【4.4.4】メンバー間によるフィードバック(Team members are too nice with one another)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/444.html

■翻訳メモ
「セルフマネジメント」を行っているいくつかの組織から聞いた話が今回のテーマです。彼らは、メンバー同士がお互いに優しすぎるのが問題だと言いました。つまり、良好な人間関係が壊れることを恐れるがゆえに、課題について言及しない。迷惑がられることは言わない。本質から外れた仕事に気付いても本人に指摘しない、といったことが起こっていると言うのです。人間は関係性を重視する生き物である以上、そういった態度の人を責めるわけにはいきません。実際、同僚に対してきつい言葉を投げかけるのは嫌なものです。自分はそんなことはしたくない、それはマネージャーの仕事だろう、という人もいます。しかし、それを避けるマネージャーもいます。きちんと伝えているという人も、聞いてみれば、本当にひどいやり方をしている場合もあります。

「セルフマネジメント」の世界では、チームのメンバー同士で会話する必要があります。しかし、自然と会話が起こらないときもあります。すでに「セルフマネジメント」を運用している組織のメンバーからは、良いことだけを本人にフィードバックする「ポジティブ・フィードバック」のトレーニングを取り入れた話を聞きました。これは確かに素晴らしいアイデアです。会話を切り出すことに慣れた人にとっては、価値のあるトレーニングだと思います。会話を始めることに不安を持っている人にとっても、その不安を和らげる効果があるかもしれません。しかし、経験上、このトレーニングだけでは不十分です。それだけでは問題は解消には向かわないということです。メンバー同士で会話ができるようになるには、これから話す2つのことが重要です。

1つ目は、チーム内でのフィードバックを仕組み化することです。以前のビデオで、定期的なチェックの話をしました。同じように、1対1でもグループでもいいので、定期的にフィードバックする機会を作ります。もちろん、ただやるだけではなく色々工夫しながらやればいいと思います。『ティール組織』の本の中で、サウンズ・トゥルー社の例を書きましたが、そちらも参考になるはずです。対立を避けようとする人はフィードバックすることに抵抗を感じるかもしれません。そんな人は、いきなり、「あなたと会話したいんです」と切り出すのは難しいでしょう。そのために、毎月、あるいは3か月に1回など定期化しておくのです。

2つ目の方法は、会話を通してのフィードバックではない、それとはまったく異なったアプローチです。何度も言っていることなので察しがつくと思いますが、チームが自分の仕事の結果に直接さらされて、個人が自分のプライドや痛みに照らし合わせ、それが良い仕事なのか良くない仕事なのか、それらを直接感じられるシステムを作るという方法です。本当にこれ以上の方法はないと思っています。考えてもみてください。チームが仕事の結果を直接感じたなら、自ずと言葉になって表れてくるはずです。良い仕事ならハイタッチをして、良くない仕事をしてしまったと感じたなら、みんなで「痛み」をシェアするということです。結果にさらされた状況では、例えば、基礎トレーニングの時間が不足したことが原因で個人のスキルが不足していたとしても、顧客に不満を抱かせたのなら、それは良い仕事とは言えないことは誰にでも分かるはずです。いずれにしても、そういう仕事をしてしまったと思ったら辛いものです。だから話を聞いて欲しいとなってきます。何度も言いますが、本当に必要なのは、チームが良い仕事をしているのか悪い仕事をしているのか、その場所から遠ざかっていないことです。仕事ぶりについて、財務担当者やカスタマーサービスの担当者から指摘を受けて知るのではなく、最初からチーム全員が直接感じるべきなのです。

チームを顧客に直接さらすことが重要だと、以前のビデオで言いました。そのことを繰り返しましたが、実際には、それができていると、チーム同士で比較ができるようになってきます。ビュートゾルフ社のように他のチームの会議にも参加できるようにしておくと、他のチームのことが刺激になってきます。これは一例です。よい仕事をしているのかよくない悪い仕事をしているのか、チームが誇りや痛みを感じられるようになるにはいろいろなやり方があります。それによって、チームで責任がシェアされるようになってきます。それができて初めて、メンバー間のコミュニケーションの質が高まってきます。会話が意味を持ってくることでトレーニング効果が発揮されるようになります。ここまでくると、ギスギスすることもなくなり、相手が受け取りやすい形でフィードバックができるようになっているはずです。言いにくいことでも伝えられるようになってきているはずです。それは物事が自分事になってきた証拠です。チームがいい仕事をしていないと感じたら、居ても立ってもいられなくなって自然と言葉が発せられるのです。

おそらく、チームメンバーが互いに「いい人で」あり続けようとするのは、彼らが仕事の結果から隔離されているからだと思います。これができている前提で、フィードバック・トレーニングを行って、フィードバックの仕組みを作れば、この種の問題は解消に向うはずです。


■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。