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きっとどこかで見てくれている人がいる

「評価してもらいたい」ことが目的で、頑張る人がいます。

こういう人は、人が見ていなければ頑張りませんし、自分にどれだけメリットとデメリットがどれだけあるかということを判断基準にして行動しますから、自分にメリットが無ければ人を助けたりすることもありません。

でも不思議なもので、正直に人の為に生きる人には悪いことは起こりません。それどころか誰も見ていないはずなのに、誰かがどこかでしっかりと見てくれていて、高く評価してくれます。

今回はそんなエピソードを紹介します。

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昔、インドに仲の良いウサギとキツネとサルがいて、こんな話し合いをしていました。

「私たちは、前世の行いが悪かったからな獣(けもの)の姿になっているのかな。今からでも遅くないから、何か善いことをして役に立とうよ」

すると、そこに一人の老人が現れ、長旅の疲れからか三匹の目の前で倒れこんでしまいました。それを見て、サルは木の実や果物を集め、キツネは魚を採ってきました。

ところがウサギは何も持ってくることができませんでした。何とかその老人のために何かしてあげたいと思って、「せめて私の肉を召し上がってください」と言って、自ら火の中に飛び込み焼け死んでしまいました。

これを見た老人は正体を現して帝釈天となって言いました。
「お前たちはとても優しい心の持ち主です。次の世には必ず立派な人間として生まれるでしょう。特にウサギの心がけは立派です。その姿は、永久に月に映し出されるでしょう」

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月の表面に見えるウサギの姿には、このような逸話があったのですね。

禅では、本当の徳は「陰徳」といって、誰も見ていないところで隠れて徳を積む大切さを説いています。

私たち人間は、ウサギから「誰も見ていないからいいや」という判断基準がいかに利己的かということを教えてもらえます。私も月にウサギの模様を見るたびに、セルフチェックしてみようと思います。


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