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毎日読書メモ(217)タータンチェック

読書記録を遡っていて、奥田実紀『タータンチェックの文化史』(白水社)の短い感想文が出ていたので、それを紹介すると同時に、もう1冊タータンの本読んだな、という備忘として。

代官山蔦屋書店の文化史コーナーで見かけてすごく気になって、でも帰って図書館で借りてしまった(汗)。作者の、タータンチェックへの愛が強すぎて、専門書色は薄れてしまうが、色々な側面からタータンチェックのなりたちを追い、読み手がみんなタータンらぶになってしまう、そんな本。
(2012年7月の読書メモ)

タータンは、色糸を組み合わせて綾織にした織物で、プリントでチェックを再現したりしたものはタータンではない。タータンは使用する色やそれぞれの色の幅、柄の出方が厳密に定義され、そのタータンを用いる部族クラン(スコットランドの)とか、グループ(例えば伊勢丹とかバーバリーのような企業のタータンもある)がきちんと決まっている。それぞれのタータンが名前を持っている。その辺のことが『タータンチェックの文化史』に緻密に緻密に書かれていた。
昔、英国から衣料品の買い付ける仕事をしていたことがあり、キルトのメーカーのブースで商談をしていて、タータンの見本を貰ってきて(裏にタータン名のシールが貼ってあった)、シーズンが終わったときに、仕入れ担当の方から譲り受け(毎年、販売するタータンは変わっていくので、前年のタータン見本はもう使えない)、パッチワークのようにつなげてクッションを作ったことがあった(数十年たつが未だに使っている)。
英国から衣料品を仕入れていて、色柄のこだわりが強いと思ったのは、タータンと、もう一つレジメンタルタイ(英国陸軍の連隊ごとに違うストライプのネクタイ。陸軍の連隊から発祥し、これも出身大学とか、グループで幅のきちんと決まった織りネクタイを登録している)。Blackwatchという、紺と緑のタータンは、スコットランドのハイランド独立連隊の独立歩兵中隊6隊の創立された頃からのあだ名にちなんでいて、レジメンタルタイでもBlackwatchという柄があった。ネクタイの仕入れを担当していたおじさんでレジメンタルタイおたくの人がいて、英国のネクタイメーカーの方が商談に来ると、食らいついてレジメントの質問をしていたのが懐かしいが、それはまた別の話(というか、今、「レジメンタルタイ」でぐぐっても、そういうオタク的知識が全く出てこないので、レジメンタルタイに関する詳細な情報はインターネット勃興前にすたれてしまったのかもしれない)。

閑話休題、2018年12月~2019年2月に三鷹市美術ギャラリーで「タータン 伝統と革新のデザイン」展が開催され、全国巡回もしたのだが、情報を得たのが遅すぎて、展覧会を見ることは出来なかった。しかしこの時の図録は書籍として刊行されたので、現在でも入手可能で、わたしも後で購入して読んだ。好きなものについて研究してその成果を発表することの喜びに満ち溢れた本。三鷹市美術ギャラリー他『タータン 伝統と革新のデザイン』(青幻舎)。

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