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100語で心を動かす、ニューヨーク・タイムズの英語エッセイコンテスト

アメリカの新聞社、ニューヨーク・タイムズが今年も“100-Word Personal Narrative Contest”を開催すると知り、入選作品の発表を今から楽しみにしている。

13~19歳までのティーンエージャーであれば、世界中から誰でも参加できるこのエッセイコンテストは、自らの人生で起こった意味深い出来事について、100語以内の英語で表現するというもの。

実体験に基づくテーマであれば、エッセイのスタイルも内容も自由となっており、限られた語数の中で自分だけのストーリーを伝える力が試される。

昨年の入賞作品には、微笑ましい日常生活の一コマをユニークな視点で切り取ったものから、情緒豊かで詩的な雰囲気を感じさせるものまで、13作のエッセイが選ばれた。

折に触れて読み返したくなる作品が並ぶこのページを、私はウェブブラウザでずっとブックマークしていた。個人的なお気に入りは、下記の2作品。

Baby Tim ー Timothy, 15, Derry Area High School, Derry, Pa.
ある日の出来事が淡々と記されているだけのようでありながら、一文を読むごとにどんどんストーリーに引き込まれる。子ども同士のおふざけが予想外の大ごとへと発展していく様子にハラハラしつつも、タイトルと綺麗につながる最後のオチで思わず笑ってしまった。

Food for the Soul ー Emily Pedroza, 15, Lynbrook High School, San Jose, Calif.
日本でお馴染みのインスタントラーメンは、遠く離れたアメリカでも親しまれているらしい。ダメと言われたものを秘密で食べる時のちょっとした背徳感と、それを誰かとシェアすることで生まれる親密さ。父親とのささやかな思い出が子どもの心に残っていると思うと、なんだかグッときてしまう。

100語以下にまとめられたショートエッセイは、英語力を問わず、誰でも気軽に読み始められる。

仮に、はじめて目を通した時に作者が意味するところをいまいちつかめなかったとしても、気負わず自分なりの解釈で楽しむことが大切だと思う。

分からない単語が出てくるたびに辞書を引き、少しずつ読み解いていってもいいし、はじめから翻訳ツールを使い、一度全体の日本語訳を眺めてから元の英文に戻ってみてもいい。

日本語訳がなんとなくしっくりこない単語があれば、英英辞典で意味を調べてみると、解釈のヒントが見つかるかもしれない。

無理に訳語を当てはめず、英語を英語のままで捉えようとすることで、言葉の印象にぴったりのイメージが浮かぶ場合もある。

エッセイとの向き合い方は人それぞれ。読むことを通じて、自分では考え付かなかった物事の視点を得たり、読み手がストーリーに自身の体験を重ね合わせたりできるのが面白い。

ニューヨーク・タイムズは、作品の募集に際し、100語でメッセージを伝えるエッセイの書き方ガイドを公開している。

テーマ選定のブレインストーミング時に使える問いのリストや、エッセイをブラッシュアップするためのアドバイスなど、コンテストへの応募資格がある若者だけに限らず、書くことに関心がある大人にとっても参考になる情報が多い。

ティーンエージャーたちが、100語の中で瑞々しい感性をめいっぱい表現する、“100-Word Personal Narrative Contest“。

作品の応募は、2023年10月4日から11月1日(アメリカ太平洋時間/PT)まで、ニューヨーク・タイムズのコンテスト詳細ページのフォームから受け付けている。


(編集部・Moe)

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