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期間など(日本法に基づく解釈)

「期間」とは、ある時点(始期)から他の時点(終期)に至る継続した時の区分(一定の時間的な長さ)をいう。
起算日には、期間の初日を算入する場合(初日算入)と、
初日を算入しない場合(初日不算入)があります。

日本に所在する当事者と海外に所在する当事者との間で英文の国際契約を締結する場合、
たとえ準拠法を日本法にしていたとしても、
両当事者が、下記のような日本法(民法等)に基づく解釈を共有しているわけではないので、紛争を避けるために、
期間の初日や末日を算入するか否かについては、
including/inclusive 又はexcluding/exclusiveという表現を用いて明確にしておく必要がある。


1. 期間の起算日

(1) 時間によって期間を定めたとき

(2) 日、週、月又は年によって期間を定めたとき

  • 期間の初日は、算入しない。[初日不算入の原則](民法第140条)⇒翌日から数え始める。

  • 「ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」(民法第140条)⇒初日が午前零時から始まるときは、その日から数え始める。

    • たとえば、「明日から5日間」という場合、明日はまだ来ていない日なので、午前零時から始まる日となる。そこで、起算日として明日を含めて、5日間を数える。(明日を含めずに明後日から起算するわけではない。)

    • 例えば、4月中に「5月1日から7日以内」と規定した契約を締結した場合、5月1日は午前0時から始まるので、5月1日から起算して、5月1日を算入し、5月7日いっぱい(午後12時)をもって期間は満了する。

(3) 「・・・の日から○日間」の意味

  • 民事訴訟法285条は「控訴は,判決書・・・の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない。」と規定し,控訴期間を定めている。
    この場合の「判決書の送達を受けた日から2週間」とは,いつからいつまでをいうのか?
    例えば,ある年の3月1日に判決書の送達を受けたとした場合、2週間は,3月2日から15日までの2週間になる。
    つまり,「判決の送達を受けた日から2週間」という場合の「2週間という期間」は,送達を受けた日を算入しないで,その翌日から2週間を数えることになる。
    これは,民法140条が「日,週,月又は年によって期間を定めたときは,期間の初日は,算入しない。ただし,その期間が午前零時から始まるときは,この限りでない。」と規定しているからである。(引用元:28 「・・・の日から○日間」・「・・・の日から起算して○日間」 – 弁護士菊池捷男のコラム (securitysite.jp)

  • 憲法54条の「衆議院が解散されたときは,解散の日から40日以内に,衆議院議員の総選挙を行・・・しなければならない。」との規定の「40日」も解散の日の翌日から数えることになる。(引用元:28 「・・・の日から○日間」・「・・・の日から起算して○日間」 – 弁護士菊池捷男のコラム (securitysite.jp)

(4) 「・・・の日から起算して○日間」の意味

  • 民法138条は「期間の計算方法は,法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き,この章の規定に従う。」と規定しているので,「法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合」は,初日不算入の原則の適用を受けない

  • その「別段の定め」の1つが「・・・の日から起算して○日間」という定めである。

  • 憲法100条は「この憲法は,公布の日から起算して六箇月を経過した日から,これを施行する。」と規定しているが,ここに「起算して」という言葉が使われてる。「起算して」という言葉はその日から期間が始まるという意味なので,「初日を算入している」定めになる。(引用元:28 「・・・の日から○日間」・「・・・の日から起算して○日間」 – 弁護士菊池捷男のコラム (securitysite.jp)

(5) 法令の施行日の定め方

  • 法令の施行日を定める言葉として,例えば「平成○○年4月1日から施行する。」など確定日を定めその日から施行することを表す場合と,公布の日を基準に一定期間が経過した日から施行する旨を定める場合などがあるが,後者の場合の表現として「公布の日から○○日を経過した日から施行する。」という定め方はされない。その理由は,以下のとおり。

  • すなわち,期間に関する通則である民法140条の本文は「日,週,月又は年によって期間を定めたときは,期間の初日は,算入しない。」と定め,初日不算入の原則を採用しているが,ただし書きで「ただし,その期間が午前零時から始まるときは,この限りでない。」と規定しているので,「公布の日から○日間」と言う場合の「公布」が,通常はありえないことだが午前0時になされたときは,「公布の日から○日間」という場合は初日が算入されることになるので,一般の人には,その法令の施行日が判然としないということが起こる。そこで,そのような疑義を招かないために,公布の日を含むことが明らかな表現つまり「公布の日から起算して○日間」という表現方法がとられている。(引用元:28 「・・・の日から○日間」・「・・・の日から起算して○日間」 – 弁護士菊池捷男のコラム (securitysite.jp)

2. 期間の満了点

(1) 日、週、月又は年によって期間を定めたとき

3. 期日が休日にあたる場合

  • 【判例】過払金返還請求反訴事件(最高裁判決 平成11年03月11日)

    • 貸金の元利金の分割払による返済期日が「毎月X日」と定められた場合にX日が日曜日その他の一般の休日に当たるときの返済期日の解釈

      • 毎月一回ずつの分割払によって元利金を返済する約定の消費貸借契約において、返済期日を単に「毎月X日」と定めただけで、その日が日曜日その他の一般の休日に当たる場合の取扱いが明定されなかった場合には、特段の事情がない限り、契約当事者間にX日が右休日であるときはその翌営業日を返済期日とする旨の黙示の合意があったことが推認される。

    • 貸金の元利金の分割払による返済期日が「毎月X日」と定められた場合に貸金業の規制等に関する法律一七条に規定する書面に記載すべき「各回の返済期日」

      • 毎月一回ずつの分割払によって元利金を返済する約定の消費貸借契約において、返済期日を単に「毎月X日」と定めただけで、その日が日曜日その他の一般の休日に当たる場合の取扱いが明定されなかった場合において、契約当事者間にX日が右休日であるときはその翌営業日を返済期日とする旨の黙示の合意があったと認められるときは、貸金業の規制等に関する法律一七条に規定する書面によって明らかにすべき「各回の返済期日」としては、明示の約定によって定められた「毎月X日」という日が記載されていれば足りる

4.暦による期間の計算

(1) 週、月又は年によって期間を定めたとき

  • その期間は、暦に従って計算する。(民法第143条1項)

    • 「暦に従う」とは、1月を30日又は31日とか、1年を365日とかというように日に換 算して計算することではなく、例えば、1月といった場合は、翌月における起算日 に応当する日(以下「応当日」という。)の前日を、1年といった場合は、翌年に おける起算日の応当日の前日を、それぞれの期間の末日として計算することをいう。(一括ダウンロード 講本(国税通則法)(PDF/3,272KB)

5. 期間の計算が過去に遡る場合

  • 期間の計算が過去に遡る場合には、その起算日が「法定納期限の1年以上前」(徴 法35①)のように、丸1日として計算できる場合を除き、その前日を第1日として過 去に遡って期間を計算する。 【参考法令・通達番号】 通基通(徴)10-1、-2、民法140、143

  • 「の○日前に」という記載の解釈

    • 例えば,会社法299条は「株主総会を招集するには,取締役は,株主総会の日の二週間前までに,株主に対してその通知を発しなければならない。」と規定しているが,この場合の「株主総会の日の二週間前」はいつから数えるのか?

    • その数え方については,直接の規定はない。
      民法138条ないし143条の期間に関する規定は,将来に向かう期間に関する規定だからである。
      しかしながら,過去にさかのぼる場合の期間の計算方法についても,これらの規定が類推適用されると解されているので,民法140条の初日不算入の原則が採用されることになる。
      また,民法141条の「期間は,その末日の終了をもって満了する。」という規定の適用も受ける。

    • そのため,旧商法の時代の判例ですが,「株総会の招集通知書を発した日の翌日から起算して会日までの間に少なくとも二週間の日数を存することが必要だと判示している(大審院昭和10年7月15日判決)。
      すなわち,例えば,平成23年8月31日に株主総会を開く場合は,遅くとも,株主総会会日の前日である8月30日から数えて2週間目である8月16日の前日である8月15日には,株主総会招集通知書を発送しておく必要がある。(29 の○日前に – 弁護士菊池捷男のコラム (securitysite.jp)

    • 逆算の計算方法逆算の計算方法 | 法制執務支援 | 自治体法務Q&A | RILG 一般財団法人 地方自治研究機構

6. 税務大学校講本 国税通則法

  • 「~日から」「~日から起算して」

  • 「経過する日」「経過した日」

  • 「以前」「以後」「以内」

  • 「前まで」「後に」

税務大学校講本 国税通則法

一括ダウンロード 講本(国税通則法)(PDF/3,272KB)




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