中学レベルから始めて洋書1冊読めるようになる学習ロードマップ
「洋書を読んでみたいけどどうやって勉強すればいいのかわからないな。そもそも中学英語もあんまり理解できてないレベルだし…」
このような方に向けて、洋書を読めるようになるための学習ロードマップを提示しようと思います。
中学レベルの英語学習から始めて、簡単なペーパーバックが読めるようになるところまでもっていきます。
早ければ1年以内、遅くとも2年もあればゴールに到達できるでしょう。
付随的な効果で、リスニングや英作文、スピーキングの基礎も固まります。したがってTOEICや英検の成績も一気に伸びていきます。
まずは中学英文法を学習する
最初に取り組むのは英文法テキストです。
おすすめは『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく』。
単語を知らないのに英文法の本なんて読めるの?という疑問が出てきますよね。
しかしこの本なら大丈夫なのです。知らない単語が出てこない構成になっていますから。
始めて登場した単語には、かならず日本語訳がついています。だから本書をこなしていくと、英単語の習得も同時にこなせるんです。
文章のなかで出会った単語は覚えやすいと言われます。単語帳をゴリゴリ進めるより、本書に取り組みつつ単語を増やしたほうが効果的です。
このテキストをマスターした段階で、中学レベルの短文は余裕で読めるようになっています。
初歩の英単語も身につくため、簡単な長文を読む実力もついています。
だからこれ以降の英単語増強トレーニングを、長文テキストを使って進めることができるようになります。退屈で挫折しやすい単語帳テキストは必要なし。
『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく』ならば、知識ゼロから始めても1~2ヶ月でマスター可能でしょう。ある程度の中学英語の知識があるなら、1週間でマスターできると思います。
テキストのくわしい使い方は別の記事に書きます。
できれば発音もトレーニングしておく(オプション)
英文法の学習と並行して、発音のトレーニングも行うとよいです。
たしかに英文を読むだけなら必須ではないのですが、でもやっておいたほうが圧倒的にいい。
発音を押さえておくと英語力の総合的な伸びが違ってくるんです。
しかも大した苦労もすることなく、ある程度はマスターできるので。
おすすめのテキストは『あいうえおフォニックス』。母音編と子音編の両方とも重要。
Youtubeにある動画だけでも十分勉強になります。
このチャンネルの発音動画をまとめた再生リストをお気に入り登録して、1日2~3個ずつ見ていくとよいでしょう。
発音練習のポイントは完璧主義にならないこと。8割ぐらいの正確さで発音できるようになれば十分です。
2週間~1ヶ月もあればだいたいの発音ができるようになり、発音記号も読めるようになるでしょう。
これによって音読の効果がブーストし、リスニングやスピーキングの能力にも大いに派生します。シャドーイングも得意になれます。
また新規の単語を調べたさいに、発音記号からスムーズに発音をイメージできるので、単語の見た目と音が乖離する現象を防ぐこともできるのです。
初期のうちにある程度の発音学習をしておくと、長期的にはものすごい効果が返ってきます。
長文を読みつつ中学英単語を覚える
さて英文法を学習して文章が読めるようになりました。
次は長文を読みつつ語彙力を強化していきます。
使用するテキストは『速読英単語 中学版』です。
Z会が出している有名な参考書。中学レベルからTOEIC900点レベルまで、ずっとこのシリーズにお世話になることになります。
中学レベルなので内容的にはあまり面白くないですが、平易な長文がそろっているので、ストレスを感じることなく取り組めるでしょう。
この段階では複雑な構文の精読とかをする必要はありません。無理なく理解できるレベルの文章を大量に読めば十分なんです。
最新版は音声を無料ダウンロードできます。音声は絶対に必要なので欠かさず入手してください。
一回読んで終わりにするのではなく、マスターしたセクションを音読したり(10回~100回)、音声を聞き流ししたりして、何度も再利用します。
こうしてトータルのインプット量を何倍にも増やすことができるのです。しかもこの方法なら負荷が少ないから続けるのが楽。
このフェーズは1~2ヶ月で終わります。
さっそくラダーシリーズを読んでみる
『速読英単語 中学版』をマスターしたことで、中学レベルの語彙が身につき、長文を読む力もつきました。
ということで英語の勉強的なモードはいったん中断し、いきなりラダーシリーズを読んでしまいましょう。
ラダーシリーズは、海外文学の名作を易しく書き換えたもの。
難しい単語や構文を平易なものに置き換えて、海外の英語学習者でも読めるようにアレンジしたシリーズです。
レベル1からレベル7まであります。
このうち中学英語だけで対応可能なレベル1~2を読んでみるとよいでしょう。
このフェーズは2~3ヶ月の時間をかけてもいいと思います。あるいはこのフェーズの途中から次の高校英語の学習を並行して始めるのもありです。
高校英語の英文法をざっくり習得する
中学英語だけでは、読める英文の範囲は狭いものになってしまいます。
アウトプットだけなら中学英語だけでもなんとかなるのですが、ある程度のレベルの英語を読むとなると、高校英語の学習は必須です。
ということで次に高校英語の文法を学習していきます。
とはいえ中学英語に毛の生えたようなものなので、恐れるに足らず。やはり中学英語こそがアルファにしてオメガなのであり、そこをマスターしていれば後の学習はスムーズに進んでいきます。
おすすめのテキストは『総合英語エバーグリーン』。
説明がわかりやすいし、構成も取り組みやすくて言うことなし。
練習問題がちょくちょく挟まれるのですが(章末にドバッと問題が出てくる本よりもこのほうがいい)、それを解くことでアウトプットしながら理解していくのが重要です。
細かい応用問題はスルーしてもかまいません。まずは基礎の部分だけを一気に終わらせます。
このフェーズは1~2ヶ月で終わります。
高校の英文法の習熟度をさらに上げたい場合は、ドリル形式の参考書に取り組んでおくのもおすすめです。
評価の高いやつならなんでもいいと思います。僕が使ったのは『頻出英文法・語法問題1000』でした。
高校レベルの語彙増強を開始
高校レベルの英文法をマスターしたことで、高校レベルの長文を読めるようになりました。
ということで長文を活用して高校レベルの英単語を補強していきます。
使うのはやはり『速読英単語』シリーズ。これの入門編と必修編をやります。
上級編は文章が難しすぎるので、今はスルー。簡単なペーパーバックを読めるようになるだけなら、上級編はやらなくてもいけます。
上級編に取り組むのは、精読トレーニングを行った後にしたほうがいいです。そこから社会人向けのテキスト『速読・速聴英単語Core』にも接続できます。
高校生向けのテキストになると、内容的にも質が出てきます。書かれてることがけっこう興味深く面白いんですよね。セクションによってはそこらへんの洋書よりも質が高かったりするかも。
だから、かなり楽しんで学習できると思います。
このフェーズは2~4ヶ月で終わります。
簡単なペーパーバックを読んでみる(ひとまずのゴール)
高校レベルの英語をある程度マスターすると、もう簡単な洋書は読めるようになっています。
『英語耳』という名著に書いてあったことの受け売りですが、ラダーシリーズを卒業して普通のペーパーバックを読めるようになったか否かは、『Holes』という洋書を読むことでわかります。
これが普通に読めるようならラダーシリーズは卒業でいいでしょう。
中学レベルから始めても、早ければ1年でここまで到達できると思います。何年も何年もかかるということはありません。
精読のトレーニングを開始
中級者のステージを目指すなら精読トレーニングが必要になってきます。
中級者というのは、もう少し難しめの洋書を読むとか、英字新聞を読むとかのレベルですね。
ここでも高校生向けのテキストは威力を発揮します。
おすすめは『英文読解の透視図』。受験生用の英文読解テキストとして、非常に評価の高い一冊です。これをマスターすると高度な読解力が身につきます。
一番有名なのは『英文解釈教室』ですが、難しすぎるのでパス。
ある程度ふつうに洋書が読めるようになって、さらに上の読解力をつけたいという段階に到達した場合は、『英文解釈教室』をやるのがいいです。
僕は20代後半になってから『英文解釈教室』を3周ぐらいしました。力がつくのは間違いないです。
精読トレーニングを済ますと、速読英単語の上級編や、速読速聴英単語のCoreそしてAdvancedの英文を、無理なく読めるようになります。
語彙をどんどん増やしていく
上級者を目指すなら一周まわってまた語彙が重要になってきます。
中級レベルに達すると「語彙なんて文脈から推測すればよくない?」という気分になってくるんですが、そこからさらに壁を破ろうとすると、やっぱり語彙力がカギになるんです。
とりあえずの最終目標は『究極の英単語』の第3巻および第4巻をマスターすること。これで語彙レベルは12000語を超え、ほとんどの英文を読めるようになります。
そこまでに使うテキストは『速読英単語』の上級編と、『速読・速聴英単語』のCoreとAdvanced。
BasicとDailyはやらなくていいです。高校の『速読英単語』の上級編からCoreに接続できますので。精読トレーニグをやった後なら、上級編も読めるようになっています。
『速読・速聴英単語』のAdvancedをマスターすれば、すんなりと『究極の英単語 vol3』に入っていけます。
『究極の英単語』より先になるともはや導き手が存在しません。多読や多聴の実践を通して、出会った英単語を増やしていくのが学習法になります。
このステージでついに辞書と単語帳が登場するというわけです(この2つは実は上級者向けのアイテム)
なお『究極の英単語』は速読英単語のような長文型テキストではありません。普通の単語帳型テキストです。
このレベルまで来るとこういうテキストでガシガシ覚えていくしかなかったりする(長文テキストが存在しないし)
このタイプの英単語テキストの使い方も、また別の記事で解説する予定です。
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