ステップ練習を考える#5【ズラす】
ステップ練習で忘れてはいけない順番を一つずつ深掘りしていく
1.間合い
2.角度
3.ズラす(コミット)
4.ステップスキル
今回は【ズラす】
ステップの第一人者・奈良秀明さんは【ズラす=コミットする】と呼んでます
このテーマから、いよいよディフェンスが動く想定に入ります
前回、これまでの【間合い】と【角度】を身につけるとちょっとは抜けると書きましたが
それはあくまで幾つかの条件が揃った時のケースで
逆を言うと、【間合い】と【角度】だけではほぼ抜けないケースがあります
それが、ディフェンスがボールキャリアの真正面に正対している時です
「そんなん、試合中ほとんどそうじゃんか!」と思う人もいるでしょうが、試合中だと意外にそうじゃないケースも多いのです(これはまた違うテーマで詳しく書きます)
【ズラす】を解説していきます
【ズラす】は、言葉を変えると【誘導する】または【騙す】と言う表現にもなります
つまり「ほれほれ、右に行くよー。て、実は左でしたー♫」という感じで相手を騙すという事
これを1秒くらいでするのです
では、どうやったら一瞬で相手を騙す事が出来るのか?具体的に書いていきます
指導者がボールを持ち、選手と真正面に対峙した状態で「君たちがディフェンスだと想定して、今から二つのステップをします。①と②、どちらが引っ掛かりやすいかを考えてみて。」
動きのポイントは後ほど詳しく解説します
多くの人が「②の方が引っ掛かりやすい」と答えるでしょう
さらに質問してください
「①と②の違いは何だったかな?」
「動きが大きい」という答えが出るでしょうが、「どこの動きが?」と、詳しく聞いてください
答えは三つ
足幅
肩(体)の向き
頭の向き
ヒントを出しながら答えが出てくるのを待ちましょう
答えが出たら一つ一つ説明しながら指導者がデモンストレーションしてください
「①でやった相手が騙されないステップします」
(頭、肩を相手に向けたまま、横にちょっとだけステップする)
「次に、足幅だけ広くします」
(頭、肩を相手に向けたまま、足幅だけ広くステップする)
「それに、肩の向きを加えます」
(頭は相手に向けたまま、広い足幅で踏むと同時に肩も一瞬ステップ側に向ける)
「最後に、頭もつけていきます」
(広い足幅で踏むと同時に肩と頭を一瞬ステップ側に向ける)【これが最初にやった②の動きになる】
このように、足幅と肩と頭が動く事でディフェンスは騙されやすくなる事を伝えてください
そして、こう付け加えてください
「必ずしも、足幅と肩と頭の三つを動かさなければいけないという事ではない。人によって、場面によっては、三つのうちの一つや二つだけでも良い。」
この【三つのうちから選択できる】という事を教える為にも、最初からそれぞれの部位での説明が必要となってきます
練習方法としては
1対1で対峙してもらって
騙せないステップ
足幅だけ広いステップ
足と肩だけ
足と肩と頭
足はちょっとで肩と頭だけ など
これらをやりながらお互いに良いとこ悪いとこを注意しあいこする
順番にやるのも良し、ランダムでやるのも良し
一つポイントとしては【騙せないステップ】を何度か合間に入れる
そうする事で、ボールキャリアもディフェンスもオンオフを確認出来るので良いと思います
こうして、大きく動く事で【ズラす】仕組みがわかるようになりました
今まで『大したステップスキルも無いのに、何となくな感覚で抜けていた』という選手は
実は『良い【間合い】で、相手を【ズラす】ステップを踏んで、ナイスな【角度】を走っていた』
という事に気づけるようになります
これに気づけたという事は、その逆
抜けなかった、またはステップを踏んでも捕まった失敗の理由がわかるようになります
さらにそれに気づけるようになれば
テレビやSNSで観るプロや学生のステップを仕掛ける選手の、抜けた理由と抜けなかった理由もわかるようになります
スキルを体で覚えつつも、頭でステップを理解出来るという事です
ここまで理解して日々の練習に臨めば、そこそこ抜ける選手になると確信しています
物凄い個人的で極端な意見ですが
人によっては、【間合い】と【角度】と【ズラす】を深掘りしていくから【ステップスキル】は覚えなくてもいいやという選択もありっちゃーありだと思ってます
それでもそこからさらに進化したい選手は、この土台にプラス【ステップスキル】を身につける事で、より多くの場面でディフェンスを抜いたりズラしたり出来るようになると思います
《参考文献》
【ステップ練習を考える】を書くにあたり「魔法のように人をズラす ラグビー最強のステップ(奈良秀明)」を参考にさせて頂いています
ステップレッスンやってます♬