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Open Bookshelf − 公開本棚

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「知識は主観的な解釈として顔の見える関係を通じて流通する」という仮説を実証するための個人的な実験です。詳細はこちらの記事を御覧ください→ https://note.com/enf…
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#宗教

哲学と宗教全史(ダイヤモンド社)

サクサク読めて楽しい。けどとても物足りない。 というのがこの一冊の読後感だった。 「哲学」とはなにか? 「宗教」とはなにか? どちらも概念としての輪郭を明確に定義しようとすると非常に難しい。少なくとも自分では説明はできない。(「"哲学的"とはなにか?」というのは、この前に読んだ ニューQ でも扱われていた。言葉にすると難しいんだけど、共有している感覚はものすごくあるんだよな…) 人類の歴史と並走しながら哲学と宗教を概観していくと、どちらもが時代背景からは逃れられないもの

仏教新論(佼成出版社)

日本ロボット学会の名誉会長であり、ロボコンの創始者。 同時に、40年以上に渡る禅および仏教の研究者。 機械としてゼロから創造しようとする営みは、「人とは何か」を追求することであり、必然的に宗教にも行き着くものらしい。 私たちがいま慣れ親しんでいる物理的な要素分解された身体観や世界の認識の仕方は、世界の成り立ちを説明する「一つの考え方」でしかない、ということを、まざまざと実感させられる。 * * *  この書籍で一貫しているテーマは、仏法全体が「一つ」によって貫かれている

唯識の思想 (講談社学術文庫)

先日のレンマ学に続いて、どう表現するか迷う。それでも、「唯識思想」というものに触れる入り口をもらったとてもありがたい一冊。 私達は、世界を「科学」というパラダイムを通じて解釈することに慣れきっている。「人間」という生き物は60兆個の細胞から構成され、細胞は「原子」から出来ていて、その中には原子核と電子がある。 「物理的に要素還元することによって世界は理解できる」 という前提のもとに世界を認識している。 唯識思想は、その「世界の認識の仕方」が違う。八識と呼ばれる「識」によ