詳しい情報をヒアリングするようにします。
自宅で飲むのか、ギフトなのか。自宅で飲むのであればどんなお食事と合わせるかなど、ヒアリングすることでお客様の求めているワインに近づくことができます。
お客様が求める情報を汲み取ることが、お客様に喜んでいただける第一歩になるのだと店長の言葉で気づくことができました。
それから少しずつではありますが、リピートしてくださるお客様も増えて、お客様との信頼関係を築くことができているように思います。「あのワイン美味しかったからまた中村さんに選んでほしい」なんて言われると、やっていてよかったなと心から思いますね。
まずはワインを楽しんで欲しい
-日々の接客で心がけていることを教えてください。
私が勤務している佐野プレミアム・アウトレット店には、ワインをあまり飲んだことがないというお客様や、これから勉強するという方が多くいらっしゃいます。そんなお客様からよくお伺いするのが「ワインって難しいですよね」という言葉なんです。
確かにワインって難しい専門用語があって、例えば「ストラクチャー」や「ビロードのような」など聞き慣れない表現がたくさんあります。ストラクチャーはワインの骨格を表す言葉ですし、ビロードはベルベットのことでワインを口に含んだときのなめらかな舌触りを表現するときに使うのですが、こういった普段の生活ではなかなか馴染みのない言葉を理解するのに、私もワインを飲み始めた頃はずいぶん苦労しました。
-確かにワインの専門用語は難しいものがありますよね。
そうなんです。自分のそういった経験もあって、ワインを飲み始めたばかりのお客様には、できるだけ専門用語を使わずに身近な言葉でお伝えするようにしています。先程の「ストラクチャー」はワインの骨格に、「ビロードのような」は口に含んだ時の舌触りが滑らかですよといったように言い換えてお伝えすることで、少しでも「ワインは難しいもの」という印象を取り払えたらいいなと思います。
難しさではなく、まずはワインが持つ美味しさや華やかな香り、お料理とのペアリングの楽しさなどを体感して頂いて、いつかの私のように「ワインって楽しい」と思っていただけるととても嬉しいですし、そのために自分の接客が役に立てばと思っています。
ワインで人生が豊かに
-中村さんにとってワインはどんな存在ですか。
ワインとの衝撃的な出会いから、もう5年が経とうとしています。
そんな私が今改めて実感しているのは「ワインと出会って人生が豊かになった」ということ。
仕事って人生を形作る大切な要素だと思うのですが、私はワインがなければこの職業に就いていません。お客様と出会うこともなかったでしょうし、ワインを生み出す生産者の熱い思いに目を向けることもなかったと思います。まさにワインのおかげで人生が豊かになったなと思います。
また、日々の食事や友人と集まる席でも、ワインがあるだけでその場がとても華やかになり、なんだか会話も弾むような気がします。ワインは私の人生をいろんな側面から彩ってくれています。
もうすぐボジョレー・ヌーヴォーの解禁日ですが、今年もこの世界に飛び込むきっかけをくれたボジョレー・ヌーヴォーを飲んで、改めてワインの楽しさを実感したいと思います!