コーチング日記 2024/6/6

いつも通り、コーチの問いかけから始まる。

「いま、どんな気分ですか?」
「海外旅行の疲れが抜けきっていないのと、頭痛がしはじめて、いやだな~って感じです。これも画面越しにバレちゃうのかなって思ってます」

とても率直に話してくださいましたね、とコーチが笑う。

前回、お金を稼ぐというテーマについて話し、「1ヶ月の支出をざっくり確認する」という宿題を持ち帰っていた。

・予想以上に使っている
・夫の収入に頼っている面が大きい
・食費などを除く自分のための支出(コーチング費用もここに該当する)だけでも結構な額
・とはいえ、健やかに生きるために必要な支出なので削りたくない

というのが分かったこと、感じたこと。

「お金を稼ぐことから、使うことに目が向き始めたんですね。お金をどう使うか。それはつまり、どう生きていきたいのか、ということ。塩冶さんは今、大きなテーマの前に立たれているんだなと思いました」とコーチ。

この流れに乗って、今日は「お金を使うこと」について扱ってみる。

「最近、お金を使うことに後ろめたさを感じるんです」

仕事を離れてから、買い物をするたびに居心地の悪さを感じるようになった。スーパーのちょっとした買い物であっても、「本当に必要?」「もっと安く買えるんじゃないの?」と声がする。

「なるほど。では今日は、お金を使うのが後ろめたい塩冶さんに話を聞かせてもらいましょう。大人の塩冶さんと区別したいのですが、何と呼びましょうか」

「『お金こわい』ですね」

この手法は、これまでも何度か体験したもの。「●●の自分」を「大人の自分」が俯瞰するイメージで話を進めていく。

「『お金こわい』さんは、いつから塩冶さんの中にいますか?」
物心ついたときから。

「『お金こわい』さんは、何をこわがっているんでしょう」
無駄にお金を使ってしまうこと。

「無駄にお金を使ってしまうと、何が起きると思っていますか?」
やりたいこと、大事なことが出てきたときにお金が足りない。

…ん?「やりたいことにはお金がかかる」というのは、もしかして思い込みじゃないか。

「いい気づきですね。また別の塩冶さんが出てきました。でも今はちょっと後ろに下がっていてもらいましょう」

コーチはポンポンと質問を投げかけ、「お金こわい」さんについて深掘りしていく。でも、どうにも芯を食っていないような鈍い感覚がある。

「『お金を使ってしまうと、大事なときに使うお金がなくなる』というのも、物心ついたときから思っていたんでしょうか」

「うーん、それは後付けかも。お金こわい、は間違いなく幼少期からあったけど、大事なときに使うお金が…とまでは考えていなかったと思います」

そういうことか、と納得した様子のコーチ。

「『お金こわい』の裏には傷ついた塩冶さんがいると思うんです。傷ついた塩冶さんと、『無駄に使うな!』というマネージャーが、くっついちゃっている状態ですね」

そう言われて、すっと腑に落ちる感じがした。

「傷ついた私」が出てきたときは、彼女のケアをする。これも以前、体験したことがある。

「お金こわい、と関連するエピソードがあれば教えてもらえますか?」

ありますよ、ありますとも。

服を買ってもらうとき、いつも申し訳ない気持ちだった。勇気を出して母にこれが欲しいと伝えると、「高いね」と言われることも多かった(イオンの服屋だし、そんなに贅沢は言ってなかったと思うんだけど)。

家族で外食するときは、一番食べたいメニューを我慢して、50円でも安いほうを選んだ。でも、妹は何も気にせず高いのを選んでいて衝撃を受けた。
帰りの車の中で、「今日は合計いくらだったでしょう」と母がクイズを出すのがすごく嫌だった。

祖父母や親せきからお小遣いをもらうと、母が眉をひそめて「あら。お礼言いなさい」と言う。え、お金もらう私が悪いみたいな感じ?なにそれ?

ここには書ききれないほど、いろんな場面が浮かんでくる。

お金の記憶はどれも母と紐づいていて、私はお金が絡んだときの母がとても嫌いだったのだ。

コーチは「それはそれは…」という表情で私の話を聞き、「当時の塩冶さんに声をかけてあげてください」と言った。

傷ついた場面を思い出し、当時の自分に声をかける。あるいは、大人の私をその現場に登場させて、文句を言わせてやる。そんな風にして、傷ついた私をケアしていく(過去のセッションでは思い切り母に文句を言ってやった)。

「ほかにもありますか?」と促されて一つひとつのエピソードを扱っていくのだけど、キリがなくて思わず笑ってしまった。

「いまの笑いは、どういう笑いですか?」
「いや、エピソード全部強いんですよね。全部やらなきゃダメかもなって」

そう伝えると、コーチは「ふむ…」と考えるようにして「傷ついた塩冶さんは、当時のつらかった気持ちを大人の塩冶さんに分かってもらえたと感じていますか?」と問いかけてきた。

「あー。正常な状態で話せる、表面的なところまでしか触れていない感じがします。もう一段深いところにいくと、たぶん泣いてしまう」

50分間のセッションでは到達しきれなかった。それほど深い傷つきが、私の中に眠っている。

「まだ出きっていないエピソードを思い出し、一つひとつ大人の自分がケアする」というのが次回までの宿題になった。

最後にコーチが言う。

「今日お話を聞いていて、『塩冶さんが過去にお金を使ってこわい思いをした』のではなく、お母さんから『お金はこわいものだ、お金を使うのは悪いことだ』という思い込みを受け継いでしまったんだなと思いました。

塩冶さん自身の経験にもとづくものじゃなくて、『そういうものだ』と何度も何度も刷り込まれてきた。だから、『なんで私はこうなっちゃったんだろう』ということは今回考えなくていいですからね」

今回の件に限らず、自分の中に母からの継承を感じることがある。同時に、決して息子には受け継ぐまいと思う。

私がコーチングを受けるのは、息子のためでもあるのだ。

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