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バイオリン演奏の基本中の基本のポイント

大人になってから、あるいは学校のクラブ活動で、バイオリンを始める方も増えていて、喜ばしい限りですが、多くの場合、基本となることがあまりきちんとできていないことが多いです。それは弾くときの具体的な運動を教えられるだけで、いわゆる基本中の基本としての考え方が教わっていないからだと思います。これは教えられないと気がつかず、そのまま色々な曲を練習していっても少しずつ弾けるようになり、弾けないという問題が常にあるだけで、特に問題に気がつかないからです。効率よく上達するなら、この基本中の基本は知っておいて、それに従って練習した方がいいでしょう。

演奏動作の基本は、演奏行為を三つの段階に分けて捉えるることです。バイオリンはまずケースから出して松脂を付け、調弦し、それから演奏を行い、終わったら楽器と弓を掃除してケースに入れます。これは準備、演奏、片付けの三段階になりますが、これと同じ過程を、演奏自体でも行います。音を出すには、まず準備します。つまり左手、右手を音を出せる状態にします。さらには出す音を頭の中でイメージします。これが準備になります。次に音を出します。そして最後は出した音を確認します。もちろん音を聞くわけで、ずれていたら修正するわけで、音出しとほとんど同時に行う部分です。これが3番目の段階です。準備、音出し、確認の三段階を行うのが基本です。多くの人は2番目の段階をよく練習します。そうすると弾けるようになります。そして、3番目もなかなか行われないことが多いです。つまり2番目を繰り返し練習することで、予想した通りの音が出ているはずと思って確認をしないのです。

さて、問題の準備の段階ですが、多くの人は準備には問題がない、と思っています。なぜなら2番目を繰り返し練習するときに、ポジションの移動や弓の準備も含んだ練習をしているからです。まさにその通りで多くのテクニックの問題はこれで解決しますが、時々弾きにくい、あるいは弾けてよいはずなのになかなか思うように音が出せない、という部分があります。そこは何度も練習したはずなのになかなか思うように弾けないので、練習が足りないのだと思ってしまいがちですが、実はできていないのは準備なのです。実は練習はきちんと準備ができてから音出しとなるようにしなければなりません。しかし、準備が多少間に合わなくても音は出せるので、準備に問題があることに気がつかないのです。

そこで、2番目の部分の繰り返し練習では、まず最初に準備が間に合うようになる練習をすべきなのです。それができれば、実際に音を出す練習で、音出しそのものの練習ができるようになります。

さて、3番目の確認ですが、自分ではこう弾いているつもりなのに、録音を聞くと全然違うというのは、実は自分の音を聞いているようでぼんやりとしか聞いていないことを示します。ですから、もっと正確に聞く、つまり確認をもっと注意して行う、ということをします。この自分の音を確認するのも、実はレベルに応じてかなり異なり、最初のぼんやりは誰でも自然に行なっていますが、イメージ通りの音かどうかを確認するにはかなり注意が必要になります。さらにもっと客観的に聞けるようになれば、ほとんど自分のやった演奏と録音の演奏には違いがなくなるでしょう。それでも、それは自分の音のイメージとの比較なので、気がつかない部分があり、まだまだ音のイメージそのものをそういう気がつかなかったことまで含めるものにでき、この音のイメージを高めることで演奏全体が良くなるということができるようになります。


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