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トマス・ピンチョン『ブリーディング・エッジ』

トマス・ピンチョン『ブリーディング・エッジ』(佐藤良明+栩木玲子 訳)を読み終わった。やったぜ!

あらすじと紹介文は新潮社のサイトをどうぞ。

先日この本が発売される前に、ピンチョンは好きだけれどよく分からない、でも好きだよというnoteを書いた。幸いにも自分比でとてもたくさんの人に読んでもらってスキも頂いた。

しかし『ブリーディング・エッジ』は”わかった”。読みやすかった。ピンチョンの小説を読んでこんなにも「ストーリーがわかる」「話について行けてる」「主人公大好き」「ぐんぐん読める」のは初めてで、また新しい読書体験ができたことがうれしい。

本作の読みやすさのポイントは...

舞台が2001年のNY、9.11を含む1年。30代以上の人ならあの時代の感覚を知っていて出てくる固有名詞はなじみ深いものが多い。コンピュータ用語もそれほど難しくない。9.11の衝撃とその後についてもリアルタイムで体験している。

時系列がブレない、中心人物もブレない、話が飛ばない。超魅力的な主人公マキシーンを中心に安定して物語が前に進む。(途中から他の家族のストーリーが延々と挟まれたりしません!

ピンチョン氏の他の作品と比較するなら、物語の系統は『競売ナンバー49の叫び』『LAヴァイス』と同じ路線。

で、おもしろいです。


主人公マキシーンが最高。たぶんこれに尽きる。企業の不正会計調査員(ほぼ探偵)、2児持ちのワーママ、おせっかいで情に厚くて、度胸があって機転が利く、美人でファッションセンスが良さそう。それでいて身近な感じがするし、ぜひママ友になりたい。夫と復縁していく過程がけっこう好き。マキシーンを主人公にして続編をもう1作読みたいな。大統領選挙を題材にしたらハマりそう。


あと、今回初めてノートにメモを取りながら読んでみた。これはかなり良い。登場人物の名前をメモして肩書きやキーワード、登場したページも書いておく(←これ忘れがち)。できれば家族は家系図を描いて、他の人も相関図をつくりたい、が初読で相関図は難しい...。思わぬあの人とあの人が関係していたりするからだ。関係線が繋がらない、こっちに書き加えるスペースがないよ~という事態になる。でもまあ相関図をつくるために読んでいるわけではないのでテキトーにごちゃごちゃでもOK。それから専門用語や略語の意味も覚えられないのでメモ、知ってるポップカルチャーや気になるネタもページ数と共にメモした。

ノートはこんな感じで、わざとブレてる写真にしました。雰囲気だけみてってください ↓

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今年は9.11から20年。それがあと2ヶ月後にやってくる。別に真実は明らかにならないけれど、脳みそをフル回転させて『ブリーディング・エッジ』を読むのは悪くない選択だと思う。


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