マガジンのカバー画像

【翻訳メモ】INSIGHTS FOR THE JOURNEY

141
■全体目次 https://note.com/enflow/n/n51b86f9d3e39 ■「ティール組織」の著者であるFrederic Laloux によるINSIGHTS…
運営しているクリエイター

2020年10月の記事一覧

再生

【4.4.6】「承認」や「指導」を欲しがる人たち(We need recognition! And mentoring!)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/446.html ■翻訳メモ 今回は、いくつかの組織で発生した新たな問題についてお話ししたいと思います。それらは「セルフマネジメント」に移行してもすぐに表面化するとは限らないため、少し特別なものと言えるかもしれません。「セルフマネジメント」への移行から1年かそこら経ったある時、突然、「私たちには承認が必要です」という声が聞かれるようになります。この行動は非常に興味深いものです。というのも、「セルフマネジメント」への移行とともに一旦忘れ去られていた、そして、人間が持つ「承認欲求」が再び表面化するからです。かつての組織では、「昇進」という、「承認欲求」を満たすための明確な方法が存在しました。また、上司からの「よくやった」という一言や、特別ボーナス付きの社員表彰制度なども、「承認欲求」を満たすのに十分な機能を果たしていました。従って、従来の組織の管理メカニズムは、報酬を与えることでメンバーのモチベーションを高めていました。しかし、「セルフマネジメント」に移行すると、ほとんどの外的な動機付けの要素は取り除かれてしまいます。外部要因に依存するものはすべてなくなってしまう可能性があるのです。そこで働く人たちは、内発的な動機付けのみによって活動することが求められます。しかし、一部の人たちにとっては、外部環境からの「承認」がまだまだ必要な場合もあります。セルフマネジメント組織で働くには、そういった現実も受け入れる必要があります。また、「競争」と「協力」という二つの側面を両立させることで、より広い視野で問題を解決できるかもしれません。現在の多くの組織は、競争が中心になっており、協業は少ない状態です。しかし、「セルフマネジメント」に移行すると、協業が重要視されます。しかし、競争にも健全な側面があります。私たちの人間性は、多くの場合、協力と競争の両方に基づいています。それは、人類の歴史を振り返れば明らかです。先日、チャールズ・アイゼンスタインが競争の美学について語っていました。彼は、人間が自らの才能を理解し、洗練する手段として競争を捉えています。それは、他者との比較を通じて、自分の得意分野や才能、独自の貢献を見出すことができることを意味します。だとすれば、競争が存在することを否定せずに受け入れる必要があります。競争がある限り、「承認」という行為がなくなることもありません。 以前に話した影の側面を引き出さずに、健全な方法で「承認」を構築していくには、どんな方法があるでしょうか? お勧めするのは、まず、「承認」と「お金」を切り離すことです。基本的に、私たちは、「お金を稼ぐ」という直接的な行為よりも、他人によく見られたい、尊敬を集めたいという方が関心が高いはずです。お金欲しさが目立つ状態では行動は起こしにくいものです。多くの人はお金に対し、何らかの恐れや不安、欲望などを投影しています。金銭トラブルにも巻き込まれたくないとも思っています。私の本では、シンプルで美しい方法を見つけたいくつかの組織の例を紹介しています。 一部の組織では、ミーティングが始まるとまず最初に、組織の内外の人たちが行ったことに対して、順に、「承認」と「感謝」の言葉を発していきます。定期的に行うと、それが毎回のミーティングの一部になります。その声を聞くことで、メンバーは自分の存在の価値を再認識します。それが本当の「承認」であり、報酬がそれに代わることはありません。一部の組織では、金曜日の午後に「感謝」の気持ちをチェーンメールにして送りあうことを習慣にしています。その人の優れた「貢献」に対して、感謝のメールを送ります。無理に習慣化しようとしなくても、1人が誰かに感謝のメールを送信すれば、それが連鎖して、全員が送りあうようになります。それは、「金曜日の午後のチェーンメール」と呼ばれるようになりました。 ドイツのハイリゲンフェルト社には面白い制度がありました。そこには、CEOが以前所有していた古いジャガーがありました。メンバーは本当に素晴らしい仕事をしたと感じた人を指名することができ、その指名を受けた人は、1週間だけ、そのジャガーを運転することができました。楽しくてバカバカしい精度ですが、皆がそれを愛していました。 アメリカにも、ハイリゲンフェルト社の例をそっくりそのまま制度化しているバリー・ウェーミラーという会社があります。彼らの場合も、高級車を1週間限定で運転できます。ただし、もっと理想に近づけるという意味では、もっと豊富なコンテンツが必要です。これでは、少し、ストーリー性が足りないように思います。働いている人たちのお互いの感謝の気持ちを高められるような工夫があればさらによくなるはずです。あえて言えば、素晴らしい映画作品がそうであるように、一人から別の人へ、感謝が伝わっていくような方法が良いと思います。それが私たちの心を満たすものです。 しかし、それを行う際には、強欲さや不足感の感情を引き起こさないようにする必要があります。もし自分が指名されなかった場合に怒りが湧いてくるといったことは避けたいものです。「承認」の持つ多くのメリットを得つつ、多くのデメリットは抑え込む必要があります。これを活かせば、会議やメール、1週間の車のようなシンプルな方法がうまく機能するようになります。 また、「承認」と似たような意味合いを持ちますが、一部の組織からは「メンタリングを導入して欲しい」「昔のヒエラルキーの時代には、定期的にマネージャーと1対1でミーティングしていたが、それがなくなった」という声も聞かれます。かつての組織では、上司と話す機会が作られ、そこで会話を楽しんだり、アドバイスをもらったり、フィードバックをもらったりして、方向性の確認などをしていました。しかし、セルフマネジメント組織では、そのような仕組みを導入する理由はまったくありません。セルフマネジメント組織の多くは、非常にシンプルなメンタリングシステムを導入しており、誰でも自分のメンターを選ぶことができます。そして、メンバーは、1か月に1回など、定期的にその人と会って、会話するのが習慣化しています。下位の人と上位の人との接点が増え、互いの視点や経験から学びを受けることができます。 逆に、以前は下位の人とパフォーマンスについて話すことができたというシニア・リーダーからも、彼らはもはやそれができなくなったという声を聞いたことがあります。ある女性の管理職から聞いた話ですが、彼女は、ある時、マーケティング担当者が進める仕事の優先順位がどう考えてもおかしいと感じたそうです。しかし、その担当というのは彼女の元部下であったため、どう会話したらいいか分からなかったといいます。以前なら、「あなたはクール過ぎます。あなたは仕事の順番を間違っています」ということが言えましたが、今はもうそれができないように感じたと言います。間違った方向に進んでいるのが分かっているのに、何もできないことを彼女はとても不快だと、私に言いました。私は彼女がそう思うことをとても興味深く感じました。私は彼女から話を聞いた後、彼女がどう変化するか見届けようとしました。そして、私は、組織の誰一人として「承認」を必要はなくなったと伝えました。その代わりに、組織の誰とでも会話を始めることができると言いました。このマーケティング担当者は、彼女なりの視点、考え、優先順位を持っています。それでもあなたが行って、経験上それではうまくいかないことを伝えることができると言いました。 何かを押し付けたり押しやったりすることのできる上司の立場ではなく、この会話は、仲間同士の会話です。基本的にはアドバイスプロセスの形式を取ります。私は、マネジメントにおける「親子関係」といった一般的な比喩がとても嫌いです。なぜなら、それは、マネージャーと部下の関係を親子のような固定的な関係と定義するからです。今回は、まさにその考えが役に立ちます。「子育て」の場合、親がボスであるため、親は子供のやるべきことを規定して、子供はその規定に従わなければならないという考え方があります。その一方で、子供がやりたいと思うことは何でもやらせるという自発的な子育ての方法も存在します。これは「セルフマネジメント」においても同じことが言えます。 上司が部下に何かをやらせる、もしくは、上司がそんな権利を持っていないと考える人がいます。しかし、親子関係においても、マネジメントの世界においても、その考えは間違っています。私が取り組んでいる育児方法、そして多くの人が試みている育児方法は、子供のことを理解し、自分のニーズも理解し、その上で、自分のニーズをどうシェアするかだと思います。つまり、関係性に基づいた育児です。そして、皆のニーズが満たされるためには会話をしましょう、ということになります。組織内でも同じことが当てはまります。上級の人であれば、下級の人と話す権利は絶対にあります。自分の視点やニーズを共有することは可能です。ただ、以前のようにそれを押し付けることはできないというだけです。 つまり、これらすべてをまとめるとこうなります。承認と指導、そして下級職と上級職の対話は、「セルフマネジメント」の中核に位置するということです。会話が起こる仕組みの設計自体はそんなに難しいことではありません。競争にも競争の役割があります。そして、例え、いい仕事とは何かという内発的動機付けがあったとしても、「承認」が果たす役目は残ります。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

再生

【4.4.5】チームで起こる摩擦(Team members are harsh with one another)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/445.html ■翻訳メモ 以前の【4.2.10】の動画では、「セルフマネジメント」が始まると、その次の段階で何が起こるかについて話しました。安全な環境で、本音を語り合うことが行われます。驚く組織もありますが、たいていの場合、そこでは、過去の傷や怒りが表面化します。特に、メンバーがトップマネジメントに対し抱いている不信感が大きい場合、そういったことがよく起こります。初めてオープンに話せる機会ができたことで、様々なことが表面化します。すべてを吐き出せる場を作ってから、新たな未知の領域に向かうことが必要になってきます。 「セルフマネジメント」の組織においても、その一部は、特定のチームメンバーに他のメンバーの攻撃が集中することがあるといいます。それと同様の現象ですが、自分の正当な分担を果たさず、ネガティブで、他のメンバーとの折り合いを欠いた「問題児」がチーム内にいることがあります。多くの場合、そういった人は、今までは、積極的な介入ではなかったにしろ、何らかの意味でマネージャーの保護下にあったはずです。そういう人に対して、チームは無力であり、長い間、耐え忍んできたはずです。それが、「セルフマネジメント」に移行したことで、マネージャーの保護がなくなったのですから、チームにとっては今までの「うっぷん」を晴らす時が巡ってきたというわけです。決して多くはないですが、いくつかの組織からは、そういう恨みを晴らしたことを聞きました。その恨みの深さには驚かされましたが。とても興味深いことですが、私たちは自分がパワフルになるのを感じると、大抵の場合、そこから生み出されるものは良いものになるはずです。しかし、その一方では、「シャドウ」と呼ばれるような人間の本能的な行為が出てくることもあります。人間にそのような側面が存在することは、遺伝子に刻み込まれたものでもあり、受け入れなければなりません。この問題にどう対処すればいいのか?それは、メンバーで前もって話し合っておくことが必要だと思います。そして、「セルフマネジメント」に移行するということは、過去の歴史が蒸し返される可能性があることについて話し合い、それが出たときの対処法なども決めておくようにします。 2つ目は、最初のチームミーティングにコーチを同席させることです。悲劇的な状況を避けるには、外部の人間を入れるのが良いでしょう。そこでは、いま何が起きているのか、真剣に話し合う必要があります。そこでは、このような会話がされるでしょう。「あなたは、チームにとっての問題児でしたが、ずっとマネージャーに守られてきた存在でしたね。私たちはこの問題にけりをつけなければなりません。私たちは、どのようにやっていくのがいいと思いますか?」という、リアルな会話がなされるのです。前回のビデオでは、定期的にチーム内で、「セルフマネジメント」をチェックインすることの意義について話しました。チームの方向性を確認するにはとてもいいやり方だからです。今回についても、やはり、それを話すためのスペースが必要です。 ビュートゾルフ社のように、専門のコーチが各チームを担当することを想定してもいいでしょう。人間関係のトラブルはコーチに相談できます。規模の小さい組織では、相談できる相手が限られることもあります。いずれにせよ、そういった状況が起こり得ることを考慮し、準備を怠らないようにしましょう。もし今、そのような状況に直面しているなら、まずは話し合いの場を設け、外部のコーチに助言を求めることが重要です。会話を打ち切ってしまってはいけません。建設的な方法で、過去の問題について話し合うことが必要です。最終的な決定はチームが行います。コーチはファシリテーターに過ぎません。かつてのマネージャーとは異なり、解決策を提示する責任はありません。 「セルフマネジメント」に対処することは、煩わしいと感じる人もいるでしょう。私は逆に、全てが完璧でなければならないという考えが理解できません。また、新しいパラダイムへの移行時に、旧来の考え方である「事なかれ主義」が持ち出されることにも驚きます。彼らの主張が正しいとするなら、成功の可能性が100%でなければ前進できないことになります。これを具体例で説明しましょう。 たとえば、あなたが代替医療を提供する医師で、通常の治療法よりも癌をより良い方法で治療できると信じているとします。しかし、代替医療のリスクは高いです。なぜなら、治療を受けた患者が亡くなると、医師は刑務所に入る可能性があるからです。気をつけなければならないのは、伝統的な治療法でも、毎日多くの癌患者が亡くなっているという現実です。同じ結果でも、代替医療の場合は責任を問われますが、通常の治療法ではそうではありません。私たちの基準の一貫性を再考する必要があります。新しいものは完璧でなければ批判されますが、既存のシステムは機能していなくても問題にされません。それでは、「セルフマネジメント」に置き換えてみましょう。確かに、人間の欠点は存在します。しかし、それらは従来の階層型組織では日常茶飯事です。むしろ、「セルフマネジメント」の方が問題が少ないはずです。 人間の暗い面が完全になくなることはありません。ですから、それが表れたときにどう対処するかが重要です。人間の尺度がどれほど偏っているかを理解していれば、完璧さを求める必要はありません。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

再生

【4.4.4】メンバー間によるフィードバック(Team members are too nice with one another)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/444.html ■翻訳メモ 「セルフマネジメント」を行っているいくつかの組織から聞いた話が今回のテーマです。彼らは、メンバー同士がお互いに優しすぎるのが問題だと言いました。つまり、良好な人間関係が壊れることを恐れるがゆえに、課題について言及しない。迷惑がられることは言わない。本質から外れた仕事に気付いても本人に指摘しない、といったことが起こっていると言うのです。人間は関係性を重視する生き物である以上、そういった態度の人を責めるわけにはいきません。実際、同僚に対してきつい言葉を投げかけるのは嫌なものです。自分はそんなことはしたくない、それはマネージャーの仕事だろう、という人もいます。しかし、それを避けるマネージャーもいます。きちんと伝えているという人も、聞いてみれば、本当にひどいやり方をしている場合もあります。 「セルフマネジメント」の世界では、チームのメンバー同士で会話する必要があります。しかし、自然と会話が起こらないときもあります。すでに「セルフマネジメント」を運用している組織のメンバーからは、良いことだけを本人にフィードバックする「ポジティブ・フィードバック」のトレーニングを取り入れた話を聞きました。これは確かに素晴らしいアイデアです。会話を切り出すことに慣れた人にとっては、価値のあるトレーニングだと思います。会話を始めることに不安を持っている人にとっても、その不安を和らげる効果があるかもしれません。しかし、経験上、このトレーニングだけでは不十分です。それだけでは問題は解消には向かわないということです。メンバー同士で会話ができるようになるには、これから話す2つのことが重要です。 1つ目は、チーム内でのフィードバックを仕組み化することです。以前のビデオで、定期的なチェックの話をしました。同じように、1対1でもグループでもいいので、定期的にフィードバックする機会を作ります。もちろん、ただやるだけではなく色々工夫しながらやればいいと思います。『ティール組織』の本の中で、サウンズ・トゥルー社の例を書きましたが、そちらも参考になるはずです。対立を避けようとする人はフィードバックすることに抵抗を感じるかもしれません。そんな人は、いきなり、「あなたと会話したいんです」と切り出すのは難しいでしょう。そのために、毎月、あるいは3か月に1回など定期化しておくのです。 2つ目の方法は、会話を通してのフィードバックではない、それとはまったく異なったアプローチです。何度も言っていることなので察しがつくと思いますが、チームが自分の仕事の結果に直接さらされて、個人が自分のプライドや痛みに照らし合わせ、それが良い仕事なのか良くない仕事なのか、それらを直接感じられるシステムを作るという方法です。本当にこれ以上の方法はないと思っています。考えてもみてください。チームが仕事の結果を直接感じたなら、自ずと言葉になって表れてくるはずです。良い仕事ならハイタッチをして、良くない仕事をしてしまったと感じたなら、みんなで「痛み」をシェアするということです。結果にさらされた状況では、例えば、基礎トレーニングの時間が不足したことが原因で個人のスキルが不足していたとしても、顧客に不満を抱かせたのなら、それは良い仕事とは言えないことは誰にでも分かるはずです。いずれにしても、そういう仕事をしてしまったと思ったら辛いものです。だから話を聞いて欲しいとなってきます。何度も言いますが、本当に必要なのは、チームが良い仕事をしているのか悪い仕事をしているのか、その場所から遠ざかっていないことです。仕事ぶりについて、財務担当者やカスタマーサービスの担当者から指摘を受けて知るのではなく、最初からチーム全員が直接感じるべきなのです。 チームを顧客に直接さらすことが重要だと、以前のビデオで言いました。そのことを繰り返しましたが、実際には、それができていると、チーム同士で比較ができるようになってきます。ビュートゾルフ社のように他のチームの会議にも参加できるようにしておくと、他のチームのことが刺激になってきます。これは一例です。よい仕事をしているのかよくない悪い仕事をしているのか、チームが誇りや痛みを感じられるようになるにはいろいろなやり方があります。それによって、チームで責任がシェアされるようになってきます。それができて初めて、メンバー間のコミュニケーションの質が高まってきます。会話が意味を持ってくることでトレーニング効果が発揮されるようになります。ここまでくると、ギスギスすることもなくなり、相手が受け取りやすい形でフィードバックができるようになっているはずです。言いにくいことでも伝えられるようになってきているはずです。それは物事が自分事になってきた証拠です。チームがいい仕事をしていないと感じたら、居ても立ってもいられなくなって自然と言葉が発せられるのです。 おそらく、チームメンバーが互いに「いい人で」あり続けようとするのは、彼らが仕事の結果から隔離されているからだと思います。これができている前提で、フィードバック・トレーニングを行って、フィードバックの仕組みを作れば、この種の問題は解消に向うはずです。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

再生

【4.4.3】フリーライダーへの対処法(Colleagues take the freedom, but not the responsibility)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。 ————————————————————— ■元のURL https://thejourney.reinventingorganizations.com/443.html ■翻訳メモ 「セルフマネジメント」への移行を進めている多くの組織は、まったく違った次元で、もうひとつの大きな変化を経験します。一部の組織は、与えられた自由のみ享受し、それに見合う責任を取ろうとしない、いわゆるフリーライダーの問題に直面することがあります。このことは、すでに何度か動画の中でお話ししました。しかし、「セルフマネジメント」にとっての典型的な問題の1つでもあるので、ここでもう一度お話ししたいと思います。なぜなら、これは実にもどかしい問題だからです。私の部下は「セルフマネジメント」に対応できるほど成熟していないという意見はよく聞きます。フリーライダーの問題は、下手をするとその意見の裏付けとなってしまいます。今回はそれをはっきりさせておかないといけないと思いました。では、私が経験したことを2つ紹介します。 1つ目は、十分な数の看護師がいるにもかかわらず、全体のパフォーマンスが下がった病院の話です。その病院には活動量に対して看護師の数が多すぎるチームがありました。それぞれの個人も十分に時間の余裕を持っていました。しかし、別のチームは、人員が足りず、本当にたいへんな状況にありました。その状況を解消するには、余裕のあるチームの何人かが、困っているチームにしばらく移ればよいだけのように感じると思います。そこで、マネージャーはこの余裕のあるチームのところに行って、「余裕があるようだから、だれか他のチームのところに行って、そちらを手伝ってもらえないか」と言いました。しかし、彼らは、「私たちは人が余っているわけではありません。今の人員が理想的なんです」と言って、頑としてその提案を受け入れようとしませんでした。私にその話をしてくれた病院のCEOは、非常に憤っていました。 次は、別の例ですが、非常に短い期間で「セルフマネジメント」に移行した中国の企業の話です。その企業では、労働時間をチェックする必要がなくなったと、「セルフマネジメント」の開始初日にタイムレコーダーを会社からすべて撤去しました。そして、しばらく経ったある日の朝、創設者兼CEOが現地を訪問したところ、始業時間になってもだれも出勤していない事態に遭遇しました。彼は、彼らがあらゆる形の責任を完全に放棄し、「セルフマネジメント」の自由だけを享受しているように感じて、大いに腹を立てたということです。 この問題の核心は何だと思いますか?以前にもお話ししたことですが、これらのチームは、組織内の他のメンバーと一緒に働くことやクライアントにかかわることのあらゆる影響から遠ざかってしまっていたのが原因です。そうなると、例えチーム内のメンバーが痛みを抱えていたとしても、それがチーム全体の痛みとはなってこないのです。 看護師チームの例に戻って考えると、人員不足のチームが発している痛みを、余裕のあるチームはまったく感じとっていなかったことがよく分かると思います。当然のことながら、人員不足のチームの不満は、看護師長やCEOに向かいました。それによって、彼らもその痛みを知ることなったのですが、しかし、それでも、余裕のあるチームに響くことはありませんでした。 先程の中国の事例の場合、問題はデザイナーチームにありました。彼らのデザインの仕事が遅れ始めたことで、他のチームが「痛み」抱え始めるという状態が起こっていました。しかし、これらのチームには十分なつながりがなく、その「痛み」が届くこともありませんでした。デザインチームは、他のチームが苦痛を抱えているなどまったく気付くそぶりもなく、とても遅い時間に、毎日昼頃に出勤していました。こういった状況を解決するには、何度も言いますが、それぞれのチームが、クライアントや作業をともに進める他のチームに直接さらされることが重要です。何かが起こって、誰かが「痛み」を感じたら、その「痛み」を見て見ぬふりができないような環境が必要です。そういった「痛み」の原因とじかに接していると、他人の「痛み」にも気付けるようになってきます。チームが素晴らしい仕事をした時は、みんなで幸せを分かち合い、良くない仕事をしたことに気付いたなら、どこかの部分で、やはり「痛み」を感じることが必要です。チームの段階がそこまで来たら、マネージャーの介入も必要なくなります。メンバーは各自が責任を持って、自分の仕事に取り組めるようになるからです。 メンバーは自分の仕事にプライドを持ち、その成果は、期待をはるかに上回ってくるようになります。これは、「セルフマネジメント」において、常に目にすることです。仕事の結果に直接かかわり、何人からも守られることがなくなったと分かった時、誰かに何かを頼まれたわけでもなくても、自分から動けるようになってきます。 おそらく、これが、「セルフマネジメント」の最もパワフルな側面です。4.1.11の「自己修正システム」から4つ、5つのビデオを見直してみてください。いま話した内容が腹に落ちてくるはずです。 ■お願い 動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。 この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html ■翻訳メモの全体の目次 https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1