チームのテンションが上がる振り返りをしよう
みなさん、振り返りしていますか?
スクラム開発において、振り返り(レトロスペクティブ)は重要でありながらも形骸化しやすいイベントの一つだと思います。
この記事では、効果的かつチームのテンションを上げる持続可能な振り返りってなんだろう?という点を書いていきたいと思います。
まずは、スプリントレトロスペクティブの位置付けを確認
スクラムガイドにおける定義
一方で実際の現場で起こりがちなこと
以下の様な経験がある方も多いのではないでしょうか
そのスプリントで起こったことを雑談っぽく話して終わり
問題が起こった時にチーム全体の雰囲気が沈む→そのまま解散する
特定の人の意見だけで改善案が進んでしまい、本当にその変化が重要かがわからないまま次のスプリントに進んでしまう
こんなことが積み重なると、イベントそのものがスキップされてしまったりして最悪、開催されなくなってしまうことも。。。
その結果、最も大切な「⾃分たちの効果を改善するために最も役⽴つ変更を特定」することなくズルズルと悪い状況が続くことにもなりかねません。
取り組んでいること
では、どうすれば良いのか?という点になりますが主に次の3つのステップをチーム(≠リーダーなど特定の個人)で踏んでいくと良いと考えています。
スプリント中に何が起こったか、共通認識を持つ
最も役⽴つ変更を特定する
できるだけ早く対処できるよう、 Next Actionを合意し実行に移す
ここからは具体的にどの様な手段をとっているのか、Howについてご紹介していきます
(前準備)スプリント中にスクラムチーム全員が都度、気づいたことを残す
いざ振り返りをしよう、という段階で全部を思い出そうとするのは時間もかかるし抜け漏れも出やすいと思います。
あらかじめ情報を残せる先を用意しておいて、スプリント中に発生した「良かったこと」や「困ったこと」を残すように促しています。
いざ振り返り当日
全体のアジェンダ
冒頭の10分で今回のSprintの大まかな流れを皆んなで振り返ってみる
次の5分で内容の確認 + 改めて思いついたことを書く Time
次の3分でグルーピングしてみる
次の3分で、みんなで話してみたいものに Voteする (1人5票)
Voteが高いものについて、みんなで話す。
対応したら効果が高そうなもの1〜2個をNext Actionとして Work Itemを作る。(対応の優先順位は次のリファインメント・プランニングで話す)
という感じです。1つ1つ見ていきましょう。
冒頭の10分で今回のSprintの大まかな流れを皆んなで振り返ってみる
アイスブレイク的に「このスプリントどうでしたかー?」という感じでチームメンバー同士の対話を行う時間です。会話をしているうちに新たに思い出すことなども狙いとしてあります。
この時点から少しずつ、場を温めてテンションを上げやすくしていきます。
次の5分で内容の確認 + 改めて思いついたことを書く
他の人が書いた「良かったこと」や「困ったこと」を確認したり、新たに思いついたものを黙々と書く時間をとっています。自分自身がこのスプリントをどの様に過ごしたかを深く思い出す時間としています。
次の3分でグルーピングしてみる
次のステップの問題の特定がしやすくなるよう、類似した意見については集約する様にしています。ここは比較的事務作業の要素が強いのであまり時間をかけず、ぱっと見で進めてしまうことが多いです。
次の3分で、みんなで話してみたいものに Voteする (1人5票)
7名のチームの場合、平均して30くらいの意見が出ます。グルーピングしてもおおよそ20くらいです。これらを全てじっくりと話し合うことは現実的ではないため、出た意見への重み付けをここで行います。投票は気になったもの、みんなで話したいものに対して行う様にしています。
1人5票としていますが、1つの意見に5票入れても良いですし5つの意見に1票ずつ入れても良い、という方針をとっています。
これによって、「どうしても話したい!」と誰かが思った意見についても取り上げられやすくなります。
このVoteの時間は基本的に黙々作業タイムですが、じっくりと他のメンバーの意見に向き合うことができる時間なのでワクワクのボルテージが上がってきます。
Voteが高いものについて、みんなで話す。
対応したら効果が高そうなもの1〜2個をNext Actionとして Work Itemを作る。
ここからが振り返りのハイライトです。これまでのステップや準備はこの時間のためにあると言っても過言ではありません。
Voteの結果、最も数値が高いものから優先的に会話をします。と言っても、「良いこと」から1つ、「困ったこと」から1つ程度にとどめています。
あまり話を広げても時間がかかってしまい、集中力が持ちませんし改善できる体力が限られているためです。
あらためてスクラムガイドを引用すると
ことを目的とした動きになります。
ちなみに、あえて「良いこと」から1つテーマを取り上げるのも重要だと思います。「良いこと」を引き出したメンバーや動きに対してしっかりと称賛をし、その文化を継続するために必要なことだと考えています。
何より、前向きなことに向き合うと気分が良くなりますよね。
また課題に対しても本当にチームが必要だと感じている内容にフォーカスされるので、沈み込むことなく前向きに「どうすればよいか?」を話し合える場になっています。
結果、Next Actionについても非常に納得度高く先に進めやすい環境が醸成されているのかな、と捉えています。
余談:どんなツールを使っているか
上記のステップは全て Azure DevOpsのプラグイン Retrospectives で実現しています (名前そのまま)
個人的にはかなり使いやすいと思いますが、好みのツールを使えば良いと思います。
Let's 振り返り!
開発を進める上で、振り返りは本当に重要だと思います。開発者が抱えている課題感などは、チームで向き合い自律的な成長を目指していきましょう。
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