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2023年8月の記事一覧
自由詩 小品集 - 見えざる手
一.
雑駁のしじま
哀憐のはざま
何者や行かむ
岩頸のさだめ
茫漠のさとり
何者や聞かむ
春芽はなやぐ花里の夜
一.
祖父らの卒塔婆、緑陰に聯亙す
一.
論理の旋律に美が宿るとき
それは数式の美と寸分違わず
四次に根ざした五次元の
悟り身籠る素粒子降れり
一.
自己存在を探求されるが宜しかろう
無無明亦無無明尽
自己などというものは何れにもあらぬ
一.
松籟を覚えさざめく膚
我が半身鵞
自由詩 小品集 - 死生観
一.
来迎をもって目を眩ませることもできよう
印を結べば誰しもが救われることもまた真
拠り所に身を寄せ存在を確かめあう
あたたかな溜息と多少のまどろみ
信仰を餌にしてこどもは肥える
オルガンのゆらぎに
泉は煮え立つ
一.
右脳のいたみは悲鳴ではない
かがよう眠気は未熟の悦び
未完の者よ あの頂には
はるかな空が在るだけでよい
迷える者よ あの最果てでは
種子の歌唄が聴こえればよい
一.
波濤に