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2020年11月の記事一覧
短歌連作「庭のない家」
庭のない家に暮らしぬ電話越し母に教わるおりがみの百合
解体の決まった都営住宅で自転車がまた一台減りぬ
おとなりの解体工事も順調でかなしく揺れる古いアパート
クスノキが伐られた跡にうつむいて歩く烏の羽は重たい
最後まで使わず捨てた鉛筆の分だけ書けぬ言葉に埋まる
あきらめが肝心だからと我に説く人が駆け出す青き点滅
朝のまま時の止まった家に着きセーターを抱く猫の代わりに
※短歌連作サークル
短歌連作「名乗るほどでも」
芽吹くのは四月だからか白くないマスクをつけた朝の自意識
自分でもわかんないけどスジャータは記憶の中ではまだターャジスだ
五百円で売ってるブーケが去年見た袈裟とおんなじ配色である
ヤンマガはヤンジャンよりも水着度が高い表紙で好き(僕調べ)
いま行けば「お疲れ」とか言う羽目になるジェットタオルの音がしている
ピカチュウは名乗ったように鳴けるのに名乗るほどでもないままの僕
桃源郷と思う日もあ