楽しむこと、楽しんでもらうことをモットーに!
ワインのプロたちは、どんな想いでワインと向き合ってお客様と接しているのか?スタッフの想いやこだわりを伝える「わたしとワイン」
金沢・香林坊大和店:三矢 佳奈
「あの時は自分のことでいっぱいいっぱいになっていました……」。
エノテカで働き始めた当初をそう振り返った金沢・香林坊大和店の三矢。
明るい表情でいつも楽しげな三矢も入社当時はうまくいかないことがあったといいます。
そんな彼女を変えたのは先輩社員の何気ない一言でした。
縁もゆかりもなかった石川県・金沢に来て5年。大好きなワインと旬の美味しい食材、そしてかけがえのない人たちに囲まれながら奮闘する彼女に、仕事に対する思いや大事にしていることを尋ねました。
ドイツでの出会い
―ワインを好きになったきっかけを教えてください。
大学を卒業した後、ドイツに3年半住んでいたんですが、そこでドイツワインと出会いハマってしまいました。
―ドイツにいらっしゃったんですね! どうしてドイツに行こうと思ったのですか?
大学でドイツ語を専攻していたので、大学時代も現地の学生たちとの交流でドイツに行ったことがありました。
その時初めてドイツに行ったのですが、その土地の雰囲気に魅了され、留学や旅行ではなく「ここで暮らしてみたい!」と思うようになりました。なので大学卒業後、一旦は働きお金を貯め、その後ほぼノープランでドイツに渡ったんです。
ドイツにいるならここでしかできないことをしよう、と思っていた矢先に出会ったのがドイツワインです。
その美味しさや奥深さにハマり、その後現地でもドイツワイン関連の仕事をしていました。
―なるほど!それで帰国後、エノテカに入社したということですね。
そうです。帰国してどんな仕事をしたいか考えた時に、ワイン関連以外も頭にはあったのですが、調べれば調べるほど「やっぱりワインに関わりたい」という思いが強くなりました。
ワインに関われる、ということともう一つ大事だったのはショップで働く、ということです。
ドイツでの仕事は、ご旅行などで日本からドイツにいらっしゃった方へワインをご案内することが多く、旅先のその場で関係が終わってしまっていました。
私はもっとお客様と関わりたかったので、これまでよりもお客様の日常に寄り添える、そんなワインショップでの仕事に就きたいと思いました。
お手軽な価格帯のワインから世界的に有名な高級ワインまで扱っていて、直接お客様へご紹介できる、エノテカに入社しました。
お客様とワインの架け橋
―この仕事の面白さは何ですか?
ワインとお客様を引き合わせることができることです。
造り手さんが一生懸命造ったワイン、その想いを私がお客様に届けることができます。
それだけではなく、お客様が探し求めているイメージのワインと引き合わせたり、逆に思いもしなかったワインをご提案することもできます。
「こんなワインありますよ!」と日々、お客様とワインをつなぐことができるのは楽しいです。
―接客するうえで心がけていることありますか?
楽しんでいただくこと、です。
“楽しむ”も人によっていろいろ違うとは思いますが、まずは気軽にお店に立ち寄れて気軽に話せる、そんな雰囲気作りを心がけています。
―そう思うようになったきっかけなどありますか?
金沢・香林坊大和店で生産者を招いてイベントをやった時に感じました。
その時、私も含めてイベントを初めて経験するスタッフばかりだったので「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と業務をこなすことにしか頭が回っていませんでした。
気にしていたのはきちんとタイムスケジュール通りに進めることばかりで、いっぱいいっぱいになっていました。
そんなイベント中に店長が「お客様、楽しそうだね!やってよかったね!」と言ったんです。私はそこで初めてお客様に目が向きました。
お客様はワインを飲んだりお食事と合わせたりして「美味しいね」と言っていて、楽しそうなお顔をしていました。
そこでハッとしたんです。イベントは楽しいものなのだから、お客様に楽しんでもらうためには自分も余裕をもって楽しまなきゃと……。
それから自分も楽しみながら、もっとお客様を楽しませたいと意識が変わったように思います。
―三矢さんとお話しているとその笑顔や雰囲気にこちらまで楽しくなりますよ!
本当ですか…!そう思ってもらえると嬉しいです!
恩返しを胸に
―三矢さんは関西のご出身と伺いましたが、金沢での暮らしはいかがですか?
楽しいです!
縁もゆかりもなかった金沢ですが、食べ物が美味しいのが1番楽しいですね。太平洋側と日本海側で文化の違いを感じることもありますが、それも面白いです。
金沢に来てから初めての冬が地元の方も慌てるほどの大雪で、洗礼を受けました(笑)
金沢の冬はどこかドイツを思い出すこともありますし、今ではすっかり雪も楽しんでいます!
―金沢に来なければ出会えなかったお客様もいますよね。
そうですね。温かい方たちばかりです。
入社当時は「このワインは知っていなきゃダメだよ」とお客様に教えていただくこともたくさんありました。
今でも教わることも多く、お客様に育てていただいていると思っています。
なのでお世話になった方はもちろん、初めてのお客様にも、これまでお客様にいただいた恩を返していきたいです。
もっと知りたい、もっと知ってほしい
―最後に、三矢さんにとってワインとは?
「もっと知りたい」と思いますし「もっと知ってほしい」と思うものです。
どんどん変化もしますし、まだまだ新しいワインも出てくるので楽しいですよね。だからみんなワインにハマってしまうんだと思います。
そんな人が自分の接客から生まれたら、それ以上に幸せなことはありません。