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今日の断捨離5日目 手元にないのに生き続ける

単純な作りの物、昔の製品ほど丈夫だな、と思う。
田舎の高校を卒業し、専門学校に進学するのに上京した。学校の寮とは言え初めての一人暮らし、生活雑貨がある程度いる。
その時用意した「洗濯物干し」を実に35年物間使用した。洗濯ばさみこそ交換したものの、枠はまだしっかりしている。

形はまさにこれ。色は白。枠はしっかりしていてもさすがに白っちゃてしまった。


長男が訓練船に乗るにあたって、小さめの洗濯物干しを持っていきたいという。それほど長い訓練期間でもないし、我が家で使い続けていた35年物の洗濯物干しを「貸す」ことにした。長男に船内の洗濯室内の写真を見せてもらったら、訓練生が残していった針金ハンガーなどが結構かかっていた。

はたと思い至った。長男はあっという間にその訓練船を下りてしまう、しかし!針金ハンガーなど訓練生が残した備品はそのまま航海を続ける。我が家の35年選手も航海を続けるお仲間にいれさせてもらおうではないか!
訓練船とはいえ、外洋を航海する。長男はこの訓練船でシンガポールを往復した。私が独身時代から使い続けた物がたとえその広い海原を見ることがなくとも、大洋を航海し続ける。なんとロマンがあるんだろう!

集団生活の際に持ち物に記名は大事、である。
船に残してもいいという長男の承諾を得て、私はその洗濯物干しに名前を記入した。私の旧姓を。

大学受験に失敗し、不本意ながら専門学校に進学したあの頃の自分に言いたい、「今、あなたが引越しの荷物にいれたその洗濯物干し、将来ね、外洋を航海するのよ。人生、その先に何が待っているか分からないわね。」と。

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