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医学とドイツ語

 明治維新後、日本は医学をドイツから取り入れるようになったことはよく知られている。江戸期にはオランダからしかルートがなかったので、蘭学が花開いたわけだが、そんな遠慮はもうなくなったわけで、最先端の科学はイギリスかドイツからやってきた。

 帝国大学にやってきたお雇い外国人の教授たちが、近代日本に最先端の科学をもたらした。そんな外国人たちの銅像が、いまだに東大構内に立っている。

 医学だとエルヴィン・ベルツ、ユリウス・スクリバ、レオポルド・ミュルレルの銅像がある。いずれもドイツ人だ。近代日本の医学がドイツからもたらされたことがよく分かる。

 というわけで、医学関係ではドイツ語由来の言葉がいまだ使われている。

 我々病理医も、ドイツ語由来の言葉を使うことがある。

 例えばゼク。病理解剖のことだが、由来はドイツ語のゼクチョン。

 ゲフリールは迅速診断のことだが、これもドイツ語だ。

ゲフリール(げふりーる)は術中迅速病理診断のことである。ドイツ語のGeffreelで「凍った」という意味である。ゲフリールとは、手術中の限られた時間内に病変部の性質や手術方法を決定するために行う病理診断のことである。採取した組織を速やかに病理検査室に運び、検体そのものを凍結させて薄く切ったうえで染色、顕微鏡で確認し、診断内容を手術室に連絡する。この過程を約20~30分以内に行う。

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 というわけで、要所要所でドイツ語が出てくる。

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