パラダイスティ5

そういえばバーは一度だけ連れてきてもらった事がある。私が20歳になったからと誕生日の翌日に大学の先輩に連れてきてもらった。その先輩曰く居酒屋で飲みまくって酔うお酒よりもバーでゆっくりと好きなお酒を飲む方が大人っぽくていいでしょ?という事だった。確かに今実際に来てみて大人っぽい雰囲気で飲む方がかっこいい気はする。

「最初何を飲みますか?」

とバーテンダーから言われた。私の目の前には今まで見たことのないお酒がずらりと綺麗に棚に並べられており、何を頼んだら良いのか分からなくなった。

「あの、こういうお店1人で来るの初めてなんですが…。」

「そうなんですか。そしたらどういうお酒がお好きですか?」

真っ先に思い浮かんだのは缶チューハイだった。いつも家で飲む時は缶チューハイか無ければビールだ。居酒屋でもサワー系を頼む事が多い。

「私普段缶チューハイかビールしか飲まないんですがそれでも大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。ちなみに今どんなのが飲みたいですか?甘いものですか?それともさっぱりしたものですか?」

「さっぱりしたものがいいです。」

そう言うとかしこまりましたと言ってバーテンダーは早速作り始めた。目の前でお酒を作ってもらうのは初めてかもしれない。以前先輩とバーに来た時はテーブルの席だったので見る事はできなかった。

「ちなみにここはどういう経緯で知ったんですか?」

バーテンダーはお酒を作りながら話しかけてくれた。

「私の友達が勧めてくれたんです。」

「そうでしたか。ありがとうございます。」

そしてあっという間に完成した。

「お待たせしました。こちらダージリン・クーラーです。割りとさっぱりしたもので飲みやすくなってます。」

ダージリン・クーラーという事は紅茶だろうか。飲んでみると本当に口当たりがさっぱりしていてアイスティーサワーを飲んでいるような感じだった。

「どうですか?」

とバーテンダーが聞いてくれた。

「美味しいです。こういうの初めて飲みました。」

「なら良かったです。」

そう言ってバーテンダーはお通しを出してくれた。

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