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江の島と3つの苦しさ

この文章は、 #江の島エフシーと僕 の連載記事第1弾です。地域サッカークラブの特徴とも言える、多様性溢れる関係者から集まった唯一無二の物語を、毎週日曜日に紹介していきます。さて今回は、江の島FCの共同創設者 大村祐のコラムです。どのような想いでクラブと出会い、人生に影響を及ぼしていくのでしょうか。

江の島FCと僕

 皆さん、初めまして。江の島FCの大村祐です。第1弾を私が担当させて頂きます。私は、江の島FC代表の巴山雄太と大学時代にバイト先で知り合いました。彼と話すなかで、若者がもっと自分の本当の姿に向き合い、表現していける世界観を志すようになり、江の島FCを一緒に創設しました。昨年度はCOOとして、主にチーム・強化部の立ち上げを行いました。

 江の島FCについて書きたいことはたくさんあるのですが、未来の希望にフォーカスする事が多い組織だからこそ、今回はあえて「苦しさ」と言った感情にフォーカスを当てて文章を書いてみたいと思います。

 江の島FCを立ち上げてから約1年。多くの苦しさがありましたが、大きく分けると3つの苦しさにまとめられると考えています。

1、 分からない苦しさ
2、 コミュニケーションの苦しさ
3、 経済的な苦しさ

 これらについて自分なりに考えたこと、感じた事をつらつらと書き連ねようと思います。

1、分からない苦しさ

 「分からないこと」というのは何をするにしても付き纏いますし、特段珍しい事ではないかと思います。普段から本職でも新規業界のキャッチアップをしているので自信はあったのですが、スポーツ業界・地域リーグの常識や「普通」を理解するのには、相当な時間がかかりました。

「新しい何か」を始めて収益源確保や優位なポジションを築こうにも、当該業界の「普通」を知らない事にはポジション・スタンスも取れないですし、ふわっとしたまま始まってしまいます。

 一年目はいくつもやりたい事があったものの、常識や普通が分からず形にならなかった事が苦しかったなと思います。もちろんもっと初期の段階でリサーチなり人に話を聞くなりしていれば避けられた事もあったでしょう。
バタバタと走ってしまい検証が甘くなってしまったのは反省し、今季はより精緻に把握した「普通」との差を見つけていければと思います。

2、コミュニケーションの苦しさ

 江の島FCは、バックグラウンドや年齢の多様な人が集まる組織です。1つ目の苦しさにも似ているのですが、組織内部でのコミュニケーションの苦しさは1番の課題でした。

 もちろん、本職の仕事でも多様性の中で最適な落とし所を見つけると言った事はありますが、あくまでビジネスパーソンという枠の中での多様性です。落とし所が分からなくなるくらい「思想」や「コミュニケーションスタイル」が多様なメンバーとのコミュニケーションは、本当に良い経験となりました。

 おそらく僕だけでなく、選手・運営の皆さんも相当なストレスがあったのではないでしょうか。「〇〇はこうあるべき」の共通理解の数が多ければ多いほどコミュニケーションコストは下がるはずですが、昨年はほとんど共通理解部分を見つけられなかったなと思っています。

 これは僕自身の力不足でして、相手をより深く理解するための行動・思考が足りてなかったなと反省しています。一時期はコミュニケーションそのものの頻度を落としたりしましたが、やはり相互理解をするにはきちんと時間をかけて向き合う必要があるようです。もちろん共同代表という立場の人間がどこまでの範囲で相互理解するべきかは別論点として、ですが。

3、経済的な苦しさ

 1、2つ目の苦しさによって新しい事にチャレンジする時間は想定よりも割けない。でも立て直す時間の無さとは裏腹に、ジリジリとグランド代等によって定期的にお金だけが出て行き、役員陣の自己資金を削りながら運営をするような日々が続きました。

 何かお金が入ってくる事をしなければならない。けれどもそれ以外の部分で工数は使うし、何より初期投資が大きなものは難しい。いっそチームを畳んでしまって、きちんとチームだけで回る仕組みを作ってから再出発したほうがいいのではないか。そんな事も何度も考えました。

 もちろん、現在は創業融資やマーケティングと不動産という二つの事業によって財務状況は落ち着いていますが、ここで緩まずお金を稼ぐ部分を強化していければと思います。

最後に

 こうして、僕の江の島FCでの1年目は、多くの「苦しさ」と共に過ごしてきました。ただ、試合での勝利や、事業が成長していく喜びは、その「苦しさ」を一瞬で忘れさせてくれるくらい、僕の感情を大きく揺さぶってくれるものでした。江の島FCを立ち上げてもうすぐ1年。当初に比べると関わる方々も大きく増えてきて、挑戦を続けていけることに対して感謝を感じるこの頃です。今季も江の島FCに関わる全ての方々とともに、全ては一瞬の喜びのために、いろいろな「苦しさ」に向き合っていければと思います。 


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江の島FCは、2020年4月に設立された、江ノ電沿線を中心とした湘東地域をホームタウンとする地域サッカークラブです。2021年は神奈川県社会人サッカーリーグ3部(J9相当)に所属し、2030年のJリーグ昇格を目指しています。「STAY YOUNG, TO LIVE.~世界中の探求者の人生に生きがいを吹き込む居場所を創造する~」という創設の想いを掲げ、夢を持つ全てのエゴイストの機会格差解消を目指して活動しています。

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江の島FC 公式Twitter

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