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「演出」で授業はもっと楽しくなる

 小学校の教員研修で、『ココロ部!』(NHK)の動画「こまったプレゼント」を使ったワークショップを体験してもらいました。

こまったプレゼント
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005130351_00000

 動画を見たあと、自分の意見をワークシートに記入 → 4人ずつの小グループで話し合い → 各グループの結論を発表 → ロールプレイ → 全員で意見交換 という流れです。

 先生たちがとても積極的で、どんどん手を挙げて発言し、いろんな意見や体験談が出て、面白かったです。最後に若い男の先生が「1時間があっという間でした。動きもあって、楽しく、自分の頭を使って考えることができました」と感想を言ってくれました。

 終了後、校長室で校長先生や担当の先生たちとおしゃべり。

「いやあ、いい時間だった」と校長先生。ワークショップの中身よりも、ワークショップの「場づくり」の方に興味を示されました。

・教室に入るとBGMが流れていて、最初から明るい雰囲気でリラックスして参加できる。
・トランプでクジ引きをして自分の席が決まるわくわく感。
・机を使わず、イスだけで4人組みになって話をすることで、思わず身をのり出して人の話を聞く。
・3人でも5人でもなく、「4人」というグループサイズの良さ。
・トランプを使ったクジ引きで自然に4人グループになり、必要があれば「3班のハートさん」のような指名のしかたもできる。

「始まる前に音楽を流すという発想はなかったなあ」と、しきりに感心されました。

 ぼくにとっては、いつも当たり前のようにやっていることなので、そんなに感心されて、ちょっと驚きましたが、考えてみたら、学校教育にはそういう「演出」があまりないのかもしれません。

 映画やお芝居をつくるとき、「脚本家」のほかに「演出家」がいるように、教科書や学習指導要領という「脚本」が決まっている学校教育も、「演出」を工夫することによって、もっと魅力的な授業ができるかもしれません。

 そんなことを考えながら、ふと思い出したのが、ぼくが小学校の5~6年生だったときのことです。担任の永松史子先生は、子どもたちにも授業の「演出」をさせてくれました。

 あるとき、ぼくの家にあった古いテレビがこわれて映らなくなりました。その頃あった、立派な家具のようなテレビです。ぼくは、父親に頼んでそのテレビをもらい、友達と二人でブラウン管や中の機械を外して、外側の枠だけを学校に担いで持って行きました。
 そして、国語の時間、そのテレビを教卓の上に置いて、枠から顔を出し、テレビのアナウンサーのような顔をして教科書の朗読をしたのです。カセットテープに録音したNHKニュースのオープニングの音楽を流しました。ただそれだけで楽しかったのを憶えています。

 あの頃の経験が、ぼくのワークショップの源になっています。

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