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国立西洋美術館のロンドン・ナショナル・ギャラリー展、初日に行ってきた(追記:5日目からの入場について)

国立西洋美術館のロンドン・ナショナル・ギャラリー展に行ってきた。元々は2020年3月3日~6月14日という会期だったが、全期間コロナのため休館。その間に貸し出しの延期交渉とかしたんだろうね。緊急事態宣言解除後、毎日のように西洋美術館のウェブサイトを見に行っていて、ようやく先々週になって6月18日~10月18日という新しい会期が発表された(その後大阪へ巡回、大阪展も後ろ倒しされたことになる)。密を避けるための日時指定予約制は既に他の博物館、美術館も導入しており、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展も当然その措置が取られたが、特殊だったのは、最初の4日間だけ、既に前売券、招待券を持っている人だけの入場日としたこと。5日目からはあらかじめウェブで日時指定券を購入(前売りを持っている人も200円の指定券を別途購入)を販売し、売れ残りのある時間枠だけ当日整理券を発行するのだが、最初の4日間は現地で前売券を既に持っている人に整理券を配布するという。
そう言われたら、ネット予約なんてしないで、先着順で入ってみたくなった。1つの時間枠で何人入れることにしているのかはわからないが、入ってしまえば今までの美術展みたいな恐ろしい混雑にならないことは担保されている。だったら是非とも初日の9:30枠で入場してみたい。初日と言ってもこのご時世、イベントも特別招待客もなかろう。

妙に気合が入ったわたしは、あらかじめミニ図録まで購入。送料勿体ない気がしたが、予習して、与えられた時間にじっくり鑑賞したい。展示作品は61点なので、ミニ図録でも全点紹介されており、展示室のキャプションも全部収められている(厳密には、最後のゴッホの部屋の両脇に書かれた解説は掲載されてない。また、美術館の沿革とかも出てない。絵の詳しい解説が欲しければ大きな図録がいいだろうけれど、わたしはきっと見ない)。

6:30に家を出て、普段乗りやしない時間帯の電車で上京(意外と混んでた。途中駅で座った)、7:35頃上野に着いたら、公園口の位置が大きく移動していた(噂には聞いていたが結構驚いた)。しかしその公園口改札を出ると今までみたいに信号もなく、いきなりまっすぐ西洋美術館前の道である。近づいていくと、やはり既に入り口の前に人が並んでいる。好奇心から先頭の男性に何時から並んでいるか尋ねたら6時過ぎとのこと。行列も今までみたいにびっちり並ばないので、ゆるゆると角を曲がり、その先の人は思ったよりは少な目。前から50人目位(後から、近くに並んでいた人が数えに行ったのでたぶん合ってる)。列についたのが7:40、後から後から人が来る。縁石に腰かけて本を読んだり、持ってきたミニ図録で予習したりして待つ。曇ってて、気温も高くなくてよかった。持ってきた麦茶はほんの少しだけ飲む。

職員の人が出てきて、今日は前売券・招待券を持った人しか入れません、これから券を確認します、と拡声器で言いながら列の後ろまでアナウンス。そして券を確認しながら人数カウント。少し後ろの方の人たちが、時間指定整理券を貰って列を離脱し始める。あ、じゃあこの辺は最初の回に入れるってことですね、と周囲の人と話しながら列の後ろを見たら、結構すぐそばに列の切れ目があった。たぶん、わたしの後ろ、50人もいなかったと思う。こんなに小人数しか入れないのか、と逆に愕然とする。鑑賞するこちらとしては、当然空いている方が見やすいけれど、全然採算取れなさそうな気がするよ。Twitterで、当日の状況を案内するアカウントがあり、現在何時何分~何分の整理券配布中、とツイート。逆に、整理券のない、最初のグループだけがいつまでも列についていることに。それも、9:20になってもまだ列が動かない。本当にぎりぎり。

ようやく列が動き始め、西洋美術館の入り口に来たら、常設展だけ見る、という人がもう中に案内されていた。そういう人は駅方面から来て、左のメインの入口へ、ナショナル・ギャラリー展見る人は、向かって左側に出来ていた行列を右側の臨時入口へと案内され、動線が交差してしまっている。間隔もあいているし、ここでしゅっと混じってしまっても実はばれないぞ(整理券貰ってない、今日から4日間の最初の枠の人の時だけの特殊事例ですが。しかも招待券持ってないとダメだし)。正面向かって右側の壁面に出入り口があり、そこで消毒アルコールを手につけ(足でペダル踏むとボトルから消毒ジェルが出てくる)、館内に入った後は線は崩れて、コインロッカーに荷物を預けに行き、それから階段降りる。もぎりはいつもの階段の下。ビニールカーテンもあるし、もぎりの人はフェイスシールドもつけている。入ったところにある、ひまわりの造花とベンチをあしらった撮影スポット、少し人が並んでいたので写真も撮って貰えた。

会場は7室。2つ目の部屋(オランダ)にフェルメールの「ヴァージナルの前に座る若い女性」、階下の7つ目の部屋(印象派等)にゴッホの「ひまわり」があるのは確認していたので、最初から見ず、まず早足で第2室に行き、フェルメールを見る。報道の人が引きで写真を撮っていた。鑑賞客も入れた写真だね。ショートカットの道がなさそうだったので、順番に部屋を進み、カナレット(大好きなのだ)の絵をじっと眺め、それからターナー「ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス」を見る。大きな絵なので、図録で見ても、もやっとした部分がどうなっているかわからなかったのだ。そして、実物をじっくり見ても、わからないところはわからないということがわかった(ポリュフェモスの姿態が全くわからん)。流石もやもやの画家だ。階段降りて、印象派あたりの絵が並んでいるコーナーを見ていたら、ゴッホだけ別室で最後の部屋にぽんと1点展示され、左右の壁に色々解説が出ていた。正直言って、印象派とか、ナショナルギャラリーの収蔵品の中で一番歴史の浅いジャンルで、ここがナショナル・ギャラリーの象徴だとは言い難いと思うので、こんなにひまわり推しでナショナル・ギャラリーを語るのは違うんじゃない、と思ったりもするのだが、それでも自分もじっとじっとひまわりを眺めてしまうのだった。さっきフェルメールのところにいたカメラマンがこちらに移動してきていて、また、ばしゃばしゃと写真を撮っていた。そして、「美術館ナビ」みたら自分が写っていた。

ここで一旦入り口に戻り、また第1室から眺めることに。そろそろ10時の人が入ってきているが、それでも全然混んでない! 車いすの人を2組ばかり見かけたが、車いすの方は本当に動きやすくて見やすかったのではないかと思う。勿論わたしもだ。どの絵の前にも一度に2人か3人しか立たない(除ゴッホ)状態で全点鑑賞出来て、本当に快適だった。会場はかなり寒いので防寒は必要(だから長袖着ていった)。
3人位座れる長椅子は×印の紙が貼られ、実質1人しか座れない(連れだってる人がくっつくように座っているのも見たが…逆効果?)。普段ならそういうところに図録の見本が置いてあるが、長逗留させないためか、図録はなし。

ロンドンには何回も行っていて、その都度ナショナル・ギャラリーは行っていたが(トラファルガー・スクエアにあって、大英博物館とかよりもずっと行きやすいロケーション)、何しろ膨大な絵が飾られているので、レオナルド・ダ・ヴィンチとフェルメールとゴッホとモネ以外はざーっと流し見になってしまうこともある。日本に厳選した作品がやってくると、現地できちんと見られてなかった、ちょっと地味な佳作などをじっとじっと鑑賞することになるので、行ったことある美術館の作品展でも、日本で見られるのは本当にありがたく嬉しいことである。コロナ禍が長引き、せっかく会場に吊るされた絵が、一般客の目に全く触れることないままイギリスに送り返されることにならなくて、本当によかった。

展覧会グッズのショップも入場規制して少しずつ入れていたが大きな混乱なし。今は会期始まったばかりで、みんな予約入れられて、ゆったり見られて幸せ、という感じだが、後半になると予約いっぱいで入れない人とか沢山出てきそうだな、と思う。

常設展まで見て、12時頃美術館を出たら、外では16時台の整理券を配っていた。あ、まだ本日分終わってないのね。
入り口で手指の消毒とかするせいか、入場にちょっと行列は出来ていた。

6月23日(火)追記:今日からは通常公開で、新規にチケットを購入する人も入場できるようになった(但し西洋美術館の窓口販売はなく事前にネットで日付指定券を購入する必要がある)。前売券・招待券を持っている人も200円で日付指定券を購入して買わなくてはならないのだと、ウェブサイトを見て思っていた。そして、今週の日付指定券は完売状態。美術館の入り口で、前売券・招待券を持っている人のための日付指定券も配布するが規定数に達したら配布終了でそれ以上は入場できない、と記載されていたが、それは、日付指定前売り券が完売の場合は出ないもののように読めたのだが、実は、当日の日時指定券は別に確保されていたことが、今日行った友人のレポートで判明。たぶん、別に日時指定券の割り当てがあるなんてわからない人が大半で、今日前売券・招待券を持って直接美術館に来た人はごく少数だったようだ。待ち時間ほぼ0で整理券を入手して、入館できたし、自分が美術館から出てきた時も、直近の時間帯の整理券を配布していたとのこと。そりゃわからないよ!

と思ったら、国立西洋美術館のサイトに追記があった。たぶん今日入場した人からクレーム(あるいは前向きなご意見)があったのだろう。

「「日時指定券」をお持ちでない場合は、当日先着順でご案内いたします(先着順の場合、混雑時は整理券を配布しますが、枚数には限りがあり、ご入場いただけない場合がございます)。整理券を配付する場合は、閉館30分前または当日ご入場いただける上限に達した場合に、配付を終了します(配布終了後はご入場いただけません)。また、整理券の受取からご入場までお待ちいただく場合がございます。整理券に記載の時間帯に会場内へご案内しますが、ご入場時間はお選びいただけませんので、予めご了承ください」だってさ。おそらく、会期後半になるとこれも品切れ状態になってくるとは思うが、みんなが気づいていない現時点では、直接行っても入れる可能性が高いようだ。こちらのページにも、チャート図が追加された。成程、無料観覧できる小中学生は日付指定券だけ買うのはそぐわないということか。

という訳で、みんなが気づいていない日付指定券が余っていたと思われる本日は、最初4日間よりもすいた状態で鑑賞できた模様。美術展はやはり早くに行くに限る。

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