
権利は数で勝ち取れ
米国立衛生研究所(NIH)といえば、アメリカ有数の医学生物学研究組織として知られている。
そのNIHで大きな動きがあった。画期的な研究成果が出た…というものではない。
米国国立衛生研究所(NIH)の若手研究者たちは、3年以上にわたる集会と組合組織化を経て、今週新たな契約を発効させた。 この協定は、連邦研究施設の科学者を代表する労働組合が交渉した初めてのもので、NIHの施設で働く大学院生、ポスドク、ポストバカロレアを含む約5000人の非正規研究者に対し、労働時間の制限、有給育児休暇の保障、ハラスメントからの保護などの条項が盛り込まれている。 また、この協定は給与の引き上げも約束しており、他の研究機関の前例となる可能性もあるが、昇給は早くても2026年まで実施されない。
非常に大きな動きだ。若手研究者が様々な権利を勝ち取ったのだ。
この組合は2023年に結成された。
こうした動きを通じて着々と交渉などを進めてきた。トランプ政権誕生直前にこの契約が発効したことも大きい。
契約全体が整ったことで、ホワイトハウスに変化が訪れても組合員は安心できる。 「政権が変われば、常に不確実性がつきまといます。 「そうなる前に、この契約で労働条件を決めておくことは、間違いなく重要なことだった」。
近年アメリカでは、若手を中心とする研究者が組織化し、権利を獲得するケースが増えている。成功例はカリフォルニア大学だ。
アメリカだけではない。カナダでもこうした動きが起こっている。
大学院生とポスドク研究者たちは、過去2年間、サポート・アワ・サイエンス(Support Our Science)と呼ばれるキャンペーンを通じて、給与の引き上げを訴えてきた
https://www.nature.com/articles/d41586-024-01124-2
カナダの場合は労働組合ではなくキャンペーン組織ではある。
サポート・アワ・サイエンスは、カナダの大学院生と博士研究員の給与を改善するという明確な使命を持つ草の根団体です。 これには、科学や工学から社会科学や人文科学に至るまで、すべての研究者が含まれます。
https://www.supportourscience.ca/
組織化、行動、権利の獲得…。アメリカで労働者のストライキが多発している。
Z世代を中心にこうした動きがアカデミアにも波及している。
ひるがえって日本はどうか。
最近アメリカを中心に研究者が労働組合を結成し、権利を獲得するというニュースが聞かれるようになってきました。リンクはリプ欄に貼っておきます。
— 榎木英介 独立系病理医(学士編入) (@enodon) January 11, 2025
日本では組織化、結集すること、何かを要求するため行動することなどにマイナスイメージがあるようで、なかなかこうした動きが起こりません…。 https://t.co/s0Lspqpc9J
ただ、日本もZ世代を中心に、積極的に行動する人たちが増えてきた印象がある。
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