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親孝行の息子たち

金持ちの家と貧乏な家の主人は隣同士でとても仲が良く、息子の六助と千吉も親友です。

時が過ぎ、二人の父親が亡くなった後に、千吉の父親が六助の父親に借金をしていたことがわかりました。

貧乏の千吉が、死後の世界でさまよう父親の姿を夢に見ました。金持ちの六助の親父から借りていた「銭一貫と麦三俵」を返さずに死んだため、閻魔様が許してくれず成仏できません。

千吉は、次の朝から寝る間を惜しんで毎日働き、どうにか六助に借りを返しました。

しかし今度は、六助の親父が夢のなかで、「困った時はお互い様、貸したつもりもないのに金と麦を受け取ってしまうとは、世間さまに顔向けできない。早く返しなさい」と、六助を叱りつけました。

二人の親孝行な息子たちは、父親の言いつけを守ろうと貸し借りを巡り、最後には大ケンカになってしまいました。

困った二人は、お奉行様に相談に行きました。
お奉行は親孝行な二人の話を聞き、銭一貫と麦三俵を一旦、奉行所があずかることにした。お奉行は親孝行なふたりに褒美として預かった金と麦を半分ずつ与えて言いました。
「お前たちの親を思う気持ちはよくわかった。それほどまでに親の成仏を願うのならば、今お前たち与えた褒美を菩提寺に収めて供養してもらえばよい。仲直りしたお前たちの姿も見れば、父親たちも成仏できるであろう。父親たちも彼岸で仲良く、親孝行のお前たちの話をして懐かしむに違いない」

二人の息子たちは、このお裁きに大満足して仲良く帰って行きました。

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