見出し画像

飛行機輪行でタイヤの空気を抜く必要はあるのか

「飛行機輪行」で検索すると注意事項としてタイヤの空気を抜く話がよく出てくる。一方で経験上抜かなくても大丈夫という意見も目にする。果たして本当に空気を抜く必要はあるのだろうか。ちょっと考えてみた。

ちなみに私は空気は抜かなくてよいという結論になりました。ただしこれは何かの組織等を代表した公式見解でもなく個人的な意見ですので、これを読んだ方が輪行した際に何かトラブルがあっても一切責任は取りません。輪行の際は航空各社の規約やタイヤ、ホイールメーカー等のマニュアルをよく読んでその指示に従い、ご自身の責任で輪行して下さい。

抜いた方がいいとされる理由

では初めに「なぜ飛行機輪行で空気を抜いた方がいいのか」について順に考えていく。Twitterやブログを見てみるとその理由として気圧の関係でタイヤ、チューブがパンクする恐れが指摘されている。そのロジックは以下のようだ。

飛行機の中は上空に行くと空気が薄くなる。
お菓子の袋などを開けずに機内に持っていくと巡航中はパンパンになっている。袋の中は地上の濃い空気で機内の低い気圧と釣り合わなくなり膨らむ。
タイヤ、チューブも同じくパンパンになるのでその内外の気圧差に耐えられずにパンクしてしまう。

ということだそうだ。飛行機や富士山で袋が膨らむ現象はテレビで見たことがあるし、旅先でパンクしても大変だから少し抜いておこう。となるのはわかる。


機内の環境

では実際には機内(貨物室)はどれくらい気圧が下がるのだろうか。航空会社の情報を確認してみた。

水平飛行中の高度における機内気圧は約0.8気圧程度で、標高約2,000mと同じ環境です。(富士山5合目くらい)

https://www.jal.co.jp/jalpri/aircraft/environment.html

飛行中の客室内の気圧は地上より低く、約0.8気圧程度に調整されており、巡航高度においては標高約2,000mの山に登っているような状態と同じような環境です

https://www.solaseedair.jp/inflight-safety/environment.html

貨物室の空調はお客様の客室とほぼ同様の環境ですが、外気温などの影響を受けることもございます。

https://ana-support.my.site.com/jajp/s/article/answers591ja

確かに機内は地上(約1気圧)より気圧が低いことは事実のようだ。貨物室もほぼ同様の環境らしい。しかし約0.8気圧と言われてもどれくらいなのかピンとこなかったのでカシオの計算サイトで調べてみると、0.8気圧は標高にして1922.21mだそうだ。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1257609530

ざっくりと大雑把だが「標高約2000mと同じ環境」「富士山五合目と同じくらい」というのは本当のようだ。機内は地上よりちょっと空気が薄い。

ということは前述の通りチューブがパンパンになってパンクしてしまうのだろうか。

標高差による変化

「富士山五合目と同じくらい」とはどれくらいだろうか。実際には飛行中の機内(約2000m相当)はフジヒルで有名な富士スバルライン五合目(2305m)より標高は少し低い。つまり五合目の方がタイヤ外の気圧は低く飛行機の貨物室に置いてあるタイヤより内外の気圧差は大きくなる。

気圧差だけを考えても飛行機輪行の方がスバルラインを走るよりタイヤへの負荷が小さいのだ。飛行機の気圧差でパンクするのが本当ならヒルクライムでも頂上付近でパンクが多発するはずだが果たしてそうなっているだろうか。

次に1回のライドで起こりうる標高差を考えてみる。サンプルになる自転車台数が多く高い山に登るといえばツール・ド・フランスだろうか。

2023年のツール・ド・フランス最高峰は2304mのロズ峠だった。富士山五合目と同じくらいの標高だ。

ポガチャルの無線が印象的だったあの第17ステージで気圧差によるパンクはあっただろうか、いや無い。(反語)

そして当たり前ではあるがケースに入れられて貨物室に置いてあるタイヤより、人が乗って走行する方が内圧は高まる上にタイヤ負荷が遥かに掛かることを付け加えておく。

以上を考えると、ロードレースを支えるタイヤにとっては2000m(0.8気圧)程度の気圧変化は常用の範囲であると言っていいだろう。というか実在する峠を越えた程度で壊れるタイヤやホイールを売っているメーカーがあるとしたらやばい。即刻使用を中止した方がいい。


パンクの真の原因は

ここまでの話はチューブやタイヤにダメージがないことが前提となる。飛行機輪行で空気を抜かずにパンクしたという話は嘘ではなく実際にあったことだとは思う。しかし原因は気圧差の他にあるのではないだろうか。傷、取り付け状態、経年劣化、ゴミなどなどパンクの要因は他にも沢山ある。こういったトラブルを避ける為には、(タイヤに限ったことではないが)不具合が無いか輪行前にしっかりと点検するのが大切だ。


まとめ

実際に使用されているよりも遥かに低い負荷である0.2気圧程度の圧力差でロードバイクのタイヤが壊れるはずが無い。というのがたどり着いた結論である。

私は現地で入れ直すのが面倒なので基本的に家を出る時にいつも通りの所まで空気を入れて輪行しようと思います。空港で係員の方に空気を抜くよう言われたらその時抜いたらいいや。と思っています。知らんけど。


最後にこれだけは書いておきます。安心の為に、大事なレースの為に、少しでもリスクを下げたい。ということで空気を抜いておくという人の気持ちもよくわかります。それを否定する記事ではありません。私もやっぱり不安になって抜くかもしれません。あとコメントいいねシェアをよろしくお願いします。元気出ます。よろしくお願いします!!

この記事が参加している募集

旅の準備

よろしければサポートお願いします!note活動費に充てさせていただきます!