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スピードラーニング英語版 第13巻 P.4 AMERICAN SCHOOLS(アメリカの学校)

日本語書き起こし

ナレーター
金子さんと友達のモリスさんは、お昼を食べながら、学校のことを話します。

金子夫人
素敵なレストランね、マリリン。
メキシコにいるみたいな気分よ。

モリス夫人
いいでしょう?
ここのメキシコ料理は一番よ。

金子夫人
私、辛いもの、大好き。
このコーンチップスとサルサ、おいしいわ。

モリス夫人
最近どうしてる、春江?
新しい家は落ち着いた?

金子夫人
ええ、だいたいね。
今気になっているのは、学校のことなの。
日本人の学校か、アメリカの学校か、
どちらに子ども達を行かせようか、決められないのよ。

モリス夫人
どれくらいアメリカに住む予定なの?

金子夫人
5年位はいるわ。

モリス夫人
それじゃあ、たぶん、アメリカの学校へ行った方がいいわ。
その方が、もっと簡単に、ここの生活に慣れるんじゃない?

金子夫人
ええ、たぶん、あなたの言うとおりね。
でも、教育の質が気になるの。

モリス夫人
私達の住んでるところの学校区は、とてもいいのよ。
州の中でも一番いいほうなんだから。

金子夫人
本当?学区によって、そんなに違うの?

モリス夫人
ええ、予算や教職員、親、そして生徒達にもよるけどね。
皆の固定資産税の一部が、学校へもまわるわけ。
税金の額によって、各学校で予算が違うの。
基本的には、税金が高ければ、学校もいいってことなのよ。

金子夫人
予算が少ない学校はどうなってるの?

モリス夫人
ちゃんとした設備やいい先生のためのお金が、十分ないってことね。

金子夫人
まあ、それはいけないわね。

モリス夫人
ええ、一番の問題は学区間の不平等よ。

金子夫人
そうね。あなた、親のことも何か言ってたわね。

モリス夫人
ええ、大勢の父兄が学校に関わっているのよ。
私はPTAのメンバーなの。
月に一度、定例会が夕方に開かれるの。
必要なら、さらにミーティングをすることもあるけれどね。

金子夫人
私も日本でPTAの一人だったけれど、積極的じゃなかったわね。

モリス夫人
ここじゃあ、父親も結構参加してるのよ。

金子夫人
本当?それは興味深いわ。
日本のお父さん達は、仕事で忙しいから。
家に帰るのがすっごく遅くなる人が多いのよ。
時には、夜、接待があったりして。
それで、子どもの世話はたいてい母親まかせってことになるのよ。

モリス夫人
そんなのおかしいわ。

金子夫人
ええ、おかしいでしょ。
それで、母親は、先生に、たくたん責任を押し付ける。
それはね、自分の子どもの面倒を見るのが大変になるからなの。

モリス夫人
ふーん?こっちの子ども達は、たいてい、
親の言うことをよく聞くわよ。
父兄なら誰でも、教育委員会の予算会議などに、参加できるのよ。

金子夫人
まあ、それじゃ、親も子どもの学校のことにもっとかかわれるわけね。
日本では、父兄はそういうことに関与することはあまりないの。
文部省がすべてを決定するから。

モリス夫人
ほんと?去年ね、4年生の生徒数が増えたの。
でも、予算の関係で、うちの学校は2クラスしか作らないって決めたの。
アシスタント・ティーチャーを一人雇って、両方のクラスを補佐するようにしようとしたわけ。
でも、もちろん、父兄はこの決定に反対したわ。
3クラス作るべきだって。
でないと、各クラスの人数が多すぎてしまうでしょ。

金子夫人
それじゃあ、もう一人、新しい先生が必要ってことね。

モリス夫人
その通り、私達が何をしたかわかる?

金子夫人
何をしたの?

モリス夫人
たくさんの父兄が、教育委員会に手紙を書いたのよ。
決定に抗議して、3クラス作るように要求したの。

金子夫人
それでどうなったの?

モリス夫人
私達の勝利よ!決定を変更したの。
今年は、3クラスになって、新しい先生が入ってきたの。

金子夫人
わー、そんなこと、日本じゃ絶対ありえないわ。
父兄が学校の決定を左右するなんて、思いもしないもの。
ところで、公立の学校では、どんな教科を教えるの?

モリス夫人
そうね、英語とか算数、社会、歴史、理科などの基礎学科。
それから保健体育、美術や音楽。
息子は、去年からクラリネットを始めて、とっても気に入っているの。

金子夫人
でも、子ども達は基礎をしっかり習っていると思う?

モリス夫人
充分なくらいよ。
私の娘は算数がよくできるので、タッグプログラムにいるの。

金子夫人
タッグって何?

モリス夫人
「才能を与えられた」って意味なんだけど。
算数、英語、理科で優秀な子ども達は、タッグのクラスに入るの。
より高度なレベルを学習させてくれるのよ。

金子夫人
にほんでも、高校ではそういうのがあるけれど。
小中学校では、ないわね。
生徒は皆、同じレベルで教えられるの。

モリス夫人
まあ、ここでは、生徒は個人個人とみなされるから。
授業についていけない子ども達にも、同じことをするわ。
補修クラスに入って、必要なものは手をかけてみてあげるの。

金子夫人
アメリカの教育の目的は、主に、個人の能力をのばすことにあるみたいね。

モリス夫人
ええ、たぶんそうね。
だれでも、得手、不得手があるでしょ。
だから、学校は、できるところはもっと伸ばして、
苦手なところは上達するようにしてあげるのよ。
生徒は、お互いのいいところを尊重しあうの。

金子夫人
うらやましいわあ!
日本では、他と違うと孤立してしまうところがあるのよ。
そういう人をばかにしたり、やっかんだりするから。

モリス夫人
それはよくないわね。

金子夫人
ええ、そうね。
生徒間のいじめが、今、日本では大きな問題なのよ。

モリス夫人
ひどいわね。
アメリカでは、誰もが個性的でいられるの。
それぞれの背景はいろいろでしょ。
だから違うのが当たり前。
見かけだけでなく、考え方においてもね。

金子夫人
いいわね。日本では、他の人と違うと、
居心地が悪いって感じる人が多いのね。
他の人と一緒のことをしている方がいいって考えるのよ。
でも、それは、本当の調和じゃないって気がするの。

モリス夫人
アメリカ人は、たいてい、多様性の中に調和を見い出すんだと思うわ。
それぞれ違う言葉、違う背景や価値観を持った人々が、
一つの国に一緒に暮らしたら、どうなると思う?
自分を表現しなきゃ、誤解されてしまうわ。
だから、自分を表現すると同時に、違いを受け入れる必要があるのよ。

金子夫人
それが、アメリカの教育が目指すところなのかしら?

モリス夫人
ええ。いつもうまくいくとは限らないけれどね。

金子夫人
どうやら、うちの子ども達は、アメリカの学校へ
行かせた方がいいみたいね。
でも、まず、主人と話さなくっちゃ。
今私達がいるのはアメリカ!
主人にも、もう少し子ども達の事を考えてもらわなくっちゃ。

モリス夫人
校長先生とも話した方がいいわね。

金子夫人
えっ?できるの?

モリス夫人
もちろん!
必要なら、いつだって話せるわ。
それも校長先生の大事な仕事よ。

金子夫人
わかった、そうするわ。

モリス夫人
まず、面会の約束をとりつけなくちゃ。
学校に電話してあげましょうか?

金子夫人
ありがとう、助かるわ。

モリス夫人
いいのよ。いつでも言ってね。
あっ、お昼がきたわ。

金子夫人
素敵、いただきましょう!

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