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【本荘さんに聞いてみよう!】

今回は、前回の孫 泰蔵氏からバトンをお渡しいただき、エンデバー・ジャパンのメンターを務める本荘修二氏にお話を伺いました。

自らを現すアイデンティティはブランディングにつながる

Endeavor前田:
普段は本荘さんといえば着物!
そんなイメージがあるのですが、着物を着るようになったきっかけを教えていただけますか?
 
本荘:
友人が着物コンサルタントを開業したことがきっかけで、着てみたら発見がありました。
これは洋服よりもずっといいじゃないか!と思い、以来着物を着るようになったんです。
途中で着なくなる人が多い中、私が継続して着物の会なども開くようになったのには理由があります。
後に500 Startupsを起こしたDave McClureらが海外の起業家たちと日本へ来るツアーをホストするTokyo 2.0というコミュニティ活動に参画した時に、私は和服で会場に行きました。すると、たくさんの人に会うので、自分は全員のことを覚えられなかったのですが、相手は私を覚えてくれていて、後日多くの人が私を訪ねてきました。
それがきっかけで、500 Startups(現500 Global)チームと親しくなり、日本でのファンドレイズやパートナー作りを手伝うようになりました。こういったご縁が他にも複数あり、やはり「着物アイデンティティ」というのは、自分にとって驚くほどプラスになると思ったのです。
もちろん中身があってこそですが、何事もアイデンティティを持って、色々な人とインターナショナルにコミュニケーションを取ることが大切です。エンデバーも同様ですが、そこにオポチュニティがあるなと感じます。
 

国際派、本荘修二はどうやって誕生したのか

Endeavor前田:
着物のイメージとは一転して本荘さんはかなりの国際派でいらっしゃいますが、海外でのご経験にまつわるエピソードを教えていただけますか?
 
本荘:
私は福岡県大牟田市、つまり地方の出身ですが、やはり一度は海外にちゃんと行かなきゃと思ったんです。
当時、アントレプレナーシップの研究ではアメリカで1位、2位を争うウォートンスクール(Wharton School)へ、ボストンコンサルティングを経て進学しました。ウォートンでは素晴らしい先生や学友に出会い、MBAプログラムに加えてVisiting Scholarとして研究にも参加し、サマージョブとしてジェネラルアトランティックで働きました。
「アメリカは凄いことをやっているな!」と肌で感じましたね。
その後も、インターナショナルビジネスについて習得するためにアメリカに残ることを決意し、CSCインデックスという会社で日本人コンサルタント1号として働きました。
その後、帰国してヒューレットパッカードの書籍を書いたところで、CSKから声がかかり、大川功会長付としてグループ戦略やインターナショナル投資の担当を務めました。その後、ジェネラルアトランティックの東京オフィスの日本代表を務めました。


世界を目指す起業家のチームビルディング

Endeavor前田:
世界にも多くのネットワークをお持ちですが、特にアメリカのスタートアップと日本のスタートアップの大きな違いは一体なんでしょうか?
 
本荘:
日本のスタートアップは、多くの場合、日本人だけでチームが構成されていますね。国内にフォーカスするのであれば問題ありませんが、海外展開を考えるなら、ある程度早い段階でハイブリッドチームを作る必要があります。そうでないと、例えば海外の会社を買収しても、なかなかうまくいかないでしょう。たとえ上場企業であっても、社長自身が英語をほとんど話せなかったり、英語が話せない人を経営幹部に任命することが多いです。そういった状況から、急にグローバル化しようと海外に進出しても、容易なことではありません。海外進出を目指すには、外国人を含めた多様な人材が必要になります。日本で、外国人や女性が起業することも大切ですね。
例えばアメリカでは、自分よりも年上の経験豊富な人々をたくさんチームに入れ、自分が最年少であるチームをマネジメントして成功したマイケル・デルのような例があります。米国ですら性別については保守的なところがありますが、日本のスタートアップ企業は、少しずつ変わりつつあるものの、年齢や性別に関してはずっと保守的です。年上や女性と仕事をすることが上手でなく、ましてや外国人に苦手意識を持つ人が多いため、同質の日本男児ばかりで構成された偏ったチームが珍しくありません。しかし、これではオポチュニティが狭まってしまいます。さらに「コミュニティの力」をよく理解している起業家は限られます。
もっと一部のアメリカの起業家のように、コミュニティをフルに活用することに関して、もう一段上に行って欲しいと思います。
 


世界を目指す起業家に必須のスキル・資質


Endeavor前田:
世界を目指す上で、英語は必須になってくると思うのですが、どのようなスキルが必要になるでしょうか?
また、本荘さんはどのように英語を身につけられたのでしょうか?
 
本荘:
英語力は、授業を受けるだけでは実際のスピーキングやリスニングのスキルは上達しません。私自身も、英語が話せるようになったのはアメリカに行ってからでした。渡米前にも学会などで英語のプレゼンはしていましたが、それは事前に準備していたからです。その後、ウォートンスクールに行きましたが、試験で良いスコアを取れても、実際の授業では全くついていけませんでした。聞き取れない、話せない、これじゃまずいと思い、アフターファイブの留学生向け英会話講座を履修し、ネイティブの連中としょっちゅう飲みに行きました。
日本のスタートアップにも言える事ですが、ピッチを何度も練習して上手くプレゼンできるようになったとしても、Q&Aに対応できないことがあります。しかも、単なるピッチ練習だけでは不十分で、実践的な予行演習が重要だと思います。日本のスタートアップ各社がアメリカの投資家に向けてピッチするイベントで進行を務めた際、非常に興味深い事がありました。
英語が堪能な人ほど、結果が良くなかったのです。英語が苦手な人は自分の英語力が足りないと感じ、プレゼンをする際にはポイントだけを分かりやすく強調したのですが、それに対して英語が上手な人は、得意だからこそベラベラたくさん話してしまい、初めて聞く人にとって理解しづらいプレゼンになったのです。初対面の相手に全く新しいことを伝える場合、喋りすぎずにエッセンスに絞ることが大事ですね。英語力を上げると同時に、相手に伝わりやすい表現力を身につけることが不可欠です。

Endeavor前田:
世界を目指す起業家には英語や表現力が重要になるとお話しいただきましたが、起業家として1番必要な資質はなんでしょうか?
 
本荘:
まず第一に、「生命エネルギー」ですね。
生命エネルギーは、起業家にとって最も重要な要素と言ってもいいでしょう。
辛気臭い蕎麦屋にはお客さんが来ないでしょう(笑)。
ビジネスをしているときには、崩れたり、困難が山積みになることもたくさんあります。それらを乗り越えられなければ、前に進めません。
そして、エコシステム感覚が大切です。人々とつながり、適切なコミュニケーションを取り、サポートを受けることが重要です。これは、他人を利用するということではありません。相手があなたをサポートしたいと思ってくれるように、まずは自分から繋がろうとすることが大切だという事です。
何よりも、自分自身のアイデンティティが重要です。自分自身がなぜこれをするのか、自分が誰であるのかを理解して、人とつながらなければ、相手はやる気が起こらないでしょう。この点は、生命エネルギーと表裏一体の問題だと思います。例え周囲の人たちから馬鹿げていると言われても、自分がやりたい事を継続し、何度も言い続けることで、共感する人が現れるかもしれません。そして、あなたを応援する人たちも出てくるかもしれません。
 

世界を目指す日本の起業家に向けて

Endeavor前田:
最後に、これから世界を目指す起業家に向けて一言お願いします。
 
本荘:
世に出て「行け、会え!」ですね。例えば、インターネットで検索して、アーティフィシャルフードというものを見つけたとします。しかし、単に「なんちゃらバーガーもあるんだな」と知っただけでは、本当に何が起こっているかを理解することはできません。実際に現地に行き、その食品を味わって、カスタマーと話をしたり、起業家やインベスターと話をすることで初めて、本当の理解が得られるのです。まず行く、そして会うことが大切です!

Endeavor前田:
本荘さんが海外に飛び出されたように、まずは自ら動き自分の目で確かめるということが重要なのですね。
本日は有難うございました。
 

お会いするまでは、正直とても厳しそうな印象を持っていましたが、実際にお話ししてみるととっても気さくでオープンなお人柄の本荘氏。そして何よりご家庭では頼れる素敵なマイホームパパでした!次回も素敵なエンデバーコミュニティのメンバーをご紹介していきますのでお楽しみに。



<プロフィール>
本荘 修二/ Dr. Shuji Honjo
Managing Director, Honjo International
新事業を中心に経営コンサルティングを手掛け、日米アジアの大企業、スタートアップ、投資会社などのアドバイザーや社外役員を務める。500 Global、Founder Institute、始動 Next Innovator、福岡県他のメンター。多摩大学大学院(MBA)客員教授。厚労省・医療系ベンチャー振興推進会議座長、IPA・未踏アドバンスト事業審査委員、日本スタートアップ大賞2023審査委員。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、米投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。東京大学工学部卒業、ペンシルベニア大学ウォートン経営学修士、早稲田大学博士(学術:国際経営)。「成長を創造する経営」など著書多数。翻訳に「ザッポス伝説」、連載に「垣根を越える力」、「インキュベーションの虚と実」などがある。 プライベートでは1児の父。
 
<得意分野>
IT、ライフサイエンス、ヘルスケア
<マイブーム>
子育て
 
 

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