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お客様の声の真意を読み解くのが設計事務所の仕事

よく取引をさせていただいているAさんからお電話があった。貸ガレージを作りたいお客様がおられて、お話を聞いてあげてもらえないだろうか、ということだった。

すでにお客様は貸ガレージは他にも運営されていて、近所の別の場所でガレージを作りたいのだそう。地域にもっと貢献をしていきたいのだそうだ。

ぼくにお話をくださったAさんは工務店さんで、建てることのプロ。ぼくたちのような建築設計事務所という立場ではないため、どういう気持ちでお客様が、貸ガレージのお話をされているかまでを汲み取るのは、なかなか簡単なことではないと、ぼく自身は思う。
このあたりは餅は餅屋だと。

現実的な話から考えてみる。

貸ガレージであれば、正直某メーカー(〇〇物置)の既製品のガレージが圧倒的に安価で。ユニットとして商品化されているため、コンクリートで基礎さえ組めば、その上にユニットを載せるだけだから、人件費が格段に安価になります。

お客様が他に運営されている貸ガレージの写真を見ると既製品のガレージであった。そうだよな。その方が、初期投資も少ないし回収期間も早く済むし。
でも今回は既製品は望まれていないという。これが意味することとはなんだろうか。

土地はすでに決まっていて、敷地測量図もある。場所も教えてもらった。
敷地の形状が決まっているので、ある程度、簡易にシミュレーションしてみた。

ガレージの中に置く車のサイズはどれくらいか?
車種は?形状は?自家用車?趣味の車?事業用車?工事用車両?
それによっても必要な奥行や高さも変わってくる。

奥行を広くとることに越したことはないけれど、敷地内にある車路の幅がその分狭くなってしまう(今回はそういう土地形状だった)。そうすると、駐車の転回がしにくくもなる。機能性に関わる部分なので、きちんと詰めていく必要がある。

また、収納性についても考えねばならない。
車種やどういう使われ方を想定するか?によって大きく変わってくる。それによって収納の奥行も変わるため、建物の面積にも大きく影響する。敷地形状の制約もあるので注意が必要だ。

また、軒を出して、庇としての機能をもたせたほうが、車をおりてから、多少なりとも、雨に濡れなくて済むし、大切な車を守ることができる。また、車を自分でカスタムしたり、メンテナンスをするのが大好きな人は、軒下空間はきっと利用しやすい場所になるに違いない。そんな想像をぼくならする。

住まいであっても、店舗であっても、貸ガレージであっても。場所を利用する人たちに、幸せになっていただけるように、このような考えを頭で描きながら、ヒアリングにのぞみ、設計を行っています。

お客様がお話くださることは、はっきりしている要望や問題。でもそれ以上にその言葉たちの背景に一体どんな事があるのか、その真意を読み解いていくのが、ぼくたちの仕事です。

あなたのまちの建築家
八木健吾建築設計事務所 八木健吾
住宅•店舗•設計•リノベーション|加古川/高砂/稲美 - 八木健吾建築設計事務所 (yagi-architect.com)

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