パラダイスティ4

明美が去った後、私は母親に「今日はサークルの友達とご飯食べるからいらない。」とメールを送った。すぐ「分かった。を付けてね。」と返事が返ってきた。でもそんな予定はない。サークルの友達も同じ講義を受けてる友達もみんな最近は忙しそうにしている。今日はなんとなく誰かと一緒にご飯が食べたかったが、そんな都合の良い人はいるわけがなく…。

今はネットで調べればいくらでも出会いはある。相席居酒屋もあるし誰かと一緒にご飯を食べようと思えば食べれるのだ。しかも友達から聞いた話だと奢ってくれるそうだ。でも私にとってそういうのはなんだか気が引けた。

大学の最寄り駅から電車に乗って20分くらいした所で私は電車を降りた。友達に前から良いお店だから行ける時に行ってみてと言われてから一度も行ってなかったので行ってみる事にした。

駅に到着してから歩いて2分もしない所にその場所はあった。外観はとてもオシャレで扉は3メートルを余裕で越えてるんじゃないかっていうくらい高かった。オシャレなバーなんて聞いてないし一人で1人で来るなんて初めてだ。

恐る恐る扉を開けてみると中から40代くらいの渋い雰囲気のバーテンダーさんが出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。お1人様ですか?」

そう聞かれて私は勢いよく頷いた。入ってみるとまだ誰もいなかった。鞄をお預かりしますよと言われ、渡した。そしてこちらへどうぞと言われ、カウンターのど真ん中の席に案内された。

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