見出し画像

メンバーの「やりたい仕事」に向き合うこと

私の所属しているドクターメイトでは11月が期末となっており (珍しい!)、このタイミングで評価や目標設定を行います。
この中で、「メンバーは何をきっかけに動くんだろう?」を考える機会があったので、現時点での考えを書き留めておきます。

動くための意欲を引き出すには?

組織の中で人が仕事をするときには、自分で決めたやりたい仕事をやっている方が品質も高く、何より楽しいのではないかと思います(少なくとも私はそうです)。
では、メンバーに「やりたい仕事」をしてもらうにはどんなアクションが必要なのでしょうか。

まずはメンバーの「やりたい仕事」を整理する

やりたい仕事をやってもらうためには、まず、その人がどのような欲求を持っているかどうかを知る必要があると思います。

エンジニアリングマネージャーのしごとの第5章で、有名なマズローの5大欲求をもと、スタッフの欲求について整理されているのがわかりやすかったです。

生理的欲求。自分がしたことに対する適正な額の給与をもらい、妥当な手当が欲しい。
安全欲求。安定した仕事と安全な労働環境が欲しい。
愛と所属の欲求。好きな同僚や刺激を与えてくれる同僚と働きたい。チームや上司と良い関係を築きたい。
承認欲求。フィードバックを通じて非公式にも、職位と昇進を通じて公式にも、両方で自分がしたことを評価してもらいたい。
自己実現欲求。成長と自分のスキルを継続的に広げるために挑戦していきたい。キャリアにおいて常に次に進めるところがあると感じていたい。

エンジニアリングマネージャーのしごと(P79)
5.1 何が人を動かすのか?

対話を通じて、メンバーはどの段階の欲求を持っているかを確認することが重要だと思います。
マネジメントレイヤーとしては、下位の欲求が満たされないのに上位の欲求を満たそうとしたり、逆に既に下位の欲求が満たされているのに上位の欲求を満たそうとしない業務の割り振りになっていないかを確認したいですね。

それぞれの欲求にマネージャーとして働きかける

欲求をある程度把握したら、次にマネージャーとしての働きかけをおこなって行きます。
日々行う1on1やミーティングなどの対話においても、できることはいろいろあると思います。マネジメントとして日々、メンバーと接する中でどのような働きかけをするのが良さそうなのか考えてみます。

生理的欲求

意外と難しいのがここでした。
マネージャーが直接、スタッフに昇給の確約をしたり、職場環境を含めた社内制度をドラスティックに変更することは難しい場合がほとんどだと思います。
ただ、より良くするための働きかけをすることは必要です。自組織に所属しているメンバーの報酬が明らかに市場よりも低い場合、そのギャップを解消すべく行動を起こしている点を見せることはできるでしょう。

安全欲求

いわゆる労務管理的な動きができるのではないでしょうか。メンバーは過度な残業を余儀なくされていないかを確認して行きましょう。
そもそも業務の量が多すぎないか、メンバーのスキルに見合わないような業務の割り当てをしていないかを都度確認することで、できるだけ安全な労務環境を作り出すこともマネジメントの仕事の1つだと思います。
フルリモートの場合、後手に回りがちかもしれません。Daily Scrumに参加するなど、時間の許す限り現場のスタッフと顔を合わせつつ状況を把握していくことが肝要だと感じています

愛と所属の欲求

チーム内の心理的安全性を担保し、スタッフ間の人間関係に気を配りましょう。良好な関係を持続するために、必要なコミュニケーションをが実践することが必要だと思います。
ワンピースでも「仲間だろうが!」が名言として上がっていますが、この辺りをきちんと言えるマネージャーって良いな、と思っています。

承認欲求

スタッフの出したアウトプットに対しての、賞賛やフィードバックを怠らない。特に大切なのは、売上や機能開発に直接に結びつかない、リファクタリングなどのに対しての承認だと感じています。
人は特定の機能のリリースなど目に見えるものばかりを賞賛しがちですが、それにたどり着くまで、幾多の困難をスタッフは乗り越えてきたはずです。このプロセスも含めて承認していくことが大切ではないでしょうか。
また、リリースする時期がズレてしまった・障害が発生してしまった、などに対しても叱責ではなく学びに変えることを促すことも良いと思います。

自己実現欲求

エンジニアとしてご入社される方の多くは、「技術にもっと強くなりたい」、「開発をリードできる実力をつけたい」といった成長の意欲を持たれています。ただし、この成長の方向については、人によって様々です。
ある人は、「ピープルマネジメント」文脈で成長を語りますし、ある人は「フロントエンド強い人」文脈で成長を語ります。
マネージャーは対話を通じて、この文脈を抽出してその人に合った仕事を移譲し、成長を支援する必要があると思います。
マネージャーとしての大きな仕事の1つは、スタッフのの欲求を満たす為の機会を提供することかな、と思います。

持続可能な組織を運営するためにも、メンバーの欲求に向き合おう

どんな人でも、「慣れ」や「公私ともの環境の変化」により欲求は変わってくるものと思います。
常に変わりゆくメンバーの欲求と向き合うことに失敗してしまうと、いつの日か「なんとなく働いている」状態になってしまうかもしれません。
メンバーの欲求に常に向き合い、「やりたい仕事」を生み出して人を方向づけていくのは、マネジメントとして難しくもあり面白くもある領域だと感じています。
きちんと「人」と向かい続けるマネジメントでありたいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?