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大腸カメラについて詳しく説明します

今回の記事は、大腸カメラについての記事です。

大腸カメラは、検査前日の食事制限、緩下剤の内服。検査当日に1000〜2000mlの検査用の下剤の内服を行うため、「しんどい」イメージが強い検査です。

しかし、近年は、大腸癌が増えてきています。大腸癌のリスクは40歳から高くなってくるため、一度検査を受けておくと安心です。


1)検査前日の準備

大腸カメラを受ける日程が決まったら、検査説明を受けます。
クリニックによって多少異なるかもしませんが、多くの場合は、
前日の昼食からうどん、おかゆなどの消化の良いものにします。
夜9時までに夕食を済ませ、そのあとは、水分のみです。

水、お茶、スポーツドリンクなどの透明な水分にしてください。
海藻、きのこ、揚げもの類などの消化に悪いものは、避けてください。

クリニックによっては、検査前日から検査用のレトルトパックの食事の指定があります。施設の指示に沿った食事にしてください。

夜の8時から9時くらいに、錠剤と小さな瓶に入った水薬の緩下剤をコップ1杯以上(約200ml以上)の水で内服します。
クリニックによって、内服する下剤の種類や量は異なります。

大腸カメラの同意書にサインをします

問診表に記入します。
問診の項目としては、以下のことがよく聞かれる内容です。
1、食事は、前日の夜9時までに済ませたか
2、車、バイク、自転車を運転して来院していないか
3、心臓病または、不整脈と言われたことはないか
4、緑内障と言われたことはないか
5、前立腺肥大はないか(頻尿、残尿感はないか)
6、薬のアレルギーはないか
87、血液を固まりにくくする薬は内服していないか
8、人工透析はしていないか(人工透析をしている場合は、シャントは左右どちらにあるか)
9、女性は、妊娠、授乳をしていないか


内容の解説をすると、
1、食事は、前日の夜9時までに済ませたか
大腸カメラは、食事が残っていると十分な観察ができません。
前日から消化の良い食事に変更し、大腸検査用の下剤で大腸内の便を出します。食事をとっていなくても、今まで溜まっている宿便は残っています。
食事の調整と下剤で、大腸内を綺麗にしておくと、ポリープの見落としも少なくなります。

2、車、バイク、自転車を運転して来院していないか
→鎮静剤を使用するときは、基本的に当日の運転はできません。
鎮静剤は、醒めていると思っても、とっさの判断が鈍るため、事故に繋がりやすいです。
工場などでの、精密な仕事、危険を伴う作業(プレス作業など)も禁止です。

3〜5の心臓病などの既往歴の項目
→これらの既往症がある人には、検査中に使用する一部の鎮痙剤の使用を避けなければいけません。
鎮痙剤とは、大腸の動きを抑える薬です。検査中に、消化管の動きが活発になると、観察しにくくなるため、このような薬を使うことがあります。
これらの既往症があると薬が使えないため、他の薬を代用します。

7、薬のアレルギーはないか
→大腸カメラでは、鎮静剤や大腸の蠕動運動を弱くする薬を使用します。



8、血液を固まりにくくする薬は内服していないか
→これは、抗凝固剤、抗血栓剤のことを言います。コレステロールの薬とは、また違う薬です。
主に、心臓、頸動脈、脳に血栓を作らないように内服する薬のことです。
患者さんによっては複数個内服されている方も、いらっしゃいます。
これらの薬は、自己判断で中止してしまうと、血栓を作るリスクが高くなるため、必ず、医師に報告してください。
また、薬によって、休薬が必要な期間が異なるので、前日に中止するだけでは、意味はありません。医師の指示のもと、内服、休薬をしてください。
大腸内視鏡検査では外来で切除可能なポリープをとることがあります。
このときに、抗凝固剤、抗血栓剤を内服していると、出血のリスクが高くなります。ポリープを切除した場合は、検査後、クリニックの説明に従った食事、生活をしてください。

9、人工透析はしていないか(シャントの左右)
→腎機能の悪い方は、使用する鎮静剤の醒めが悪くなるときがあるので、薬の調整をすることがあります。
また、シャントを作っている方の場合、シャント側での、注射、血圧測定はできないので、必す確認します。

10、妊娠、授乳はしていないか
→妊娠、授乳中は、胃カメラに限らず、薬の投与を慎重にします。
薬によっては、胎児、授乳中の赤ちゃんに影響が出る可能性は否定できません。
その期間に検査が必要な場合は、出来るだけ、楽に検査を受けていただけるような方法を考えます。

2)検査当日の下剤の内服

大腸カメラを受けるときは、当日に1000〜2000mlの下剤を内服します。

当日の下剤も、クリニックよって、使用する下剤が異なります。
ペットボトルになっているものもあれば、粉を溶かして、2リットルの水の状態にしてから飲むものもあります。
どちらにしても、下剤を含めて、最低2リットルくらいの水分をとる必要があります。

今回は、よく使用される下剤を例に挙げます。
この下剤は、バックの中に粉末が入っており、自分で2リットルの水を入れて溶かしていきます。
内服の目安は1リットル以上〜1.5リットル程度です。便秘傾向の強い人は、2リットル近く内服してもらうこともあります。
その下剤と一緒に、同量の水、または、お茶も飲みます。
下剤だけを内服すると、水分が体の外に出てしまうので、脱水状態になります。

下剤の内服を始めると、頻回に排便があります。
回数とともに、便の性状が普通便から水様の便に変わってきます。
毎回、便器の中を見て、黄色の透明の便の中に、モロモロや、便のカスがなくなったことを確認します。
目安として、6〜7回程度の排便があれば、便のカスも無くなってきます。

仕事の合間に、下剤を飲むことも可能ですが、なんどもトイレに通うことになるので、すぐにトイレに行ける環境で内服することをお勧めします。

また、特に冬場は、冷たい水を2リットル以上、内服することになるので、一緒に飲む水やお茶を、温かいものに変えてもらうと、すこし楽に内服できると思います。

人によっては、腹痛、嘔気、気分不良を感じることもありますので、下剤を飲むペースをゆっくりにするか、クリニックに相談の連絡を入れてください。

また、前日の下剤でも、検査当日の水の下剤を1リットル内服しても、排便がない。お腹が張るときは、すぐに内服を中止し、クリニックに連絡を入れてください。

クリニックによっては、下剤を飲むスペースを確保しているので、不安のある方は、検査予約時に、相談してください。


3)検査中の様子

検査室に入る前に、検査着に着替えます。
下着も全て脱いで、使い捨ての紙のズボンに着替えます。下着を履いたまま、検査着を着てしまうと、お尻からカメラを入れることができません。

検査室で、検査台に横になり、血圧、体の酸素濃度を簡単に測る機械をつけます。
鎮静剤を投与するための、血管確保をします。
左向の体勢になります。
鎮静剤と、大腸の蠕動を抑制する薬を投与します。痛み止めも併用することもあります。
お尻からカメラを挿入します。この時は、気持ち悪く感じると思いますが、だんだん慣れてきます。お尻の力を抜くことがポイントです。大きく息を吐いていくと自然と力が抜けてきます。

大腸は下の図のようになっています。
大腸のカメラは、肛門から入って、盲腸までを観察します。
まずは、盲腸までカメラを進めて、肛門に向かって帰ってきながら、観察していきます。
所要時間は、20〜30分程度です。

観察の途中で、ポリープがあれば切除します。
基本的には、10ミリ以下のポリープが切除対象になります。

スネアという針がねの輪っかをポリープの根元にかっけて、ちぎりとります。

切除した直後は出血しますが、すぐに止血します。また、後からの出血も少ないです。
ポリープを回収し、それを詳しく調べて、悪性か、良性かを解析します。
結果には、だいたい、1週間程度の時間を要します。

4)検査後の注意点

検査で鎮静剤を使用した時は、30〜60分程度、休憩します。
休憩後、更衣をして、医師の検査説明を聞いて帰宅になります。

・ポリープ切除や組織を採取するような検査をしなかった(観察のみ)
 →お腹の張りがなければ、すぐに食事が可能です。
 →鎮静剤を使用した場合は、当日の飲酒は控えてください

・ポリープ切除をした、組織採取をした
 →お腹の張りがなければ、柔らかいものから食事を開始してください。
  (例えば、お粥、うどん、豆腐、柔らかく煮込んだ野菜などの消化の良いもの)
  翌日からいつも通りの食事に戻してください。
 →飲酒は、1週間程度控えてください
  アルコールは血液のめぐりが良くなり、出血の恐れがあります
 →検査当日の激しい運動は避けてください
 →入浴はしていただいてもいいですが、長湯はやめてください

検査で鎮静剤や痛み止めを使用した時は、車、バイク、自転車の運転はできません。眠くないと思っていても、とっさの判断力と行動は鈍くなり、事故に繋がる恐れがあります。


5)最後に

大腸の内視鏡は、恥ずかしい思いと、下剤の内服、検査の痛みに対しての不安があり、なかなか踏み切れない方も多いのではないでしょうか。

40歳を過ぎると大腸癌のリスクは、年々上がっていきます。
一度、検査を受けて、何もなければ、数年後の検査で充分です。
大腸ガンに限らず、全ての病気は、早期発見と治療が、その後の生活に大きく影響します。

最近は、ほとんどのクリニックで、鎮静剤を使った検査を行っています。
・検診で便潜血を指摘された、血便がある。
・下痢、便秘、または、その症状を繰り返す。
・お腹の張りを自覚する、体重が減ってきた。
・検診目的で大腸のカメラを希望する。
これらは、大腸カメラの適応ですので、お近くの内視鏡クリニックにご相談ください。

この記事が、皆さまのお役にたてば嬉しいです。


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