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内視鏡クリニックで働くNSのための下部内視鏡検査介助の基本〜解説付きスライド編〜


こんにちは、エンドーです。
今回の記事は、以前の下部内視鏡介助の基本のスライドの解説になります。

前回のスライドに解説をつけたことと、スライドの枚数も増やしています。
下部内視鏡検査介助は、検査説明から始り、前処置、検査中・ポリペクトミー、治療後の生活上の説明にいたるまで、多くの過程があります。

また、クリニックによっても、説明や内服の方法、腸管洗浄液が違ったりするので、これが正しいと言えない現状もあります。

安全で、患者満足度の高い内視鏡検査を提供できるよう、それぞれのクリニックでの課題を考えられるきっかけになれば良いなと思います。



*既往歴の確認
ブスコパンまたはセスデン投与時の禁忌疾患として次の疾患があります。
心疾患:頻脈になり、不整脈を悪化させる恐れ
・ブスコパン投与直後に、モニターのHRが一気に上昇するのはよく見る光景です
前立腺肥大:尿閉の恐れ
・間違って投与した時は、自尿の確認をします
緑内障:眼圧上昇の恐れ

ブスコパンが投与できない時は、グルカゴンを投与します。
投与の禁忌疾患として、褐色細胞腫(副腎髄質の腫瘍でホルモンを過剰分泌させる)があります。

*抗血栓剤・凝固剤の内服
こちらは、「抗血栓薬服用患者に対する消化器診療ガイドライン」を参照してください。
クリニックだと、生検、コールドポリペクトミー(施設によっては通電ポリペクトミー)が対象になります。

抗血栓剤を内服したまま処置をする場合が多いと思いますが、出血のリスクがあることを念頭に置き、処置後、患者さんに、出血のリスクがあることを説明します。
出血した時の連絡先は検査説明の用紙に記載しておくことが望ましいです。

*最終飲食時間
基本的には前日、21時までに夕食を終わらせてもらうように説明します。
繊維質の多いもの(きのこ、根菜類)、こんにゃく、海藻類は消化に良くないので、避けてもらいます。

内服薬があれば、前日の夜はいつも通りに内服、当日の朝は6時くらいには内服してもらいます。
絶食なので、血糖降下剤は内服禁止です。
もし、内服してきてしまった時は、血糖を測定、内服時間、薬剤名、低血糖症状(冷汗、動悸、頭痛)がないか確認し、医師に報告します。

*アレルギーの有無
キシロカインを使用する場合は、必ず、キシロカインアレルギーを確認します。
そのほか、薬剤アレルギーの有無を事前に聴取しておきます。

*腹部の手術歴
・腹部の手術(特に、婦人科系)をしている時は、癒着による挿入困難や、痛みを伴う恐れがあります。
 

*下部内視鏡の検査歴
・下部内視鏡を受けたことがあるか
・その時、鎮静剤を使用したか、検査中のことを覚えているか
・挿入に時間がかかったか
を確認します。

自院での検査歴があれば、その際、使用した鎮静剤の投与量を検査記録で確認します。バイタルに異変なく、検査中のことを覚えていないようであれば、同量の鎮静剤を使用しています。

*普段の排便状況、過去の前処置はスムーズだったか
・検査が2回目以降の時は、前回の前処置はスムーズだったか、追加処置や内服をしなかったか
・前回検査が自院であれば、前回の前処置トラブルがなかったか
・普段の排便状況はどうか、緩下剤を内服していないか、していれば頻度を確認します。緩下剤を常時内服している時は、前日の下剤を増やす、食事を検査2日前から、消化の良いものに変更する、などの対応が必要です。
また、前処置に時間がかかることを考慮し、追加の内服があることを想定して、腸管洗浄液を通常の内服開始時間よりも早い時間に設定するなど、検査が円滑に進むような工夫も必要です。

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