なんで「前に出てタックルしろ」って言うの?

「前に出てタックルしろー!」

ラグビーの指導者がよく言う言葉です

僕も現役時代数えきれないほど言われました

ラグビーを始めて6年目の大学3年生の時に

初めてその意味が解りました

意味が解った途端にタックルが上手くなりました

それを最近さらに深掘りと言語化が出来ました

先日、ラグビー塾の中学生2人にコーチングしたのでその流れで見ていきましょう

かつお(以下か)「『前に出てタックルしろ』と言われる理由を三つ教えまーす。と、その前に」

か「そもそもタックルって何でするの?」

中学生(以下選)「相手を止めるため」

か「だよね、じゃぁ同じ止めるのでもどこで止めるのが良い?」

選「前」

か「その通り。ラグビーというスポーツにおいてタックルの目的は【相手を止める】も正解だけど、【出来るだけ前で止める】の方が良いよね。」

タックルの目的=出来るだけ前で止める

か「じゃぁ質問。例えばボールがブレイクダウンから出た時にディフェンス(以下DF)が一歩も前に出てこない状態と、前に出てきてる状態、どっちが【タックルの目的】を達成出来そう?」

どっちが【出来るだけ前で止める】事が出来る?

選「前に出る方」

か「そりゃそうだよね、前で止めたいんだから前に出た方が良いに決まってる。これが『前に出てタックルしろ』と言われる一つ目の理由」

前に出てタックルする理由①
出来るだけ前で止めたいから

か「じゃぁ、次。前に出ないタックルと前に出るタックルはどちから強いと思う?」

どっちのタックルが強い?

選「前に出る方」

か「なんで?」

選「スピードがついてるから」

か「その通り。当たり前だけど、棒立ちの状態からタックルするのと、走りながらのタックルなら走りながらの方が強いよね。じゃぁ、それをもっとわかりやすくする為にゲームの戦闘力みたいので表してみると、、」

か「動かずに立っている状態を【20】だとする。当然そこから動かなければ【20】のまま。そこから前に一歩出るごとに+20されていくとすると、一歩で【40】二歩で【60】、、という風に戦闘力が強くなっていく。」

前に出れば出るほど戦闘力が上がる

か「これが『前に出てタックルしろ』と言われる二つ目の理由」

前に出てタックルする理由②
前に出た方が自分が強くなるから

か「じゃぁ、今度は相手、つまりアタックに注目してみよう」

どっちのアタックが強い?

か「同じ条件でボールキャリアの方をを見た時に、どちらの方が強いアタックが出来ると思う?」

選「DFが前に出てきてない方」

か「なんで?」

選「DFの距離が広いからスピードをつけてアタック出来るから」

か「そうね。スピードをつけた方が強くアタック出来る、、て、それってさっきも同じ事言ったよね?つまり、『前に出た方が強くなる』というのはアタック側も同じだという事

か「さっきの戦闘力の話で言うと、ボールをキャッチした時は【20】。そこから一歩出るごとに+20されていく。」


か「戦闘力が強い相手と戦闘力が弱い相手、どっちが倒しやすい?」

選「弱い相手」

か「当然よね。これが『前に出てタックルしろ』と言われる最後の理由」

前に出てタックルする理由③
前に出た方が相手が弱いから

まとめると

「前に出てタックルしろ」の理由は

1.目的が【出来るだけ前で止める】だから
2.自分が強くなるから
3.相手が弱くなるから

めちゃくちゃ当たり前の事しか書いていませんが、僕がこの内容を指導したら今のところ全員「へー、そうなんだー」と腑に落ちた表情を見せてくれます

「ナイスタックル」と呼ばれるプレーの多くが「タックルの高さや姿勢やスピード」などのディフェンス側の事ばかりに注目がいきますが

実際には「ボールキャリアの戦闘力が低い時にタックルしてる」つまり「キャッチから一、二歩ぐらいでタックルしてる」というアタック側の状態にも注目すべきだと思ってます

アタックの戦闘力が低い時にタックルする

補足①

あくまで基本的な考え方の話です

ボールキャリアとの距離が広い場合、途中でスピードを緩めて相手を見る(パドリング)をしなければいけません


補足②

これは全く科学的根拠の無い僕独自の意見ですけど、ボールキャリアは四歩進むと戦闘力が【100】になると思ってます

だから、出来るだけ四歩以内にタックルした方が良いというのが僕の自論です

補足③

冒頭に書いた僕が大学3年生の時に急にタックルが上手くなった理由が

散々言われてきた「前に出てタックルしろ」という言葉を

「相手との距離を詰める」という言葉に自分で置き換えられた時に上手くなりました

腑に落ちるって不思議ですよね

相手にビビる

前に出れずに待ってしまう

相手の戦闘力が増す

吹っ飛ばされる

またビビる

この負のループから抜け出せる選手が一人でも増える事を願っております

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