#75 餅
金曜日、お仕事の帰り道にいつもと違う小道をえらんでみた。
道というのは不思議なもので、
同じところに繋がっているというのに1本違うと全く知らない土地に来たような気持ちになる。
景色も全くもって異なる。
「餅」
大きな大きな餅という文字が突如現れた。屋根の上にそれはそれは堂々と。
これだ
前の日はコンビニに入ったものの特に食べたいものが見つからず、沢山うろうろしただけで店を出る、というくらいには何にもピンと来なかったのに
餅 という文字を見た瞬間もう餅の心になっていた。
そのお店はすごく昔からある雰囲気で、いわゆる老舗であり、
1組ずつしかお店に入ることが出来なかったので、外に並んだ。
中に入って、さっぱりとした女将さん(餅屋の方って女将さんって呼ぶのだろうか)が迎えてくれた。
結構悩んだ。結構悩んで選ばれたのは、「ずんだ塩大福」と、「カフェラテ大福」。
老舗らしからぬカフェラテ大福の響にギャップ惚れしてしまい、頼んでしまった。
しかし頼んだあと、女将さんが大福を用意している間に、「笹のしずく」という魅力的な品を見つけてしまった。
しまった。これは食べてみたい。
その「笹のしずく」というのは、
あんこがくず餅のような透明な餅に包まれていて、それが笹で巻かれており、
まさに「笹のしずく」であり「笹のしずく」でしかない見た目をしていた。
他のしずくパターンもあり、みかんが丸ごと入っていたり、栗とあんこが入っていたりと
ショーケースの中できらきらと輝いていた。
しかし私は既に2つも買ってしまった。消費期限は明日だし、予算的にもオーバーであるし、、
というお堅い私がこういう時に限って私を取り締まり、
大福ふたつを手に ありがとうございます と店を出た。
次はしずくを持ち帰ろう。
ずんだ塩大福は予想していた通り間違いない美味しさ。もちもちの餅と甘いずんだの餡に加わった塩気がたまらない。
カフェラテ大福は思ったより大人のカフェラテであった。苦味が多めの、珈琲多めのカフェラテというお味。
餅屋の餅、良いですな。
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