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リスボンのトラウマ/引き継がれる記憶
リスボンを歩いていたらトゲトゲした建物に出会った。
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その名もCasa dos Bicos。日本語にすると「くちばしの家」もしくは「トゲトゲの家」といったところらしい。この特徴的なファサードは、元々の持ち主であったインド提督が当時のイタリア・フランスの建築様式を組み合わせて取り入れたものだという。
この建物は16世紀ほどに建てられ、現在はリスボンの歴史を伝える博物館となっている。館内にはCasa dos Bicosが建てられる前にあった、古代ローマ時代の魚醤醸造所や城壁、市場の遺跡や出土品などが展示されていた。
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ポルトガルには大きなトラウマがある。数百年ごとに起こる地震だ。
特に1755年に起こった「リスボン大地震」はヨーロッパ最悪の地震と呼ばれている。マグニチュードは8.5~9.0相当、激震の後には最大30mの津波が、津波の被害を受けなかったところでは火災が発生し、鎮火までに6日間かかったといわれる。死者数は「5万5000人〜6万2000人」「9万人以上」などと伝えられているが、正しい人数は把握できていない。この大地震によって引き起こされた甚大な被害は、現在のポルトガルの経済状況にも影を落としているという。
Casa dos Bicosやリスボン大聖堂など、リスボンにある数々の建造物も深刻なダメージを受け、その多くは19世紀に建て直されている。
リスボンを歩くと、大地震の爪痕の濃さに気づく。それはあえて残されたものだと思う。記憶を引き継ぐために。
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