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#71 バー司法長官と単一執行府論

選挙人団による投票で、バイデン次期大統領の勝利が公式に認められた報道をCNNで見ている最中。

ブレーキング・ニュースで『米 バー司法長官 辞任へ』のテロップが流れました。

遂に、持ちこたえられなくなりましたか~!
任期満了まで、あと1か月強だったのに。。。

(あくまでも想像ですが・・・バー司法長官は、トランプ大統領から「選挙人団の投票にも不正があったに違いない、という事にして、俺が勝ったことにしろ。断固戦え!」と言われる前に降りたのではないか、と。)

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バー司法長官は、トランプ大統領を擁護するために、今まで数々の???な判断を通してきました。

■ムラー特別検察官によるロシア疑惑の捜査報告書(全448ページ)を受け取った後、4ページの”書簡”にまとめ、書簡の形で議会に公表した(2019年3月)

■トランプ大統領の長年の友人、ロジャー・ストーン氏の求刑を軽くするように指示した(2020年2月)

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■FBIに対する自らの偽証罪を認めたマイケル・フリン氏(元安全保障問題担当の大統領補佐官)の起訴を取り下げた(2020年5月)


その理由として、ジョン・オリバーは”バー司法長官がUnitary Executive Theory (単一執行府論)を支持していたからだ”、と述べています。

Unitary Executive Theory (単一執行府論)についての説明、8分からです。

Very basically, the theory holds that the president has virtually complete and total executive power.
(基本的に、この理論では、大統領は事実上、完全かつ圧倒的な執行権を有することになっています。)

And some go further, arguing that "the mainstream understanding of the separation of powers...that the three coequal branches of government check and balance each other, is wrong."
(更に、「主流となっている三権分立の考え方・・・国において、同等の力を持つ3つの機関がお互いを牽制し合い、均衡を保つ、という考え方・・・は間違っている」、と主張する単一執行府論者もいます。)

And instead, that "each branch has near-total authority over its own domain."
(彼らは 「各機関は自らの領域についてはほぼ完全な権力を有する」と考えています。)

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But Barr goes even further than that, once arguing that the only checks on the president should be through the election process or the impeachment process," and that is it.
(しかし、それにとどまらず、バー司法長官は更に、大統領への牽制は選挙プロセス、あるいは弾劾プロセスのみであるべきだ、と考えているのです。)

Which is pretty startling, because that interpretation gives the president an enormous amount of leeway.
(これはかなり衝撃的な考え方です。なぜなら、この解釈では、大統領にとってとても多くの事がやりたい放題になるからです。)

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ニューヨークタイムズ紙は2020年の5月13日に、There used to be Justice. Now we have Bill Barr (かつては正義があった。今は替わりにウィリアム・バー司法長官がいる。)というオピニオン記事を掲載していました。

The potential that political considerations could warp decisions by the president and attorney general require this extra check on the executive branch. The best way to stop the downward spiral of the Justice Department is to protect it from its own boss.
(大統領や司法長官が、政治的な配慮をすることで意志決定を歪めてしまう恐れがある。よって、行政府に対して今まで以上に多くの牽制を行う必要がある。現在の司法省の下降スパイラルを止める最善の方法は、司法省を自分のトップから守ることだ。)

トランプ大統領の元側近達はみなさん回顧録を書いていますが、バー司法長官は書かないんでしょうね。

読みたいけれど。

いがらしじゅんこ:会議通訳者

#英語学習 #バー司法長官 #アメリカ大統領選 #選挙人制度 #選挙人団制度 #単一執行府論 #UnitaryExecutiveTheory

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