榎木英介

一般社団法人科学・政策と社会研究室代表理事。病理専門医、細胞診専門医。科学技術政策、医…

榎木英介

一般社団法人科学・政策と社会研究室代表理事。病理専門医、細胞診専門医。科学技術政策、医療政策ウォッチャーです。

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  • インディ病理医・科学ジャーナリスト榎木英介の”機微”だんご

    フリーランスの病理医兼科学ジャーナリストである榎木英介が、病理、医療業界や博士号取得者のキャリアパス、科学技術と社会に関する「機微」な話題を語ります。組織に属しない「インディペンデント(インディ)」ならではの忖度ない意見や他では公開できない情報を惜しみなくつづっていきます。 榎木の作った“機微だんご“、うまいかまずいか。まずは試しておくんなさい。うまかったらお仲間になっとくれ。 マガジン購読すると単品購入よりお安く記事を読むことができます。

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愉快に暮らすことこそ、最高の復讐である

 あの日から20年。  上のTwitterのスレッドに書いた通り、ちょうど20年前の11月29日、私が書いたNature誌の投書が、私の人生を大きく変えました。 Japan's funding cuts hit the future of science  当時存在していた日本育英会が、日本学生支援機構に改編されるとき、教員等になった際の奨学金返還免除制度が廃止されるという話を聞き、それでは研究者になりたい人が減るのではないかと異議を申し立てる内容の投書をしたのです。

    • 最初から医者にならなかった理由

       今年で医師になって20年になる。  20年前の今頃は国家試験の直前で、ドーナツを猛烈に食べながらひたすら勉強していた時期だ。  理学部を出て研究者を目指していた私が、突如研究室を出禁になって紆余曲折あり、学士編入学試験で医学部に入った…。  そんなストーリーはSNSでも語ってきたが、高卒直後に医学部に入ることはなぜ選択肢に上がらなかったのだろう。  今日はそのあたりを深堀りしたい。

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      • 博士を悪用するのは誰?

         先日、テロ組織などが博士号取得者を採用して悪さをするか考察してみた。  結論から言えば、テロ組織が博士号取得者を悪用することはそうそうないかなと思っていた。  もちろん分野によるわけで、サイバーテロとか電子犯罪的なものが「悪の組織」に使われる可能性はあるとは思うが、ギークというかハッカーというのは必ずしも博士号取得者とは限らないので、難しいところだ。  生命系などのウェットなサイエンスだったらどうなのか。地下鉄サリン事件のように、サリンのようなBC兵器を作るのはどうな

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        • オン・オフのない仕事

           研修医のとき、1年目に市中の病院、2年目に大学病院を研修する、いわゆる「たすきがけ」のプログラムに参加していた。  1年目は赤十字病院に勤めた。急性期の病院での忙しい毎日に、大変さを感じつつも充実感も得た貴重な1年だった。  その病院が終わるとき、指導医だった先生から、「スイッチ」をもらった。  なんのことか分からないと思うが、文字通りスイッチなのだ。  これとは機種が違うものの、いただいたのはいわゆる「中間スイッチ」というものだ。  なんでこれを?その意図は、人

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          "プチ"遠回りをしよう

           先日こんなことがあった。  電車で降りる人を待っていたら、待ちきれなかったのか、後ろの人が私を追い越して電車に乗ろうとした。すると、降りる人も抵抗して押し合い圧し合い。  混乱に乗じてというか、待った私のほうがらくらくと先に電車に乗り込むことができた。  最近、人生というのは、こういう基本的なところで決まっているのではないかと思うようになってきた。  最短距離が最短距離ではないことを知っていることが重要だということだ。

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          30年遅く生まれていたら

           私が生まれたのは1971年。ビートルズが解散し、新しい音楽が生まれた年らしい。  生まれた年の記憶はないが、70年代半ばくらいからは記憶がある。  宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999…。松本零士氏のアニメが脳裏に浮かぶが、未来少年コナンはいまだに好きだし、世界名作劇場はどれも再放送まで見て脳裏に焼きついている。  なんかアニメばっかり語っているが、当然ガンダム世代だし、ガンプラを作っていた。  ファミコンは小学6年生のときに発売されたので、ちょっと遅かった。だから3学年

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          知識の値段

           しかし安く買い叩かれているなあ、という感じだ。  最近この手の求人をよく見る。高度な知識や経験を要求しておきながら、給料は高くない。これだったら他の仕事をした方がマシだという感じのものだ。  X上などでは嘆きの声が聞かれる。

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          職場放棄と医の倫理

           またまた韓国の話で恐縮だが、続けさせていただく。  前回の記事は以下。  この問題に関してほかにも原稿を書いたりしているのだが、書いているうちにある問題に行き着いた。  韓国の医師たちの集団辞職という行動が、医の倫理に抵触しないのか、ということだ。

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          「噛ませ犬」か「スパイス」か〜医学部再受験生、学士編入生の”価値”

           昔はよくプロレスの中継を見ていた。なぜかプロレス好きだった母の影響だ。  新日本プロレス、全日本プロレス、国際プロレス…。まだ今のような群雄割拠の時代ではなかったので、新日本はテレビ朝日、全日本は日本テレビ、国際はテレビ東京で放映していた。  古舘伊知郎氏が名を挙げたのも、新日本プロレスの中継だ。馬場さんより猪木さんの方が好きだったので、新日をよく見ていたような気がする。  で、あの発言が出てくるわけだ。  記事によれば1982年10月8日とある。当時私は小学5年生

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          正直者が馬鹿を見ない研究環境を目指して

           ご存知というかなんというか、10年前から私はある種の「研究不正ウオッチャー」になっている。  なぜこの「沼」にハマったかと言えば、いわずと知れたSTAP細胞事件だ。  何度か触れてきているが、もともとは博士号取得者のキャリアパス問題を追っており、それで著書が「科学ジャーナリスト賞」を受賞しているくらいなので、いまでもそれを「ライフワーク」としている。  そんな私がなぜ研究不正を扱うようになったかと言えば、旧知の毎日新聞の記者さんからの紹介で、STAP細胞事件にコメント

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          韓国〜医師の闘いの勝算

           状況は緊迫している。  医学部の定員増をめぐる韓国の医師たちの行動が、日々過激さを増している。  研修医から始まったスト。同調者が次々と出て、医療に深刻な影響を与えている。  このあたりの動向については、毎週発行のメルマガで記事をピックアップしているので、それもご覧いただきたい。  医療に関して医師がストやデモを行うのは、何も韓国だけではない。前にも書いたが、イギリスでもストがあった。  私は常々、日本の医師は従順すぎて過労死するまで働いてしまうから、こうした自ら

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          博士の力は”悪用”できるか

           博士号取得者のキャリアパス。私がもう四半世紀関心を持って取り組んでいる課題だ。  科学ジャーナリスト賞を受賞した「博士漂流時代」も、まさにそのことを扱っている。  決して今でも関心を失ったわけではなく、毎週発行のメルマガで必ず情報を集約しているし、本にもこのことを書いている。  そんななか、最近経団連が出した報告書が話題を呼んでいる。  経団連のアンケート結果や提言は以下。  これに対して、さまざまな反応が出ている。

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          私の就職氷河期

           1971年生まれの私の世代がいわゆる「就職氷河期世代」かは議論が分かれるところで、頑なに我々を氷河期世代と認めない人がいたり、ときにバブル世代と同一視する人もいる。  難しいところだが、高卒が1990年で、おそらく高卒就職世代はバブルの恩恵を被っている。  大学進学率は30%だったので、概ね7割はバブル世代ではないということだろう。  とはいえ3割の大卒者は氷河期に突入したころに就職活動をすることになった。私が大学を卒業したのが1995年。すでに雇用の状況は厳しくなっ

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          早熟VS大器晩成

           自分の人生を考えると、明らかに天才ではなかった。  子供の頃を思えば、昆虫や天体が好きだったそこら辺の理科少年だった。   小学生の時は成績は悪くはなかったが、出木杉くんほどではなかった。時代もあるが、中学受験もしていない。

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          早熟VS大器晩成

          人を助けることの難しさ

           中年もどっぷり過ぎて50歳を超えると、今までなかったものが見えてくる。  一つは親の老い、もう一つは子供が成人になること。

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          透明な仕事

           能登半島地震から1ヶ月半、被災地はいまだ苦しみのなかにある。  地震などの災害で気づかされるのは、電気、水道、下水など、いわゆる「インフラ」が多くの人の手が加わって維持されていることだ。水道管が破壊され、水が出ない。トイレが流せない。こうしたことが現代の人々の生活をどれほど支えているのか。  インフラを維持している人たちや膨大な努力は、何も起こらなければ見えない。快適な暮らし。豊富な食料。身の安全。こうしたことが当たり前ではないことを知らしめるのが災害だと思う。なくなっ

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