ハウルの動く城

『魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉』『アブダラと空飛ぶ絨毯―ハウルの動く城〈2〉』、共にダイアナ・ウィン・ジョーンズ作, 西村 醇子訳、徳間書店刊。
不思議な物語。1作目は、荒地の魔女に魔法をかけられ、老婆の姿になってしまったソフィーの視点で、2作目は、魔法の絨毯を手に入れたことをきっかけにスルタンの娘と恋に落ち、さらわれた娘を探しに冒険の旅に出るアブダラの視点で物語が進むが、その、語り手的人物以外が、どのような立場で、どのような視点でこの物語に存在しているかが全くわからない、複雑系の物語。誰が善で誰が悪なのかすらわからない。
魔法の出てくる物語を愛読したことのある人にはたまらない世界が繰り広げられているが、その中でめまいがして、読者である自分がどこに進もうとしているのか、わからなくなる。
こんな複雑で魅力的な世界を、宮崎駿は、どのようにビジュアル化して、見た人みんながわかるような映画にするのか? 読んで理解出来なかった部分は、映像化されて腑に落ちるのか? せっかく、表紙以外全く絵のない本で、読者のイマジネーションを信じて作られている本なのに、映画化されて、すべて説明されちゃうと興ざめみたいな気もするが...。

(2004年07月14日のブログ記事より転載)

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