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虚言癖なゲイ パート2:ゴーストライター

ゲイの世界では、クリエイティブ系のエリートな方々が一定数いる。
たまにこの人が言ってること、どこまで本当なんだろうってことがある。
とある虚言癖疑惑のある男の話。
友達の友達として知り合ったこの男、初対面の時から、
「俺は慶應を卒業した後に、新卒で新橋にある某大手広告代理店に入社して昔10年ぐらい働いてて、今は外資系の広告代理店で働いているんだ〜。」
と自己紹介してきた。
聞かれもしないのに、学歴を自分からいってくるこの違和感。
すると、彼は業界の裏話に興味あるかと聞いてきた。興味はないわけではないと伝えると、こんなことを話し出した。
「誰にも言わないでよ。超極秘な裏情報があるんだけど。自分が90年代後半に某大手広告代理店で働いてたころ、その当時40代男性の自分の上司のクリエイティブディレクターが某大物シンガーソングライターのデビューアルバム案件を手掛けてて。あのメガヒットデビューアルバム、最初彼女が書いた歌詞が全部英語で。プロデューサーでもある彼女の父親に、このクリエイティブディレクターが依頼されて、歌詞を8割ほぼ意訳というかオリジナルな日本語歌詞として作詞したんだよね。この歌詞をみた彼女が『日本の女の子ってこんな恋愛観なんだね。びっくり。』と感心してたってさ。周りのスタッフも『40後半の男性がなんでここまで若い女性の気持ちを表現できるのかね。感心。』と絶賛してたってさ。その後に、まさか累計出荷枚がXXX万枚とか売れるとは誰も思わなかったからさ。このクリエイティブディレクター、アルバムが売れた後に、作詞印税代と口止め料として数億円受け取ったらしいよ。」
と、彼がいうところの超極秘案件をペラペラと。
「それまじ???やばくない???」
とか、ものすごく驚くことも他の人だったならできたんだろうけど。
自分は「へーそうなんだ。」としか返事しようがなく。
なんとか話を切り上げた。
業界の裏話を自分から話す人は、見てても聞いててもしんどい。
絶対誰にも言わないでね、からスタートするこのたぐいの暴露を話すことで、自分はこんなことも知ってるでしょ、すごいでしょ、と認めて欲しいのであろう。
虚言癖に対する免疫がない人がこの男の話を聞くと、6割の人は彼の話を信じてしまうのではないかとおもう。それくらい真実味があるように話す。
それ以前に、この男の最終学歴も、広告代理店に本当に勤めてたのかも怪しい。
この男の選ぶ、誰もが知ってる歌手というパワーワードと、超スキャンダラスな作詞のゴーストライターという組み合わせだけでも、相手が食いつくであろう要素を兼ね備えている。
この男がペラペラ話すレベルのことが万が一真実だとしたら、すでに他の人も知ってるであろうし、とっくに5chで話題になってたり、ネットニュースになってるはず。いわゆる名誉毀損的なこういう類の妄想裏話は、Yahooニュースだけでもお腹いっぱいなのに。
もちろん彼が「今話した話は嘘だった。」なんて死ぬまで話すことはないだろう。もしかしたら、何を話したのかも忘れてるかもしれない。なぜならこれは彼の中では「真実」だったわけで、それを嘘だと立証する人なんて現れようもないから。
その後、何度かこの男と連絡とったりしてたが、明らかな嘘でドタキャンされたり嘘が顕著に現れだして、その後関わることもなくなった。そのメガヒットしたCDをたまに聞くたびに、この男がふと脳裏をよぎりげんなりする。

億単位で稼ぐ超プロ級の結婚詐欺師が、ターゲットの女性に嘘の経歴・収入・学歴を話して100パー信じ込ませる話術と風格。それに近いものを、この男からなんとなく感じた。
これもある意味、才能と言うのであろうか。
人より共感力が高い方かもしれないので、こういう虚言癖の人にとっては、話し甲斐があると察知されるのか、不定期にこういうタイプの人とご縁がある。

ゴーストライターといえば思い出すのが、佐村河内守氏の元ゴーストライターの新垣隆さん。佐村河内のサングラスに髭の見た目、聴覚障がい者としての苦悩や物語、あと話術があっての、NHKでさえ彼を信じ込み、ドキュメンタリー番組を作ってもらうという。
新垣隆さんが暴露しなければ、誰一人として疑うことがなく、壮大な音楽家としてのサクセス街道をまっしぐらだったろうに。新垣隆さんの人柄が前提の、完全犯罪。嘘がバレたとに、佐村河内守氏が「聴覚が回復してきた」という医学的に奇跡的な告白とかしたり、てんやわんや。その後上映された佐村河内守氏を追ったドキュメンタリー映画「FAKE」を、映画館に観に行ったと告白してた新垣さん。
ゴーストライターの時期を経て、新垣隆としての癒し系なキャラクターで新しい形でメディアや音楽業界で活躍してるのを見ると、紆余曲折あれど新たな形で成功してよかったなと。
虚言癖とはちょっとちがうけど、岡崎京子原作のヘルタースケルターをふと思い出した。主人公が骨格以外全身整形してモデルとして成功し果てていく姿と、佐村河内と重なって見える。
嘘をつかなくても、背伸びしなくても、恋愛や仕事で幸せになりたいものですね。

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